中国の食卓には、豪華な食材や特別な技法を使わずとも、どの家庭でも作られる「家常菜(家庭料理)」と呼ばれる料理が数多くあります。その中でも「じゃがいもとニンジンの細切り炒め」は、もっとも親しみ深い一品のひとつ。中国の庶民的な食文化が凝縮されています。
じゃがいもの伝来と家庭料理への定着
じゃがいもは、大航海時代以降に西洋から伝わった作物です。16世紀末にはすでに宮廷で栽培が始まり、清代には農村にも広まりました。当初は珍しい野菜でしたが、寒冷地でも育つ生命力の強さと保存性の高さから、やがて中国全土で重要な食材となっていきます。
じゃがいもを細切りにして炒める「土豆丝炒(トゥードウスー・チャオ)」という調理法は、こうした普及のなかで生まれました。細く切ることで火の通りがよくなり、調味料が均一に絡み、シャキッとした歯ざわりを楽しめます。ニンジンを加えると色合いが美しく、甘みと栄養も増すため、家庭では自然と定番化しました。
この「細切り」にも実はコツがあります。中国では四角い中華包丁を使って切るのが一般的で、あれで切ると驚くほど細く、均一に仕上がるのです。けれど、料理を始めたばかりのころの私は、この作業が本当に難しくて、よく指を切ってしまっていました。包丁の角度ひとつで厚さが変わるので、慣れるまでは神経を使う作業です。
また、細切りにしたじゃがいもを酢水にさらしておくことも大切な工程です。酢を入れた水に漬けることで変色を防ぎ、余分なでんぷんを落とすと、仕上がりがシャキッとします。ここを丁寧にするかどうかで、食感が違ってきます。
地域や家庭によってはピーマンを加えることもあります。鷹の爪のピリッとした辛味がアクセントになり、素朴ながら飽きのこない味わいが魅力です。もしスーパーなどで北京ダック用の皮を見かけたら、この炒め物を巻いて食べてみるのもおすすめです。
じゃがいもと人参の細切り炒め
材料(2人前)
・ジャガイモ 2つ
・人参 1/2本
・ベーコン 1~2枚
・ピーマン 1/2個
・お水
・お酢
・塩コショウ
・ニンニク 適量
・鷹の爪 適量
●作り方
1. ジャガイモ、人参、ピーマンはを千切りにする。
→ボウルに張った水に少量のお酢を入れ、細切りにしたジャガイモを漬けておく。酢水にさらして変色を防ぎ、でんぷんをしっかり落とすことで、仕上がりがシャキッとする。
2. フライパンに油をひき、ベーコンを入れて、塩コショウを振る。そこへニンニク、鷹の爪を入れて強火で炒める
3. 人参を加えて炒める。
4. 水気をよく切ったジャガイモを加える。
5. ジャガイモが少し透明になってきたら、ピーマンを加えて軽く炒める。
6. 炒め終わったら、お酢をほんの少し回しかけ、全体をさっと混ぜる。