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日本の子どもの7人に1人が貧困...“可能性を潰す社会”はどうすれば変わるのか?

林大介(監修)

2023年08月22日 公開

昨今の日本では所得格差が拡がり続け、子どもの貧困率も上昇しています。さらに虐待や不登校、ヤングケアラーといった問題まで散見され、子どもたちを取り巻く環境は悪化の一途をたどっていると言えます。子どもの可能性を奪う社会を変えるために、いま私たちに出来ることはあるのでしょうか? 

※本稿は林大介監修『声をあげよう、社会は変えられる』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

人間らしく生きる権利がうばわれている

厚生労働省によると、2022年の児童生徒(小・中・高校生)の自殺者数は514人で、500人をこえて過去最多になったことがわかりました。

また、2021(令和3)年度の文部科学省の調査では、30日以上登校せず、不登校とみなされた小・中学生は24万4940人(小学生8万1498人、中学生16万3442人)で、その55%が90日以上の長期欠席をしていました。不登校は2013年から9年連続で増え続けています。

厚生労働省が2022年に出した令和3年度の児童相談所での児童虐待対応件数(速報値)は20万7660件で、調査が開始された1990年ではわずか1101件だったのが、2015年には10万件をこえ、6年後にはその2倍になったことになります。

また、日本の子どもの7人に1人が相対的貧困の状態にあるといわれています。相対的貧困とは、世帯所得がその国の可処分所得の中央値の半分に満たない状態をさします。

こうした状態では、栄養のある食事を十分にとれない、家計を支えるためにアルバイトをしなくてはならない、勉強する時間がない、学費をはらえないために進学をあきらめなければならない、といった問題をかかえることになります。

それが格差に結びつき、貧困の連鎖にもつながります。ここ20~30年で、子どもをとりまく状況は悪化し続けています。

 

子どもの意見が尊重されていない

「今の日本の社会では、子どもや若者に関することを決定する際、子どもや若者が意見を表明する機会が確保されているか」という質問をした調査では、回答者の大多数が「確保されていない」としています。

たとえば、熊本市教育委員会が市内の学校や教職員、児童生徒を対象におこなった「校則・生徒指導のあり方の見直しに係るアンケート」では、自分の学校の校則を見直すべきだと感じたのは、小学生30.3 %、中学生34.7 %、高校生46.2 %、教職員29.6%に上りました。

見直しは、調査したほぼすべての学校で定期的におこなわれていましたが、8割をこえる学校が教職員のみで検討し、決定していて、児童生徒や保護者の意見が反映されることはほとんどありませんでした。

さらに、校則を児童生徒自身が考える場が必要だと答えたのは、小学生79.8 %、中学生86.4 %、高校生89.4 %、教職員89.8%にも上りました。

自分たちの学校のことに主体的にかかわりたいと思うのは当然のことです。もし、身近な社会である学校を自分たちで変えることができないのなら、より大きな地域や国を変えていけるとは到底思えないでしょう。

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