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他人からどう思われるか不安...カウンセラーが語る「考えすぎ」の抜け出し方

根本裕幸(カウンセラー)

2023年08月22日 公開 2024年12月16日 更新

自分にダメ出しばかりしてしまう毎日では、必要以上にストレスをためこんでしまいます。そんな考えすぎてしんどくなってしまった心をラクにするヒントを、心理カウンセラーの根本裕幸さんが紹介します。

※この記事は、『PHPスペシャル』2023年9月号より、内容の一部を抜粋・編集したものです。

 

考えすぎると、ますます不安になる

外から家に帰ってふと気が付けば、「ひとり反省会」が始まっている、なんてことはないでしょうか?

ご飯を食べながら、お風呂に入りながら、お茶を飲みながら、「あのときああすればよかった」「あんなことを言っちゃったのはマズいんじゃないか?」「もっとちゃんと考えて行動したほうがよかった」「あの人はどう思っただろう?」などと、ぐるぐると勝手に思考が巡ります。

単なる「振り返り」であれば問題ないですし、「次はもっとこういうふうにしよう」と前向きな気持ちで終えられるのならいいですが、ひとり反省会のしんどいところは、自分にダメ出しばかりしてしまうところです。だから、気分がどんどん沈んでいき、ため息がこぼれることだってあるでしょう。

あちこちのメディアや、職場の人たちから漏れ聞こえる声からも、「これから先は、もっと悪くなる」と、不安を煽るような情報ばかり耳にしているかもしれません。

そうした未来への不安や怖れは「思考」をますます動かし、ああでもない、こうでもない、ああしなければ、こんなことをしてはいけないと、余計に自分を不安にさせます。

 

「自分の心」にもっと目を向けて

考えすぎる癖のある人は、周りの人の目を気にしすぎたり、うまくやろうと意識しすぎたり、失敗することを怖れたりして、縮こまって生きやすいものです。それでは毎日ストレスが溜まり、心から余裕がどんどん奪われて、だんだん笑顔が少なくなっていきます。

そういうときは「自分の心」に目を向けると、抜け出すきっかけになります。自分にとって楽しいこと、うれしいことは何なのか? 「考える」のではなく「感じる」ことに意識を向けてみると、少しずつ心が安心してきます。

 

ぐるぐる考えすぎてしまう理由

些細なことが気になり、考えすぎてしまう理由として、主に次の3つのことが挙げられます。あなた自身に当てはまるものはありますか?

1. 不安や怖れが強く、「他人軸」で生きている

不安や怖れがあると、どうしても私たちの意識は「外」に向きやすくなります。どう思われているか? 嫌われていないか? 迷惑をかけていないか? と、相手の顔色を窺ってしまうのです。

そうすると、私たちの意識は幽体離脱したかのように相手に張り付き、自己喪失状態になってしまいます。気が付けば他の人のことばかり考え、「他人軸」で生きている状態となり、主語が「私」ではなく「他人」になってしまうのです。

でも、他人のことは、ああでもない、こうでもないと、いくら考えてもわかりません。明確な答えにはたどり着けないので、ぐるぐると考え続けることになるのです。

 

2. 自分の心とのつながりが切れている

不安や怖れが現実のものとならないように私たちは考えるのですが、そうして考えることにエネルギーを向けすぎて、今感じている自分の気持ちに意識が向かなくなります。

これが「心とのつながりが切れてしまった状態」です。自分が好きなこと、楽しいことはもちろん、イヤなこと、ムカつくこと、悲しいことなど、自分自身の気持ちがわからなくなるのです。

そうすると、常に何かを考えている状態になり、頭も休まりません。眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりして、体もだるくなってきます。でも、やっぱり不安や怖れがあり、考えることをやめられなくなるのです。

 

3. 自己肯定感が低く、自分を責めやすい

自己肯定感が低い状態というのは、何かと自分のダメなところを探して責める自己否定の状態をつくりやすいものです。仮にうまくいったことがあっても、「たまたまだ。調子に乗ってはいけない」と自分を戒め、うまくいかないことがあれば、「だから自分はダメなんだ!」と勢いづいて自分を責めます。 

そして、気が付けば自分のダメなところばかりを考え、「そのうち人から必要とされなくなるんじゃないか?」などと考えて、ますます不安になるのです。

また、そうして不安になっている自分に追い打ちをかけるように、「こんなんだからダメなんだ!」と責め立てます。これを頭の中でずっとやっている状態です。

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考えすぎないための心をほぐすワーク

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