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「SNSを使って稼ぎました」の実際 収益化より大切な“ライターの心構え”

茨木彩菜(文章コンサルタント)

2025年09月04日 公開

SNSから収益を得ている人は、今や珍しくありません。文章を書きたい人にとって、メディアプラットフォームnoteでの収益化は目標の一つになるのではないでしょうか。

しかし、noteで収益を得た人の実態は、期待に反して厳しいものだと、文章コンサルタントの茨木彩菜さんは説明します。

茨木さんの著書『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』から、noteを4年以上続けた実感と、バズりとの向き合い方にまつわる一節をご紹介します。

※本稿は、茨木彩菜著『文才ゼロでも書ける人になれる「国語力」の磨き方』(インプレス)より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

SNSで収入を得られる人はたった0.01%

YouTube、Instagram、X、TikTok、ブログなどSNSのユーザーの中にはインフルエンサーと言われる、発信によって収入を得ている人たちの姿が目立ちます。

コロナが流行してからは在宅ワークや副業の選択肢が出てきて、「リスクゼロの起業」「趣味で始められる」といった甘い言葉を何度見かけたことか......。メディアプラットフォームnoteでは、有料記事の販売やコミュニティ運営などもできるので、「noteで月収7桁以上を得るコツ」といったマネタイズの発信も見かけます。

SNSで成功している人を見ると、「自分も頑張ればうまくいくのではないか」と期待を抱きますよね。私もnoteを始めたときは、「ライティングの案件や出版の依頼が来るかも」とか「有料コンテンツを売って不労所得を得る」と夢見ていました。

4年続けてフォロワーは1200人以上になりましたが、案件が来たのはたった1回。庭のほとりで歌っていれば王子様が迎えに来てくれるなんて、そんなSNSドリームは幻だと気づいたのです。

実際、どれだけの割合の人がSNSドリームを叶えているのでしょうか?2024年3月時点で、
・noteのトップクリエイター1000人の平均年収...1160万円
・noteで収益を得たことのある人...15.5万人
・同年1月時点でnoteユーザー数...777万人

つまり、
・noteで収益を得たことがある人(15.5万人)...全体の約2%
・平均年収1160万円トップクリエイター(1000人)...全体の約0.013%

「収益を得たことのある人」とは、「たった一度、1円でも得た人」も含まれますから、継続的にSNSで稼げる人はほんの一握りであることが分かります。

 

バズっても儲かるとは限らない

SNSをしている人なら、一度はバズってみたいと思いますよね。炎上は怖いけど、手間をかけた投稿は特に反響がほしくなる。noteでは「公式マガジン」に記事が選ばれると、飛躍的に閲覧数が増え、フォロワー増加にも繋がります。ただ、投稿がバズったからといって、仕事依頼が殺到することはありません。

私が公式マガジンに選ばれたのは2回。小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』の感想記事と、喫茶店でのバイト経験を語った記事で、閲覧数は1〜2万PVを獲得しました。普段の記事は1000PV程度なので、注目度は段違いです。

けれど仕事の依頼が来たのは、たった1件だけ。投稿内容に関する案件でもなく、バズったことが理由だったとは言い切れません。投稿がバズっても、仕事依頼が殺到するわけではないのが真実です。

ちょっとした自尊心が満たされて、数日間いい気持ちで過ごせるだけです。

本当に目指すべきは、バズりではなく、たった1人の心を掴むこと。「あなたって素敵」「仕事を頼みたい」「応援したい」と思わせることが、SNS運用で目指すべき形です。

以前、noteのフォロワーさんが『書く気が失せてしまった』というタイトルの記事を書いていました。発信の苦しさが分かる私は「あなたがブログをやめたら寂しい」と、思いを記事にしました。1人のフォロワーさんに宛てた記事でしたが、アクセス数は私の月間PVで5位に上がるほど。

たった1人のために真心をこめて書いたものが、他の人にも刺さった証明です。一方的に伝えたいことを書くのではなく、相手の呟きを拾って言葉を返す優しさが、あなたのファンを作っていきます。

 

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