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流行のMBTIは本当に参考になる? カウンセラーが教える「内向型」5つの特徴

井上ゆかり(内向型カウンセラー)

2024年07月17日 公開 2024年12月16日 更新

大人数の場に行くと疲れる、質問にすぐ答えるのが苦手、気づくと自分にダメ出ししている...こうした悩みを抱える人は「内向型」に分類されるかもしれません。内向型カウンセラーの井上ゆかりさんは、内向型はよく考える性質があるため、ネガティブ思考のループにハマりやすいと指摘します。

今年5月に『世界一やさしい内向型の教科書』(世界文化社)を出版した井上さんに、内向型が抱えるモヤモヤを解消する方法や、流行りのMBTI診断に対する見解をお聞きしました。

 

内向型の5つの特徴

「内向型」の人が抱きがちな悩みは、大きく以下の5つに分けられると思います。共感する部分や心当たりがある方は、もしかしたら内向型かもしれません。

①質問されたことに対してすぐに答えができず、スムーズな言葉のキャッチボールが難しい。
質問内容を理解して、発言するまでに考える時間が必要。

②大人数や、知らない人の多い場所に行くと疲れやすい。
その場は楽しく、居合わせた人も素敵だったとしても、なぜかぐったり疲れてしまう。

③想定外のこと、イレギュラーなことが起こると心の余裕がなくなりやすい。
臨機応変な対応があまり得意ではない。

④同時に複数のことを進行するのが苦手。
情報処理に時間がかかり、他人と比べて要領が悪いと感じてしまう。

⑤ひとり反省会をしてしまう。
「あの時こういうことを言えばよかったな」「何であんなリアクションしちゃったんだろう」などと、1人になったときによく自分にダメ出しをする。

また、「隠れ内向型」も存在します。隠れ内向型とは、外向的に見えながらも本質は内向型であったり、周囲から外向型だと言われてご自身もそう思い込んでいる方です。

これは、内向型のイメージが"静か"や"暗い"などと固定化されていることが原因として考えられます。実際に皆さんに内向型のイメージを聞くと、口下手、コミュ症、物静、あとは根暗といったフィルターで見られていることが多いです。

私自身も元々内向型で、お仕事を通してその発信をしていますが、セミナーなどの活動をしていると「全然内向型に見えない」と言われることもよくあります。

諸説ありますが、内向型は2人に1人という見方も。人と話すのが好きで社交的な振舞いができても、じつは心では生きづらさやモヤモヤを抱える人は結構いらっしゃるのです。

 

MBTI診断は割合に注目を

最近は、内向型・外向型と聞けば、MBTI診断(16personalities)が思い浮かぶ人も多いかもしれません。私はMBTIは自己開示をしやすくする一つのツールだと考えています。

先日、知り合いの大学生とお話ししたときに「ゆかりさんってMBTIで言うと○○っぽいですよね」なんて会話になりました。いわゆるZ世代の間では、自己紹介で血液型を伝えるのと同じような感覚でMBTIも取り入れられているようですね。MBTIによってお互いの内面を知る入口がカジュアルになるのは、とても良いことだと思います。

一方で、MBTIはその時々によって診断結果が変わるものだと私は考えています。例えば、E(外向)とI(内向)が両極にあって、そのパーセンテージの比重が大きい方でタイプが決められるロジックになっていますよね。僅差にもかかわらず、外向ないし内向と判定されることで「私はこういう人間なんだ」と決めつけてしまうきっかけになるのは、少しもったいない気がします。

だからご自身の性格を判断する上で、診断結果に出てくるパーセンテージに注目することをおすすめします。4つのカテゴリごとに2つの性質に分けられていますが、ほとんどの人がどちらの性質も持ち合わせていると思うんです。グラデーション的に見て「I(内向)の方が高いけど、E(外向)も○%は兼ね備えている」などと柔軟に捉えられると良さそうです。

 

内向型がハマりやすい、ネガティブ思考から抜け出す方法

たくさんのことを考えてしまう内向型は、どうしてもネガティブになりやすい傾向にあります。そこで、気持ちが晴れるお手軽な方法をいくつかご紹介します。

一番わかりやすいのは体へのアプローチだと思います。ささやかなことですが、深呼吸するだけでもリフレッシュになります。

悩んでいるときは、知らず知らずのうちに体が緊張している状態にあると思います。特にデスクワークが多かったり、スマホを見る時間が長かったりすると余計に体がこわばるので、緩めることを心がけるといいでしょう。

