アメリカの思うツボに はまらない!
2012年12月05日 公開 2020年08月19日 更新
防衛大臣は危険だ、と述べていた!
オスプレイはイラク戦争で実戦配備されましたが、砂漠という悪条件下では機体やエンジンの消耗が激しく、出動するよりも倉庫で修理をしているほうが長かったほどです。
空中給油もできるというのが売りですが、それはよっぽど条件に恵まれたときだけで、たいていは不可能なほうが多いのです。とんだ張り子の虎です。
できないに決まってますが、もし日本がオスプレイ配備を断ったとしたら、オスプレイはグアム島に配備されていたと思います。その場合、確実に海兵隊は普天間を出てグアムに移転していたでしょう。つまり、「最低でも県外」と断言した鳩山由紀夫元首相の言うとおりになっていた可能性が高かったのです。
ぜったいに米軍を移転させたくない勢力が日本にもアメリカにもあります。彼らは基地利権を持っている勢力ではなく、米軍が日本の基地を解放することは、そのまま、アメリカの庇護の下から追いだされることを意味します。そうなると、いままでアメリカの虎の威を借りていた勢力は日本のあの政治家たちに従わなければなりません。この戦後ながらく続いた「従属関係」という居心地のいい環境を失いたくないのです。そのために、オスプレイ導入熱烈歓迎、10月配備はノープロブレム、ということになったのでしょう。
首相はわけがわからないまま、相変わらず、操り人形よろしく、「安全が確認できた」と無責任なことを発言させられていました。
市街地のど真ん中にある普天間基地は、夜10時から朝7時まではオスプレイは離発着しないことになっていますが、いざとなれば、まったく関係なく、無頓着に、離発着するはずです。軍隊は役所ではありません。こんな取り決めなど有名無実になるのは当然のことです。
日本は、米軍にとって天国だと思います。韓国やフィリピンのように米軍だからといって忌避されたり、バカにされることもありません。日本人は優しいから、米軍兵士にも分け隔てなく付き合ってくれます。だから、みな、家族で日本に赴任したいのです。米軍の依頼(命令)を唯々諾々と聞くのは世界中で日本だけです。
今後、オスプレイは沖縄だけでなく、日本全国に配備されることでしょう。そのように計画しているのですから、そうなります。だれにも止められません。
そうなると心配なのがやはり事故です。オスプレイの事故データをチェックすれば、安全が証明された、などというお手盛りの判断などとてもできないと思います。
森本敏防衛相ご本人が拓殖大教授時代に、「オスプレイは未亡人製造器、といわれているほど危険性が高い」と語っているのです。いまや本人が大臣になってしまったので、国民に安全責任を証明、説明しなければいけない立場になってしまいました。しかし、ものがそもそも矛盾した輸送機なのですから、「危険と裏腹だから、ぜひ操縦士の練度を上げなければいけない」と本音を開陳はできないでしょう。
池田整治
(いけだ・せいじ)
1955年愛媛県愛南町生まれ。防衛大学校国際関係論卒業。陸上自衛隊入隊。小平学校人事教育部長、陸上自衛隊陸将補を定年前に退官。1990年代半ばの第一次北朝鮮危機における警察との勉強会、それに続くオウム真理教が山梨県上九一色村に作ったサティアンへの強制捜査に自衛官として唯一人同行支援した体験等から、世の中の「本当の情勢」を独自に研究。空手道七段。全日本実業団空手道連盟理事長、東藝術倶楽部顧問などを務めている。