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終わりの見えないタスクにどう区切りをつける? フリーランスの効果的な休み方

曽田照子(ライター)

2025年07月22日 公開

自由に働くことができるフリーランス。しかし、仕事のペースを意識しないでいると、自由どころか休むことができずに働きづめの毎日になってしまうケースも少なくありません。

フリーランスでライターをする曽田照子さんは、自身の経験をふまえて休む大切さを痛感したといいます。曽田さんの著書『フリーランスの休みかた 仕事が減る不安から解放される41のヒント』では、フリーランスが「どう休むか」を軸に、より健康的で充実した働きかたを模索するヒントを紹介しています。同書より効果的な休みのとり方についてご紹介します。

※本稿は、曽田照子著『フリーランスの休みかた 仕事が減る不安から解放される41のヒント』(インプレス)より内容を一部抜粋・編集したものです

 

クライアントと休みを合わせるか、わざとずらすか

いつ休むかを考えるとき、大きな要素になるのが、クライアントの休みに合わせるべきか、それともあえてずらすべきか、ということです。どちらを選ぶかは、ケースバイケースで判断していく必要がありますが、それぞれのメリットを整理してみましょう。

●クライアントと休みを合わせるメリット

・タイムラグを減らせる
クライアントが稼働している時間に自分も仕事をしていれば、緊急の問い合わせや修正依頼に即座に対応できます。タイムリーなやりとりが可能になり、コミュニケーションのタイムラグを減らせます。

・心置きなく休める
クライアントが休むタイミングと自分の休みのタイミングが同じであれば、休みの間に緊急の連絡や要望が来ることはありません。休みの期間は、クライアント対応の心配をしたり、自分だけ休んでいるという後ろめたさを感じたりすることなく過ごせます。

●クライアントと休みをずらすメリット

・ロスタイムを減らせる
クライアントが成果物を確認している間に手が止まってしまうなら、その間に休むのもひとつの方法です。クライアントが内部で作業をすすめている間に休息をとれば、ロスタイムなく次の作業にスムーズにすすめます。ただ、休みの間に来た連絡を見落とさないよう注意は必要です。

案件の進行状況やクライアントの関係、自身のワークスタイルによりますが、クライアントの関係が浅いうちは休みを合わせたほうが無難です。休みをずらすなら、あうんの呼吸でやりとりができるようになってからにしたほうがよさそうだ、と私は思っています。

 

「この仕事が終わったら」は死亡フラグ

「この仕事が終わったら休める」。そう思いながら働き続けていませんか?でも、そう簡単にはいきません。仕事は際限なく終わらないし、休みはいつの間にか緊急案件や雑用で埋まります。

フリーランスにとって「この仕事が終わったら」は、少し前に流行った「死亡フラグ」のようなものです『この戦争が終わったら結婚するんだ』や『この任務が終わったら引退する』と語る登場人物は必ず倒れる、というアレです。

フリーランスが「この仕事が終わったら」と休みを先送りにしているうちに、仕事は次々と舞い込み、休む余裕などなくなって......最悪の場合倒れてしまうのです。フリーランスには休むタイミングを自分で決める自由がありますが、その自由さがかえって休みを後回しにしてしまう原因になりがちです。

緊急案件が飛び込んだり、気がつけば雑用が山積みだったり......「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせて働き続けるうちに、疲れは蓄積し、パフォーマンスが低下、効率も落ち、ミスが増える̶̶まさに悪循環です。

だからこそ、強い意志を持って「休む」と決意して、自分で休みを確保しなければなりません。フリーランスにとって休みは、時期が来れば自然に天から降ってくるものではありません。

休みは自分からつかみとりに行かなければ、いつまでも手に入らないものなのです。

 

休みのマイルールを決める

「疲れたら少し休もう」と自分で休みを調整できれば理想的ですが、実際には仕事に乗っているときや締め切りが迫っているとき、休むタイミングをコントロールするのは至難の業です。

そこで、あらかじめ「休みのマイルール」を作っておくのがおすすめです。ルールは「休日」「休憩」の両方で設けましょう。

休日のルールなら、たとえば、「10日に2日は必ず休む」「月に4日は完全オフにする」「月末の30
日と31日は休みにする」「仕事が立て込んで休みがとれなかった場合は必ず代休をとる」「月に1日はオフラインの日を設定してデジタルデトックスをする」といった具体的なルールを決めておくのです。 「家族の誕生日にあたる日は必ず休む」など、自分にとって特別な日を休みの日に設定するのもいいでしょう。