私が最近試していておすすめなのは、両手を摩擦で少し温めて、温感アイマスクのようなイメージで目を覆ってあげることです。視界が塞がれることで情報も遮断され気持ちが落ち着いたり、眼精疲労のケアにもなります。手軽にできるので作業の合間などにやってみてはいかがでしょう。

また、「モヤモヤは悪いこと」という考え方を改めることも重要です。モヤモヤしたときに過剰に反応してしまい、「もう駄目だ」と思い込むとさらにネガティブ思考のループにはまってしまいます。したがって、モヤモヤは一時的な感情の揺れとして受け入れるようにしましょう。

以上のことを取り入れてもなおネガティブ思考が止まらない人は、さらに二つのことを意識すると良いと思います。

一つ目は、ネガティブな感覚に陥ったとき、それを何かのサインだと考えることです。

感情が良くも悪くも揺れ動くときには、「自分が大切にしたいものを大切にしてもらえなかった」や「自分の価値観とは相容れないことが起こった」など、自分の価値観や欲求、理想が隠れていることが多いのです。

自分はなぜそこで感情が揺れたんだろうと考えることは、自分自身を知るヒントになると思います。また、傷ついたり苦しんだりする経験が、次は同じことが起こらないよう改善につながり成長の機会になります。

二つ目は、悩みの対象から距離を取ることです。距離を取るとは、目の前のことから離れる何かをすることを指します。例えば、小説や映画などの世界に没入してみてはいかがでしょうか。現実世界から離れるコンテンツに触れることで、自分の状況を客観的に見られるようになります。

また、運動もおすすめです。ただ、ウォーキングのような軽い運動では頭に考える余裕があって逆効果かもしれませんので、例えばテニスや水泳のような、やっている最中に他のことを考える余地のないスポーツに取り組むと良いでしょう。もちろん、没頭できるのであれば趣味や新しいチャレンジでも構いません。

 

内向型の相手との向き合い方

友人や仕事仲間が内向型であることは、珍しくないケースだと思います。内向型の方と接するときに私が意識しているのは、急かさないことです。会話の中で考える時間や反芻する時間を取るようにしています。

内向型の方は、特に話すことにコンプレックスを抱えており、「すみません、全然うまく喋れなくて」などと断りを入れてくれることもあります。そのため、こちらは「急ぐ必要はなく、ゆっくり考えて大丈夫ですよ」と言葉を添えるようにしています。話がまとまっていなくても、感じたことをそのまま言える空気感を作れると、安心してもらいやすいです。

内向型特有の「考えてからアウトプットまでの時差」を許容してあげることは、私自身もそうされると嬉しいので、特に意識的に行っています。ただ、一対一ではない場合、例えば仕事で大人数の会議のような場面では、アウトプットを待ってもらうことが難しいかもしれません。そのような場合、内向型の人がいるならば、発言は最後に当てるようにするのが良いと思います。

具体的な質問を投げかけることもポイントです。内向型の人は「どんな感じ?」などのざっくりした質問が苦手で、答え方に迷い混乱してしまいます。「これについてどう思う?」など、質問の内容を明確にしてあげることが大切です。

ちなみに相手が内向型か知るためには、休日にどんな時間が必要なのか雑談の中で聞いてみると良いかもしれません。内向型は"静かな時間を求める人"です。休みの日は、アクティブなことより落ち着いた過ごし方を選ぶ傾向にあります。

また、内向型は電話での会話が苦手な人も多いので、そのあたりも判断基準になると思います。

<取材,執筆: PHPオンライン編集部・片平奈々子>

著者紹介

井上ゆかり(いのうえ・ゆかり)

内向型カウンセラー

自身が20年間コンプレックスを感じていた内向性を受け入れられるようになった経験と独自の分析力をもとに、2018年からSNSなどで「内向型を直さず活かす生き方」を発信。これまでに内向型コミュニティの主宰や講演、カウンセリングセッションなどを行う。その後活動の幅を広げ、まじめながんばり屋さんが自分にやさしくなれる手帳「pure life diary」の開発や、モヤモヤを軽くするセルフケアノート講座を主宰。これらの活動を経て、約1万人の内向型の方と関わってきた。

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