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残念な上司が使いがちな「部下からの人望を失う言葉」

伊庭正康(らしさラボ代表)

2022年08月12日 公開

部下がついてこないと悩むビジネスマンはいないだろうか。らしさラボ代表の伊庭正康氏は、常にインプットを続けることが、部下に慕われるリーダーになるための最低限の条件だと語る。人望のある上司になるにはどうすればいいのか、解説する。

※本稿は、伊庭正康『できるリーダーは、「これ」しかやらない』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

いい人だけど、刺激を受けない上司

「サラリーマンの唯一絶対のリスクは上司です。上司がアカンかったら、ビジネス人生の半分以上がダメになる」(※1)こう語るのは、東京都初の民間人校長としても著名な藤原和博氏。

これは、本当にそうだと思います。私が見てきた限り、「一丁あがり」感のある上司の下では、部下は育ちません。

「一丁あがり」とは、過去の経験と実績が拠り所になっており、能力や感性をアップデート(更新)しようとしない、そんな上司。ひとことでいうと、好奇心が薄い人。

「いい人だけど、あまり勉強にならないな。職場を変えたほうがいいかも...」こうやって、いわゆる上位校出身者や向上心のある優秀な部下から辞めていきます。常に好奇心を持ってインプット(学習)する人に、部下は刺激を受けます。

でも、自分では、「一丁あがり」になっているかどうかなかなか気づけないもの。誰かが指摘してくれるものでもありません。そこで、ちょっとチェックをしておきませんか? もし、次のうち2つ以上のチェックがつかなかったら、赤信号です。

□日経新聞を読み、時にはトピックを部下に伝えている。
□業界新聞もしくは業界雑誌に目を通すことで、仕事に必要な業界知識を収集し、最新の事例を部下に伝えている。
□ビジネス書を月に1~2冊は読み、時にその内容を部下に伝えている。
□社内のうまくいっている事例があれば、話を聞き、その情報を部下に伝えている。
□社外のうまくいっている情報を仕入れ、部下に伝えるようにしている。

いかがでしょう。これは部下を持った上司の最低限のインプットだと考えてください。もし、がつかないようなら、部下はあなたを刺激不足と感じているかもしれません。

 

不用意に口にしてはいけない「上司の禁句」

今、ワーク・ファミリー・エンリッチメントという考え方が注目されています。

ワーク・ライフ・バランスは「仕事とプライベートのバランスを適正に保つ」という考え方ですが、ワーク・ファミリー・エンリッチメントは「充実したプライベートは仕事に」「充実した仕事はプライベートに」と双方が良い影響を与え合うという考え方。

プライベートのことを職場ではあまり話題にしない、という上司は少なくありませんが、今の時代においては賢い選択ではありません。

人と組織の在り方を研究するリクルートマネジメントソリューションズは断言しています。「生活を楽しみ、社外活動が充実しているマネジャーは、会社や社会にいい影響を与え、メンバーから信頼されています」と。またそのように、ボスが充実している状況を"ボス充"と呼んでいます。

同社の「ボス充実態調査(2017)」でも面白い結果が出ています。社外活動が充実している上司のほうが、若い部下から魅力的に映っており、20代だと約4割が魅力に感じると言います。さらに、上司に社外活動での学びを、職場でも共有してほしいという部下は6割にも上ると言います。

家族との出来事、趣味、ボランティア、勉強...すべてに精通する必要はありませんが、少しでも、プライベートの一端を自己開示することもリーダーとして効果的です。

例えば、私が懇意にさせていただいているリーダーは、数百人の部下を率いる多忙な生活をしながらも、年に数回、世界各国に渡航されます。海外の価値観に触れることで、常に感性をアップデートさせるためだそうです。

きっと、あなたにも趣味があるでしょう。それを語るだけでも充分。おおげさに考えずとも、まずはプライベートを自己開示する、それだけでも部下はあなたに「ボス充」を感じることでしょう。

逆に、「忙しくて本も読めない」とか「家に居場所がない」「休日はごろごろ」といった言葉は、不用意に口にしないようにしたいものです。

※1:文化放送「The News Masters TOKYO Podcast」より

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