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生き方

初対面でいきなり「どこから来ましたか?」と聞くのはやめた方がいい理由

有川真由美(作家)

2025年01月06日 公開

ビジネス書を中心とした本の要約サービスflier(フライヤー)が発表した、「2024年最も読まれた著者」として選ばれた作家の有川真由美さん。同媒体でいくつかご著書が取り上げられる中で、『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)への読者の関心が一番高かったといいます。

「話しかけてもらえない」と悩む人がやってしまいがちな失敗とは?有川さんにお話しをうかがいました。

※2024年最も読まれた著者ランキングは「flier」の有料会員を対象に、スマホアプリおよびウェブのアクセス数(要約閲覧数)を、著者別で集計し、順位付けをしています。集計期間は2023年12月1日~2024年11月15日です。

 

話しかけられる人になる工夫

―― 初対面の人が大勢居る交流会のような場で「話しかけられる人」になるには、どんな工夫ができますか。

【有川】交流会などで話しかけてもらえないと悩む人の多くは、その環境に緊張して表情や外見がこわばってしまっている可能性があります。

まず大切なのは、姿勢を正して顔を上げることです。自分がどう見られているかではなく、周りの環境や状況に意識を向けてみましょう。例えば、会場の雰囲気や料理の匂いなど、外に意識を向けることで緊張も和らぎます。

また、個性的なアイテムをあえて持参するのも効果的です。先日、私は幕張メッセで開催された音楽フェスに鹿児島から一人で参加したんですが、桜島の大きなイラストが書かれたバッグを空港で購入して持っていったんです。するとそれを見た全く知らない人が話しかけてきてくれました。鹿児島出身バンドが出演していたフェスで、同じように鹿児島に所縁のある人と話すきっかけになるのではないかと思いバッグを持って行ったので、狙い通りでした。

帽子など特徴的な小物を身につけていても会話の糸口になると思います。

あと、本にも書いたんですが、壁の花を束ねるといいますか、同じように自分からは話しかけられないけど話しかけてほしそうな雰囲気の人を見つけて話しかけると百発百中喜んでくれます。そんな相手を探してみるのも良いかもしれませんね。

 

話しかけるハードルを下げるテクニック

――では、自分から話しかける際はどんなことを意識すれば良いでしょうか。

【有川】話しかけなきゃという気持ちを持つ必要はありません。エレベーター来ないですねとか、この店混んでますねとか、そういう些細な発言から始めればいいんです。

ライブやセミナーの会場では「トイレはどこかご存じですか」とか「休憩時間あるか知ってます?」といった質問から始めてもいい。お店の店主に話を聞きたいときは、その人が「待ってました」というように教えてあげたくなるような質問をするといいですね。

例えばバーのような飲食店なら「これはどうやって作るんですか」とか、八百屋さんなら「この野菜はどう料理すればいいですか」といった質問は、お店に関係することなので喜んで答えてくれるのではないでしょうか。

――一方で、話しかける際の注意点はありますか。

【有川】いきなり個人的な質問は避けた方がいいですね。「どこから来ましたか」と正面から聞くと「どうして?」となることもあるので、「そのグッズはどこで売っていましたか」のようなその場にある共通の話題から始めるといいでしょう。

最初から仲良くなろうとするのではなく、その場の会話を楽しむことに集中するのがコツです。

ポイントは相手の反応を見ながら、少しずつ会話を膨らませていくことです。セミナーや交流会なら、共通の知人や興味関心を見つけやすいはずです。プレッシャーを感じず、自然体で接することが一番大切です。たとえ短い会話であっても、その後の時間を過ごす上での緊張感を和らげる効果もあります。

 

人間関係は重く考えすぎない

【有川】その場でひと言つぶやいてみるのも良いかもしれません。「今日は久しぶりにいいお天気ですね」などとふと言ってみるのです。それを聞いた人が反応してくれることもあります。

しかし、ノーリアクションでも気にしないことです。つぶやきはあくまで自分がつぶやいているだけなので、相手の反応についてあまり気にする必要はありません。

私たちはいつも相手からの反応を期待してしまいます。でも、話しかけることは"自分がそうしたい"という都合で話しかけているのです。答える人もいれば答えない人もいる、話しかけることで距離感を測れたらOK、そういう前提で考えた方が気は楽になります。

私自身は話しかけられたら、ほぼ100%返すようにしています。その方が楽しいと思うからです。でも、中には誰からも話しかけられたくない人もいます。それはその人の自由です。いろんな人がいるんだなと、心の中でつぶやいて、それで終わりにすればいいんです。

――少し個人的な悩みなのですが、誰かに話しかける時、いつも切り上げるタイミングに困ってしまいます。それを気にして、話しかけるのを躊躇してしまうこともあります。どうしたら良いのでしょうか?

【有川】会話を自然に終えるコツは、無理な言い訳を作らず、「また今度」という軽やかな雰囲気を作ることです。例えば、近所の人との立ち話なら、軽く挨拶を3往復くらいさせれば、約10秒で程よく会話を終えられます。ライブや講演会の合間だった場合は、状況に応じて自然に「また話しましょう」と伝えるのがベストです。

大切なのは、相手との関係性を意識しながら、気軽に「また」と伝えること。次の機会への期待感を残すことで、心地よい人間関係を築けると思います。

取材・編集=PHPオンライン編集部 片平奈々子

著者紹介

有川真由美(ありかわ・まゆみ)

作家/写真家

鹿児島県始良市出身。台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。著書は「いつも機嫌がいい人の小さな習慣」(毎日新聞出版)、「感情の整理ができる女ひと
は、うまくいく」「50歳から花開く人、50歳で止まる人」(PHP研究所)など多数。

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