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簡単に立体的な絵を描く方法は? 野村重存さんの「世界一わかりやすい絵の授業」

野村重存(画家)

2026年05月07日 公開


写真:小池彩子

テレビ番組「プレバト!!」(MBS/TBS系)の水彩画コーナーで大人気の絵の先生・野村重存さんは、「絵のセンスや才能がない」と思っている超初心者、さらにその前段階の初心者未満の人でも、「必ず上手な絵を描くことができる!」と語ります。

前回の記事では、絵を描くときの最初のステップ「型取り」について教えてもらいました。型取りの基本は、軽く、薄く、何本もの「直線」でものの輪郭を描くこと。本稿では、りんごを型取りした絵をもとに"立体的な絵を描く方法"について教えてもらいました。生徒役は、絵を描くことにコンプレックスを抱いている超初心者のIさんです。

※本稿は、野村重存著『野村重存の世界一わかりやすい絵の授業』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

こう描けば立体的に見える!

野村:それじゃあ、Iさんが型取りした絵をもとに、実際に整えていきましょう。

I:よーし、実物のりんごに近づけていくぞ〜! えーっと、こんなところに角はないから、ここはまるく描いちゃおう。

野村:おっと、ストップ! そこ、曲線で描いちゃいます?

I:えっ、実物のりんごに近づけていくんだから、曲線で描くんじゃ......。

野村:残念! 曲線で一筆書きのように描くと、どうなりますか?

I:......あっ、曲線で描くと、りんごのまるいながらも、いびつでゴツゴツした感じが表現できないと、この前、習いましたね(汗)。

野村:思い出してくれましたか。

I:ということは、この整える工程でも、型取りのときと同じように「直線」で描いていくんですか?

野村:その通り! 型取りのときよりも短い「直線」で、軽〜く、薄〜く、何本も直線を描きながら角を削っていきます。そのとき、一気に整えずに、少しずつなめらかにしていきましょう。

I:サッサッサッ。本当に地道ですね。野村先生、下のような感じになりましたが。

野村:そう、そんな感じです。とてもいいですね!

I:ありがとうございます! 大人になると、ほめられることがないので、うれしいです(照)。

野村:少しずつ、少しずつ角を削っていってなめらかになったら、最後に必要のないはみでた線を消しゴムで消すと、りんごの輪郭は完成です。

I:やった〜! 輪郭が完成しました。角を削る前と削ったあとを下に並べましたが、まったく違いますね。角を少しずつ削って整える工程って、彫刻みたいで、とてもおもしろかったです。

野村:まさに彫刻と同じです。彫刻は、ゴツゴツした多面体の素材の角を少しずつ削っていって、なめらかにしていきますからね。

I:野村先生、多面体というのは......?

野村:立方体や直方体など、4つ以上の平面で囲まれた立体のことですね。絵や彫刻などの美術の世界ではよく使われる言葉で、ものを平面ではなく立体としてとらえるときにイメージする図形です。......あっ! 多面体といえば、ちょっと待っててください。私も描きます。サラサラサラ。

I:野村先生のお手本ですか!

野村:はい。型取りをしたあとに削って整えたのが、下です。

I:うわぁ!! 一気に実物のりんごに近づいた! あれっ、輪郭だけじゃなくて、りんごの前側にも、なにか線が描いてありますね......。

野村:そうなんです。これは、りんごの表面のまるみを出すための線ですね。りんごを平面ではなく立体としてとらえて、表面があることを意識しながら、縦や横の直線を薄く描きくわえました。

I:この線があることで、一気にりんごが立体的に見えますね。

野村:粗い木彫りのりんごみたいに見えるでしょう?

I:はい、見えます! 考えてみると、リアルな絵って、平面的ではなく立体的ですもんね。これまで輪郭をとらえるのに一生懸命で、りんごにまるみのある立体感があるのを忘れていました......。というか、今、はじめて立体だと意識しました(汗)。

野村:まずは、きちんと輪郭のかたちを描くことが大切なので、大丈夫ですよ。

I:この表面の線は、どうやって描けば......?

野村:ものを多面体としてとらえて描くのは、いきなりは難しいんです。多面体の感覚をつかむには、習うより慣れよ。特に、Iさんのような初心者は、お手本をなぞって練習するのが、いちばんの近道です。なぞるうちに、「こうやって描けば立体的に見える」という感覚をつかめるようになりますから。

I:わかりました。さっきの野村先生のお手本を、今、少しなぞってもいいですか?

野村:どうぞ、どうぞ。

I:お手本をコピーしてっと。それじゃあ、なぞります。......あ、少しずれた。

野村:一気にスーッと線を引くと、線がずれたり、それたりしやすいんです。「ゆっくり、ゆっくり」「とぎれ、とぎれ」がコツです。

I:つい、急いで、なぞってしまいます......。

野村:あせらずにいきましょう。お手本の線がどんなふうに描かれているか、じっくり観察しながらなぞると、上達がグンと早くなりますから。

I:何度もなぞって練習しますね。表面の線も!

野村:がんばりましょう。

 

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