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なぜ"日本のコロナ対策"は根本的に解決しないのか?医療界にはびこる不都合な事実

2022年01月26日 公開
2022年01月26日 更新

木村盛世(医師・作家)、和田秀樹(精神科医)

 

新型コロナは5類相当にしないと、根本的な解決にはならない

【木村】この騒ぎはコロナがまた流行れば、再燃するのでしょうね。

【和田】これは風邪の種類の1つですから、また冬場に患者数が増加する可能性は高いと思います。そうなったときに、今回のオミクロン株のように大して死者数も出ていないし(2021年12月10日現在、死者数は0)、重症化数も少ないのに、「いつ手に負えないほどの変異をするかわからない」みたいな根拠のない不安を振りまく人が出てきて、大騒ぎするということは起きるでしょうね。

だからそのときに、冷静に感染者数と死者数を見て、そういう人たちに踊らされないことが大事なのです。感染者数で言えば、例えばインフルエンザであれば、一冬におよそ1000万人。ということは、1日平均10万人の感染者が出ています。死者数は、コロナとインフルエンザではほとんど変わりません。インフルエンザの際と同じ冷静さを、政治家や医師たちを含め、国民が持てるかどうかです。

【木村】そうですね。すでに治療薬も認可され、外来で使えるという状況になっても、日本人はまたコロナが流行れば騒ぎ出すような気がします。

【和田】イギリスでは、コロナ対策が7月に第4ステップに入り、マスク着用や他人との距離確保のルールが廃止された途端に、自分たちの国が独立したかのようにすごい熱狂の渦に包まれました。ところが日本は、まだ静かですね。

【木村】驚くほど静かです。こんなに感染者数が少なくなっているのに、と思いますが。私が現政権に期待しているのは、2類から5類相当に下げるのをきちんと言ってくれるということです。新型コロナウイルスが2類相当なんて、おかしいんですよ。インフルエンザと同じで、5類相当にするべきです。

SARSやMERSや結核は2類相当ですが、これは患者がそんなにたくさん出るわけではない。しかも致死性が高いから、それほど感染者も増えない。これなら保健所で対応できますよ。

ところが風邪のウイルスを保健所で対応すると、収拾がつかない。職員もコロナだけ対応しているわけではないのですから。保健所がパンクしているから、大阪は実質、保健所を通さないでやっています。通さないでやるしかないのであれば、さっさと5類相当に変えればいいじゃないですか。

【和田】要するに、病院的には2相当類のままのほうがいいんですよ。1人受ければ月に900万円の補助金が入るから。そのお金がある限り、2類のままのほうが彼らには都合がいいのです。

ただ、これもひどいのは、尾身さんの病院も同じですが、お金が経営者にだけ入る。「医療従事者を守れ」とか言っていても、実際に働いている人たちにはお金が入らない。僕の知り合いが勤めている病院は、割とコロナの患者さんを受け入れているんだけれど、危険手当がナースも医師も一律1日3000円なんです。

病院には大金が入る。だから、どこの大病院、大学病院も、もう大黒字になっている。財務省の分析では、2020年の医療機関のコロナ補助金の受取額は平均で10億1000万円。利益は平均6億6000万円の黒字。感染拡大前の19年度は2000万円だったのに、ですよ。

要するに、コロナのおかげで彼らは短期間に20年分の利益を稼げたわけです。しかし大黒字になっているのに、医療従事者には回さない。そんな実態は厚労省なんて簡単に掴めるはずなんだから、入れた補助金を人件費に回していないとわかれば、引き揚げるとかすればいいんですよ。バレたら返さなければならないとなると、まだ医療従事者に配ったほうがましだという話になるじゃないですか。

 

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