おかしな日本語あるある~日本人の9割が間違えている!?
2012年12月14日 公開 2024年12月16日 更新
本稿は本郷陽二著『日本人が「9割間違える」日本語』(PHP文庫)より一部抜粋・編集したものです。
表記や意味を間違っている日本語
「あいつ、俺のアイディアを横取りしたんだ。まったく姑息な奴だぜ」
「本当だよな。自分ばっかりいい顔しやがって。やることが姑息なんだよ」
この会話を読んで、「おや?」と思った人はどれくらいいるでしょうか。たぶんほとんどの人が何の違和感も持たなかったはずです。
それもそのはず、ここに登場する「姑息」という言葉は、日本人の多くが使い方を間違う代表的なものだからです。
「姑息」の本当の意味は、「根本的な解決ではなく、一時しのぎにすること」。
ですから、
「タンスに洋服を押しこむような姑息なやり方では、整理整頓とはいえない」
といったように使うのが正しいのです。
しかし、冒頭の例文のように、「姑息」=「卑怯」「ずるい」といった意味の捉え方をしている人が圧倒的多数です。
同様に、「敷居が高い」という慣用句も、多くの日本人が誤用している言葉です。
「あのレストランはミシュランの3つ星でしょ。私には敷居が高いわ」
というように、「高級すぎたり、上品すぎたりして行きづらい」といった意味で使う人が多いのですが、「敷居が高い」の本来の意味は、「不義理をしたり、迷惑をかけたことが気になって、相手の家に行きにくい様子」。
したがって、
「借金を返していないから、あの家は敷居が高くて……」
というのが正しい使い方です。
このように、私たちがふだん当たり前のように使っている日本語の中にも、表記や意味を間違っているものが意外なほどたくさんあります。
「多くの人が間違って使っているのだから、別に気にする必要もないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、きちんとした日本語を使う人は、面と向かって指摘はしなくても、心の中では「この人は常識がないな」「まともな日本語も知らないのか」などと思っているでしょう。
逆に、多くの人が間違う中で正しい日本語を使っていれば、「ほお、若いのにしっかりしているな」「教養があるんだな」と思ってもらえます。
特に年配の人は言葉づかいを重んじる傾向がありますので、正しい日本語を使える社会人は、それだけで年配のお得意様や上司から一目置かれる存在になるでしょう。
言葉はその人の知的レベルを端的に表わします。そして、正しい日本語を使える人はそれだけで品格が感じられます。ぜひ、皆さんの日本語力、そして教養カアップに本書 『日本人が「9割間違える」日本語』 をお役立てください。