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謝ったのに、なぜ許してもらえない? 謝罪が下手な人の「3つの失敗パターン」

林健太郎(合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ)

2024年12月06日 公開

「せっかく謝ったのに、なんで許してくれないの!?」。そんなふうに謝罪がうまくいかないときは、ある失敗パターンにおちいっています。プロのコーチとして、これまでに2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導をしてきた林健太郎さんによる書籍『「ごめんなさい」の練習』から、謝罪がうまくいかないときの共通点を紹介します。

※本稿は、林健太郎著『「ごめんなさい」の練習』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

なぜ、あなたの謝罪はうまくいかないのか?

相手に謝罪しても、うまくいかないこともあると思います。そんなときは、次の3つの失敗パターンに心あたりがないかチェックしてみてください。

 

①「そっちが先に謝るべき」症候群

実際の「ごめんなさい」が必要な場面では、自分と相手が、ほぼ同時にカチンときていることが結構あります。そのときにおちいりがちなのが、「そっちが先に謝るべき」症候群です。

先日、妻とけんかをしたときに、この症候群におちいりそうになりました。ことの発端は、私が仕事のアイデアを妻に聞いてもらいたくて、気持ちよく話をしていたときのことです。

その説明の途中、1つのキーワードがたまたま妻に刺さったらしく、妻は私の話から大きく脱線して、自分の話をしはじめました。 私は元の話の流れに戻ってきてほしくて「お〜い」と声をかけました。

軽い感じで言ったつもりが、妻からは「その言い方、こわい!」と悲しげな眼差し。反射的に私の口から出てきた言葉は、「だって、そっちが先に......」。

言った瞬間、「あっ」と気づきました。妻が「こわい!」と思ったのは間違いないので、そこについては謝るのが正解だと思いなおしました。

すぐに「ごめん。言い方がこわかったよね」と伝えると、妻も「私も話をとっちゃってごめんね」と返してくれて、けんかはボヤですみました。頭ではわかっていても、ついとらわれる「そっちが先に謝るべき」症候群。「ごめんなさい」がうまくいかないときによくあるパターンです。

 

②顔がこわい

口では「ごめんなさい」と言いつつ、その表情がこわいことがよくあります。ふくれっ面で、いかにも嫌そうな顔をしていませんか。そんな顔では、「謝りたくないのに無理して謝るなよ」と言われてしまいます。

こわい顔になるのは、「相手と自分、どっちが悪いか」という正しさに、ついこだわってしまうからかもしれません。そんなときは「責任範囲を限定して謝る」ことを意識してみてください。相手を不快にさせたことに対してだけ淡々と「ごめんなさい」を伝えて、「それ以外は知〜らない」くらいの軽やかさで言ってみましょう。

意外かもしれませんが、「ごめんなさい」は「かわいらしさ」と相性抜群です。これまでの人生で「ものすごく腹が立っていたけど、なぜか許せてしまった」という経験をしたことはありませんか。そのとき、相手は例外なく、かわいらしさや愛嬌あふれる「ごめんなさい」を言っていたはずです。

「ごめんなさい」を伝えるときは「深刻にならずに淡々と」がポイントですが、慣れてきたら、ぜひかわいらしさや愛嬌をトッピングしてみてください。「ごめんなさい」の持つ深刻さを軽くする、有効なスパイスになります。

いちばん簡単にかわいらしさや愛嬌を出す方法は、声音を変えることです。たとえば、普段のあなたの「ごめんなさい」のトーンが、ドレミの音階の「レ」だとしたら、それを「ラ」で伝えるイメージです。いつもより思い切りトーンを上げることで、軽やかさを演出できます。

ちなみに、かわいらしさの効果に、年齢や性別は関係ありません。かわいらしさと縁遠そうな人ほど、かわいく謝ったときの効果は絶大です。

 

③言い方が雑になっている

面倒なことを早くおわらせたいという気持ちが強いと、「あ〜、ごめん、ごめん」「はいはい、ごめん、ごめん」といったように言い方が雑になります。また、「なんか、ごめん」という曖昧な言い方をしてしまうこともあります。

雑だったり、曖昧だったりする言い方は、「面倒くさいから、とりあえず謝っとくか」という内心が透けて見えて、逆効果になってしまいます。

 

「あっ」と気づいたら、すぐにやりなおせばOK

以上、3つの失敗パターンをご紹介しましたが、どれも「あっ」と気づいたら、すぐにやりなおすことができます。

■「だって、そっちが先に......(「あっ」と気づく)ううん、ごめんなさい」
■(顔がこわくなっていることに「あっ」と気づく)「ごめん、顔こわかったよね」
■「なんか、ごめん......(「あっ」と気づく)悲しい気持ちにさせてごめんね」

そんなふうに、気づいたら基本に戻ってやりなおせばOKです。えっ、突然、軌道修正したら相手に変に思われないか心配ですか?

はい、とても変に思われます(笑)。ですが、それはむしろ、かわいらしさにつながります。

相手は「この人、一生懸命がんばっているな(笑)」と感じて、ほほえましく思ってくれるはずです。そうなったら、ぎくしゃくした雰囲気は、一気に消えさります。あなたも大いに「キャラ変」していきましょう。

 

著者紹介

林健太郎(はやし・けんたろう)

合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ

2万人以上を指導したコーチ。リーダー育成家。合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを機に、プロコーチを目指してアメリカで経験を積む。帰国後、2010年にコーチとして独立。2016年には、フィリップ・モリス社の依頼で、管理職200人以上に対するコーチング研修を実施。これまでに日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業、家族経営の会社などで、2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導を行なう。『否定しない習慣』『子どもを否定しない習慣』(ともにフォレスト出版)など著書多数。

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