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生き方

あなたが生きづらいのは、幼少期に「自立心の芽」を摘み取られたから

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年06月24日 公開 2024年02月29日 更新

人間関係の悩みを抱えている人の中には、身近な人からの依存心が原因で悩み・苦しんでいるケースも多いという。そして、その人もまた、その影響を受け「強い依存心」を持つようになり、生きづらさを抱えてしまうと、早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏は指摘する。

依存心とは何なのか。依存心が強い人はどう克服すればいいのだろうか…。

加藤氏の著書『安心感 自己不安を「くつろぎ」に変える心理学』の中から解決の糸口となる一節を紹介する。

※本稿は、加藤諦三著『安心感 自己不安を「くつろぎ」に変える心理学』(PHP文庫)を一部抜粋・編集したものです。

 

「依存体質」であることを自覚する

最もたいせつなことは、依存心を克服するためにはどのようにすればよいかということである。

まず第一に、自分は依存心が強いのだということを自覚しなければならない。自分が他人の眼を非常に気にする人間であるならば、依存心が強いと自覚しなければならないであろう。

そして、その依存心を克服するためには、どうして自分がそんなに依存心が強くなってしまったかという原因を探ることからはじめなければならない。

自分の依存心が強い場合には、強くなるような、それなりの理由というのがやはりあるはずである。

依存心が強いとき、考えなければならないのは、自分の周囲の人が依存心が強い可能性があるということである。

自分の依存心が強いなら、自分の周囲の人すべてが依存心を克服しているというようなことはまずないということである。自分が依存心が強い場合には、必ず自分の周囲に誰か依存心の強い人がいるはずである。

依存心は一人歩きできないから、自分の周囲に誰か強烈に依存心の強い人を求める。自分は、そのように依存心の強い人と結びつきながら人生を生きてきたかということを考えることがたいせつである。まず、そのことを点検することである。

 

自立心の芽をつみとる両親の特徴

まず第一に考えられるのは、親との関係であり、友だちとの関係であり、先輩との関係であり、先生との関係である。

いずれにしろ、自分の周囲に誰か依存心の強い人がいて、自分自身がその人と強烈に結びついているということである。周囲の人すべてが自立心に富んでいるならば、自分一人が依存心が強いということはあり得ない。

今まで、自分がどのような人たちにかわいがられてきたか、どのような人たちを尊敬してきたか、どのような人たちとつきあってきたか、それを点検しなければならない。

自分の親が依存心が強い場合、その親と結びついている子どもは、自立心が目覚めるわけがない。

依存心は伝染するものである。したがって、依存心の強い親がいて、その親と分離しないで仲良く育ってきたとしたら、自然に子どもの側も依存心が強くなる。

依存心の強い親は、子どもが自分に対して従順であることを求める。依存心の強い親が至高の価値とするものは従順である。

したがって、あなたがあなたの親に従順であるとき、あなたの親はあなたを素晴らしい子どもと評価する。そして、その親子の関係こそが、あなたの依存心を強め、あなたの自立心の芽をつみとってきたのである。

自己愛的な親と結びつく子どもは、いつになっても自分の精神的歪みを是正できず、その歪みを慢性化させてしまう。

独占欲の強い親と強いられて結合を続ける人は不安から逃れることはできない。その結合がいつになっても本人の精神的成長を許さないからである。

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自分が変わることを恐れず決断すること

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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