チームの目的と本人の役割に動機づける
部下と共有すべき仕事の目的は、2つあります。
1つは「チーム全体の目的」です。共に働く仲間たちが力を合わせることで、どのような世界をつくろうと思い描いているかです。そこに共感し、ワクワクできれば、部下は自分がチームの一員であることに誇りを感じ、帰属欲求を満たすこともできるのです。
もう一つは「個人の目的」です。部下一人ひとりに任せる役割が本人ならではの持ち味を活かせるものであり、それを全うすることで、どう活躍・成長できる人材になれるかです。
部下の仕事がチーム全体の仕事にどう紐付いているのかを理解させて、人材育成をも果たすわけです。「自分はチームの目的実現に貢献でき、存在が認められている」という承認欲求を満たすことにもつながるでしょう。
チームの目的を言語化する
上司はチームを預かると、まず部下と共有すべき「チームの目的」を明確にしておかなければいけません。「そう改めて問われてみると、自分のチームの目的って一体何だろう?」と思う上司の方も多いでしょう。
その場合には、改めてチームの目的を考え抜き、言語化することから取り組みましょう。チームの目的は、チームビジョンといえます。これを明らかにするには、次の5つのステップで考えるとよいでしょう。
(1) チームにとっての「お客さま」は誰か?
(2) その「お客さま」の課題(ニーズ)は何か?
(3) 自分のチームには、どのような強みがあるのか?
(4) その強みを活かし「お客さま」の課題を解決するには、どんなアクション(行動)がふさわしいのか?
(5) チームのアクションによって、「お客さま」にどのような価値を提供するのか?
チームの「お客さま」は誰か。これは、業務の第一線の窓口や配送や営業などの部署であれば、一目瞭然でしょう。
一方、人事や総務などの間接部門なら、「お客さま」は自社の社員となるでしょう。自分のチームが貢献する対象は誰かを考えることで、「お客さま」は明確になります。チームの仕事は、その「お客さま」の「困っている課題」を解決すること。「お役に立つ」ことなのです。
「お客さま」の課題解決に貢献するために、自分のチームはどんな持ち味を活かし、どう行動するか。そして最終的にどのような価値を提供するのか。このステップを順に言語化することで、必ずチームの目的はクリアになるはずです。