自分ができることとできないことを自覚する
仏教だけではなく、心理学的にもいわれていることですが、本当に潜在的な意識の部分から自分に対して自信を持っている方は、そもそも自惚れません。
どこかに不安定な要素を持っている―例えば自分のどこかにコンプレックスを抱えているからこそ、それを克服しようと謙虚に努力するのでしょう。
みなさんにぜひ覚えておいていただきたいのは、自己肯定感は高めようと思って高められるものではないということ。
アファメーション(なりたい自分になるために肯定的な言葉で宣言をすること)的なものは一時的な効果こそありますが、あくまでも誰かとの比較によって成り立つ「慢」になりますので、つねに他人との優劣を考えているようでは一向に救われません。
別に自分のことを肯定されようが、否定されようが、決して動じない。これが本当の意味での心の安定になります。無理やりポジティブシンキングをしている時点で、あなたの心は揺らいでしまっている証拠なのです。
まず、自惚れが「慢」であることに気づき、他人との比較にエネルギーを割かないことが大切。それに気づくことができれば、自ずと謙虚になっていきます。
この謙虚というのは「いやいや、私なんか...」と卑下することではなく、自分ができることと自分ができないこと――これをきちんと分析して理解している状況。自分自身のことを客観的に見えている状態のことです。
世の中で"一流"と呼ばれる人たちは、自分のできないことがわかっているからこそ、決して今の自分自身に満足することがないのでしょう。
自分自身で「俺はすごい!」と豪語する一流はいませんよね。飽くなき探求心があるからこそ、プロフェッショナルと呼ばれる存在になれるわけです。客観的に自分の強みも弱みも冷静に判断できる人は、成長します。
自惚れている時点で三流であることに、まずは気づくべき。これを肝に銘じていただきたいと思います。