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「疑似共産主義政権」だった? ルーズベルト政権の驚くべき実態

2022年02月21日 公開

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

ホワイトハウス

ルーズベルト大統領の周囲には、共産主義者たちが幅を利かせ、政権を操っていた形跡がある。信じがたいことに、容共思想家やソビエトスパイが大統領の側近として、その重要な「政治的決定」をリードしていた可能性が指摘される。

※本稿は、渡辺惣樹著『第二次世界大戦とは何だったのか戦争指導者たちの謀略と工作』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

ソビエトを直ちに国家承認

本稿では1933年に発足したフランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR)政権が、実質共産主義者に乗っ取られていた「疑似共産主義政権」であったのではないかと疑わせる事象を扱う。

米国民は、第一次世界大戦に参戦を決めたウッドロー・ウィルソン(民主党)の外交に幻滅していた。パリ講和会議を経て成立したベルサイユ体制はすわりが悪く、戦勝国であった英仏は、ベルサイユ条約(対独)およびサンジェルマン条約(対墺)で成立した小国の強欲を抑制することに汲々とした。

戦勝国は大国小国を問わず、ドイツに対する不正義(約束に反した懲罰的条約:ベルサイユ条約の規定する諸条件)を何とか正当化しようと試みた。しかし、結局はそれに失敗した(ベルサイユ体制の崩壊現象が第二次世界大戦である)。このことを理解しなければ、ドイツ国民がなぜヒトラー政権を誕生させたか理解できない。

第一次世界大戦では、米国も参戦し、多くの若者を犠牲にした。しかしヨーロッパ大陸に安定は訪れなかった。

米国民は建国の父たちの遺訓(ヨーロッパ問題非介入)の正しさに、「ひどい火傷」を負って初めて気づいたのである。米国民は、ウッドロー・ウィルソン政権以降、干渉主義政党である民主党にけっして政権をとらせなかった。民主党が、1932年の選挙でハーバート・フーバー政権を倒せたのは、1929年秋から始まった世界恐慌を奇貨としたからであった。

歴代の共和党政権は、1917年の十月革命(グレゴリオ暦11月)を機に成立したソビエトをけっして国家承認しなかった。しかし、ルーズベルト政権は政権1年目(1933年)に、直ちにソビエトを正式承認した。承認の条件は、けっして内政干渉しない(世界革命思想による政治工作をしない)ことであったが、ソビエトがそれを守るはずもなかった。

米国内に跋扈(ばっこ)する共産主義者グループ、労働組合、左翼思想家など、「第五列」を利用した工作を開始した。スターリンは留学生を装ったスパイを全米の大学に送り込み、米国の最先端技術を盗ませた。

 

ニューディール政策はただの「バラマキ」

1933年、大統領となったFDRはニューディール政策と呼ばれる社会主義的統制経済を始めた。筆者の世代(60代後半)だけでなく、その前の団塊世代も、「ニューディールは、世界恐慌からの脱出をめざした進歩主義的政策」と賛辞した教科書を読んだ。政策の目玉の一つにテネシー川流域開発公社(TVA)の設立があった。試験にもよく出題された。

一方で、原爆開発プロジェクトによるウラニウム濃縮施設がテネシー州オークリッジに建設されたことや、濃縮にはTVAからふんだんに供給される電力が使われたことを知るものは少ない。日本に落とされた原爆の原料がTVAの電気を利用したテネシー産であったことを教える歴史教師はどこにもいなかった。

ニューディール政策の中核組織に全国復興庁(NRA)があった。NRAは、すべての消費財をコード化し、価格や生産量を決定した。資本主義制度の根幹を否定する、ソビエトも驚く政策を次々と実施した。米最高裁がNRAを違憲組織と判断したのも当然だった(1935年)。

ニューディール政策は、国家予算の「バラマキ」で、資金の出る蛇口に近い組織や人物を喜ばせた。しかし、経済成長を生むインフラ整備には役に立たず、失業者は一向に減らなかった。米経済の回復は、ヨーロッパの戦端が開き、英仏に軍需品供給を始めた1939年9月以降のことである。

大きな政府は必ず全体主義化する「癖」がある。大きな政府は大量の役人を必要とする。その結果、FDR政権での政府機関職員採用時のバックグラウンドチェックは甘くなった。米共産党員でさえも防諜の要となるOSS(戦略情報局)に採用された。たとえば、レオナルド・ミンスは米共産党員でありながら、OSSの天然資源情報担当官となった。

政権中枢では、容共思想のハリー・ホプキンスが大統領側近として米外交をリードした。財務長官ヘンリー・モーゲンソーは、FDRの親友の立場を利用して国務長官コーデル・ハルを差し置いて外交問題に口を挟んだ。モーゲンソーの右腕がソビエトスパイであるハリー・デクスター・ホワイトであった。日本を対米戦やむ無しと決断させた「ハルノート」を起草した人物である。

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