休憩のルールなら、「ランチタイムは1時間は休む」「2時間以上続けてパソコンに向かわない」「22時以降はパソコンを開かない」などが考えられます。自分の状況に合ったルールを決めておくと、守りやすくなります。

しかし、ルールはあくまで指針です。状況によって柔軟に変更したり、見直したりすることも大切です。「絶対に守らなければならない」と自分を縛りすぎると、かえってストレスになる場合もあるので、そこは柔軟に対応しましょう。もし今日ルールを破ってしまっても、それでおしまいではありません。また明日から守れば良いのです。

 

スケジュールに組み込んで休みを確保しよう

休みのマイルールを決めたら、それをスケジュールに落とし込みましょう。

仕事を円滑にすすめる上でスケジュール管理は大切なポイントです。「あれもやって、これもやって」と、スケジューリングがまるでテトリスのように積み重なっている人も少なくないでしょう。予定がスカスカだと不安になり、ぎっしりつまっていると安心する、というのはフリーランスの「あるある」かもしれませんね。

そんな状態で休みを確保するためには、スケジュールの中に「休む」という予定をあらかじめ書き込むことが有効です。「この日は休む」「この時間は休む」「何時から何時までは休憩」と、具体的に記載して、仕事のアポイントと同じように扱うのです。

スケジュールに休みを入れることは、自分に「休んでいい」という許可を与えるという意味合いもあります。まずは、スケジュール帳やアプリに「休み」と書き込み、それを守ることから始めてみてはいかがでしょうか。

空いているから休みではなく、休みという予定を入れておく、という考えかたです。「毎日仕事」という状況でも、「明日は休み」「あと数日働いたら休める」と思えるのは、予想以上に嬉しいものです。学生時代や会社員時代に「週末が待ち遠しい」と感じたことを思い出すかもしれません。

ただ、フリーランスの場合「この日は休むと決めたから」と一切対応しないのは、クライアントの関係上よくないというケースも多々あります。そこは柔軟に考えましょう。

もし、やむを得ず休日対応した場合は、同じ週か翌週など、できるだけ近い日に「代休」をとる権利を自分に認めてあげるべきではないかなと思います。

裏技ですが、断るのが苦手なタイプの方は、紙の手帳でもアプリでも、休むという予定を書き込む際に、ストレートに「休み」「OFF」ではなく「別件」「先約」と書いておくのがオススメです。

休みと書き込んでいると、クライアントから「◎日はいかがですか?」と打診されたときにうっかり「休みの予定だけど、まあいいか」と流されてしまうことが多々発生します。

断るには惜しい案件やクライアントの場合はしかたがないのですが、常に流されていては休みが取れません。

「別件」と書いてある文字を見ながらだと「別件がすでに入っておりまして」と、断りやすくなるのです。

日々のスケジュールを立てず、何となく1日を過ごしているという人もいるかもしれません。たとえば、目が覚めて仕事をし、空腹を感じたら食事をとり、夜になったら風呂に入って眠くなるまでパソコンかスマホに向かっている̶̶そんな日常です。

フリーランスは何時に働こうが、何時に寝ようが自由です。ずーっとサボっていても締め切りさえ守れば誰にも文句を言われる筋合いはありません。

しかし、ダラダラ過ごすのは、仕事の効率という面でも心身の健康の面でも、よくありません。休憩時間だけでも決めておくと、日々のリズムが整い、仕事にメリハリがつきます。

午前中のひと休み、ランチ休憩、午後のおやつタイム......といった休憩だけでなく、一定時間以上作業をしたらいったん立ち上がって深呼吸する、という程度でも良いので、ぜひ毎日の予定の中にも休憩を入れておきましょう。

スケジュールを確保していても、休憩を忘れてしまうことは誰にでもあります。アプリやツールのアラームや通知機能を活用して、休憩をリマインドすることをおすすめします。休憩時間の始まりだけでなく終わりにもアラームを設定しておくと、仕事への復帰がスムーズになります。

決めた時間に手をやめ、休憩を挟む習慣をつけることで、仕事と休みのバランスが格段に良くなるはずです。

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