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「老人中心国家」ニッポンの行方…世界一の高齢化×人口減少の行き着く先

2022年01月20日 公開

宮本弘曉(東京都立大学教授)

止まらぬ高齢化

「日本人は世界経済の大きな潮流を理解していない」。国際通貨基金(IMF)を経て、東京都立大学教授を務める宮本弘曉氏は、その結果が日本経済の停滞を招いたと語る。本記事ではそんな大きな潮流のひとつである「人口構造の変化」について、その本質を語っていただく。

※本稿は、宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。

 

世界で最も高齢化が進む国、ニッポン

人口構造の変化は、グリーン化、テクノロジーの進歩と並び、日本の将来に大きな影響を与えるメガトレンドのひとつですが、日本が今直面している最大の問題は「高齢化」です。

日本を含む多くの国では、65歳以上の人を高齢者としています。人口全体に占める高齢者の割合を高齢化率と呼び、国連の世界保健機関(WHO)は高齢化率に応じて、社会を高齢化社会(7%~14%)、高齢社会(14%~21%)、超高齢社会(21%~)に区分しています。

日本の高齢者人口は1950年以降一貫して増加しており、2020年には3602万人となっています。高齢化率も1950年の4.9%が、1970年には7%を超えて高齢化社会になりました。その後、1994年に14%を超えて高齢社会に、そして2007年には21%を超えて超高齢社会となりました。驚くべきことに、これは世界で初めてのことでした。

2020年の高齢化率は28.6%で、国民の約3.5人に1人が65歳以上となっています。男女別にみると、男性が25.6%、女性が31.5%となっており、男性は4人に1人が、女性は3.2人に1人が高齢者となっています。

人口減少が進む中でも、今後約20年間は、高齢者は増え続けると予想されています。高齢者人口は2042年の3935万人でピークに達し、その減少に転じるとされています。

将来的な高齢化率は上昇する一方で、2025年に30%、2040年に35%を超え、2065年には38.4%まで上昇すると予想されています。2065年には、国民の約2.6人に1人が65歳以上という社会が到来することになるのです。

日本の高齢化は世界の中でも突出しています。主要国における高齢化率の推移を比較すると(2018年)、日本の28.1%が世界で最も高く、次いでイタリアの23.3%、ドイツの21.7%という順になっています。

今後、どの国でも高齢化が進むと予測されていますが、日本の高齢化率は今後数十年間にわたり世界で一番高く、世界で最も高齢化した国の前人未到の経験を続けると予想されます。

 

「長寿化」という新たな課題

さて、少子化、高齢化とともに考えなければいけないのが長寿化です。ひと口に高齢者といっても、65歳から100歳を超える人まで様々です。今後は長寿化により、高齢者の平均年齢の高齢化が進むと予想されています。

「人生100年時代に入った」と言われはじめて久しいですが、100歳を超えた人を「1世紀(センチュリー)を生きた人」ということで、英語では「センテナリアン」と言います。

日本のセンテナリアンは統計を取り始めた1963年には全国でわずか153人でしたが、1981年に1000人を超え、1998年には1万人を、そして2020年には8万人を超えました。近年は増加のペースが上がっており、2040年には30.9万人と、現在の4倍近くまで増加することが予想されています。

平均寿命に目を向けると、こちらは2020年に女性87.74歳、男性81.64歳となり、ともに過去最高を更新しました。他国の平均寿命と比べてみても、女性は世界第1位、男性はスイスの81.8歳(2019年)についで世界第2位となっています。なお、日本人の平均寿命が初めて80歳を超えたのは、女性が1984年、男性が2013年で、その後、男女ともに平均寿命は増加傾向にあります。

また、厚生労働省の試算によると、2019年に生まれた日本人で75歳まで生きる人の割合は女性が88.2%、男性が75.8%、90歳まで生きる人の割合は女性が51.1%、男性が27.2%となっています。実に、女性の半分以上が90歳まで生きると予想されているのです。

言うまでもなく、長寿化は喜ばしいことですが、同時に様々な課題を個人と社会に突きつけます。例えば、老後の生活資金をどう賄うかは個人にとって重要な課題です。2019年6月に金融庁の金融審議会がまとめた報告書で、夫婦が95歳まで生活するには、公的年金以外に2000万円の金融資産が必要としたことが大きな波紋を呼びました。

老後の生活資金を確保するには、働く期間を長くする必要も出てきます。つまり、長寿化社会で人々はこれまで以上に、長期にわたって働く可能性が高くなります。

したがって、これは高齢者にだけ当てはまる話ではありません。若い人も今後、その働き方を見直す必要があるということです。高齢化、長寿化の課題は、高齢者だけの問題ではなく、「個人がどのように人生を設計していくのか?」という問題をすべての世代に突きつけます。

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