人の考えごとの8割はネガティブ...「余裕がない」状況を生む3つのクセ
2023年09月18日 公開
情報が多いと人は集中できなくなる
次に、「2.散漫癖」です。
選択肢や情報が多いと、注意が散漫になって結局大切なことが何かわからなくなってしまうことを言います。
先ほどのスマホやSNSはもとより、世の中にはあふれ出るほどの情報や選択肢があります。
読みかけの本が複数あるのに、「あれもいいね、これもいいね」とさらにAmazonでポチっと新しい本を買う始末。
会議に出て発言内容をメモしているとすべてが重要そうに見えてきて、結局、大切なポイントがわからずじまい。
転職先の条件を考える際や、買い物をする際なども同様で、情報や選択肢が多いと、注意が散漫になり、どれが大事なのかわからなくなってしまいます。
オランダのラドバウド大学の心理学者ダイクスターハウス氏の実験では、情報過多により人は混乱することが実証されています。
多くの情報をインプットすることで細かい情報に意識がいってしまい、小さな欠点やマイナス要因が大きな問題のように見えてしまうそうです。そのため、ものごとをシンプルに考えられなくなってしまうのです。
情報が多いほど、人は合理的に判断できなくなるとの実験結果は、散漫癖によって頭の中のよはくがなくなっていくことを裏付けているかのようです(『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』堀田秀吾著/サンクチュアリ出版)。
「ねばべき症候群」にはご注意を!
最後に「3.強迫観念」です。最近、頭の中に次のような言葉が浮かんできたことはないですか?
「"〜せねば"ならない」「〇〇をする"べき"だ」
真面目で努力家、頑張り屋さんの人ほど、このセリフが頭の中に"無意識のうちに"たくさん湧き出てくるようです。
これは、知人いわく「ねばべき症候群」と呼ぶそうです。頑張ることは素晴らしいし、努力する姿はとっても美しいもの。ただ、気になることもあります。その頑張りや努力って何のためにするのでしょうか?
頭によはくがなくなってきたら、一度冷静になって思考を整理してみてください。ひょっとしたら、その努力は目標とまったく関係がなかったり、そもそも目標があいまいだったことに気がついたりするかもしれません。
「やりたいことや目標が明確になっていなければいけない」、「無茶ぶりの仕事もすべて期待に応えねばならない」、「キャリアアップすべきだ」など強迫観念をあおる論調が私たちの日常にはあふれています。
だからこそ、ときには立ち止まって冷静に自分自身を見つめ直すことで、思考によはくを取り戻し、「今、自分にとって何が大切なのか?」を考える機会を持ってほしいのです。
2005年アメリカ国立科学財団の発表によると「人は1日に6万回考えごとをし、そのうち8割はネガティブなこと」だそうです。
ただでさえ、1日に約5万回ものネガティブな考えごとをしているのに、強迫観念が上乗せされてしまったら、ネガティブなことで頭がいっぱいになってしまいます。
想像するだけでも、頭のよはくが一瞬で吹き飛んでしまいますね。
頭によはくを意識してつくることで、ノイズに邪魔をされずに「自分らしさ」を取り戻すこと。また、自分にとって本当に大切なことは何かを再確認すること。これこそが、頭によはくをつくる意味であり、効果です。
【鈴木進介(すずきしんすけ)】
思考の整理家®。1974年生まれ。株式会社コンパス代表取締役。
現在は「思考の整理術」を使った独自の手法で人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活動中。大学卒業後、IT系企業や商社を経て25歳で起業。「金なし・人脈なし・ノウハウなし」の3重苦からスタートしたため、3年以上まともに給料が取れずに挫折続きの生活を送る。
その後、思考を整理すれば問題の3割が解決していることに気づき、「思考の整理術」に開眼。以来、10年以上にわたり研究を重ねて体系化。難しい問題を優しく解きほぐす「思考の整理術」は、フリーランスや起業家、上場企業まで幅広く支持され、コンサルティング実績は100社以上、研修や講演は年間150日以上登壇、セミナー受講者数は累計3万人を超す。