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「スマホを見てしまう」集中力の低下は改善できる...簡単な5段階トレーニング

枡田智(マインドフルネス指導者・森林療法士)

2025年10月29日 公開

勉強や仕事に集中したい。それなのにどうしても、スマホをチェックしたくなったり、別のことに意識が向いてしまったり。集中力を持続させるのは難しいものです。集中力を高めるには、まず「意識が引っぱられていること」に気づくことが大事だそう。「気合」や「根性」ではない、集中力アップの方法とは?

※本稿は、枡田智著『右脳におまかせ! 見える世界が変わる「5日間レッスン」』(大和出版)より一部抜粋・編集したものです。

 

集中力を鍛える実践ワーク

集中力を高めるために必要な力は、大きくまとめると次の2つです。

1.意識を引っぱる欲求や思考に気づき、それに引っぱられずに意識を対象に戻す力
2.なるべくエネルギーを消耗せず、対象に意識をとどめ続ける力

左脳を静めて右脳を活性化させるトレーニングは、この2つの力を上げてくれます。
それが集中力を高めることにつながっていきます。

それでは、集中力を鍛える実践ワークをご紹介しましょう。
ぜひ取り組んでみてください。

 

1.取り組む対象を決める

まずは、集中して取り組む対象をひとつ決めましょう。たとえば、

・10分以上の長めのYouTube動画を見る
・5000文字以上の長めのWeb記事を読む

などがおすすめです。もちろん、現在取り組んでいる仕事や勉強を対象にしてもかまいません。
ポイントは、「途中で中断せずに最後まで取り組むことが、少し難しいもの」を選ぶことです。
たとえば動画なら、最後まで楽に見られる内容ではなく、途中で他のことをしたくなったり、別の動画が気になったりするような、少し難しめのものを選んでみてください。

できれば、10分以上かかるものが望ましいです。ある程度の長さがあったほうが、集中力のトレーニングになります。

 

2.終了基準(目的)を決める

次に、その作業を「どこまでやるか」を明確に決めましょう。
終わりがはっきりしている作業であれば、「最後までやりきること」を目的にします。たとえば、動画なら「最後まで視聴する」、記事なら「最後まで読む」といった具合です。

一方、終わりが明確でない作業の場合は、「20分続ける」など、時間を区切って取り組むとよいでしょう。このときは、タイマーをセットしておきましょう。
終了基準が曖昧だと、自分が集中できていたかどうかを判定できないため、しっかりとゴールを設定してから始めましょう。

 

3.対象に取り組む

決めた対象に、実際に取り組みます。
余分な力が入っていると、エネルギーを消耗しやすくなり、集中力が続かなくなってしまいます。体に不必要な緊張が入っていないかを確認してみましょう。

たとえば、肩や背中、首まわりに力が入っていたら、少しゆるめてみます。目や眉間に力が入っていたら、その力をふっと抜いてみます。
また、呼吸が普段より浅くなっていたり、止まっていたりしたら、楽に呼吸をするように意識してみます。
必要以上に早くやろうとすると、疲れやすくなります。スピードよりも、安定した集中を大切にしましょう。

ただし、完全に脱力してしまうと、今度は集中が保てなくなってしまいます。力を入れすぎず、抜きすぎず――緊張とリラックスのちょうどいいバランスを探りながら、取り組みましょう。

 

4.集中が途切れそうになったら気づいて戻る

そのうち、対象以外の何かに意識が引っぱられ、集中が途切れそうになる瞬間が出てきます。そのとき大切なのは、「意識が引っぱられていること」に気づくことです。

引っぱられるパターンとして多いのは、次の2つです。

(1)欲求に引っぱられる
「スマホをチェックしたい」 「別のことをしたい」といった欲求が湧いてきて、意識が引っぱられることがあります。まずは、その欲求に気づきます。
その欲求があまり強くなければ、そのまま意識を対象に戻して作業を続けます。
しかし、欲求が強い場合は、無理に作業に戻ろうとせず、その欲求を観察してみます。

強い欲求は、体感として現れます。たとえば、ソワソワ感、焦り、イライラ、いても立ってもいられない感じなどの、エネルギーを伴うリアルな体感です。
その体感をただ観察します。無理に消そうとしたり、早く作業に戻ろうと焦ったりせず、そのまま観察します。
やがて欲求が少し弱まってきたら、意識を対象に戻し、作業を再開します。

(2)思考に引っぱられる
関係のない思考が浮かんできて、意識が引っぱられることもあります。
そのときは、その思考に気づきます。気づいたら、取り組んでいる対象に意識を戻します。

または、気づかずに意識が対象からしばらく離れてしまうこともあるでしょう。そんなときも、「あ、今、意識が離れていたな」と気づければ、それでOKです。
気づいたら自分を責めずに、淡々と対象に意識を戻します。

 

5.疲労やモチベーション低下で集中が途切れそうになったら対処する

作業を続けていると、疲労感やモチベーションの低下によって、集中が途切れそうになることがあります。
そのときは、その体感に気づき、感じて、観察します。

たとえば、疲労感によって集中が途切れそうになったら、その「疲れている感じ」を体の感覚として丁寧に感じ取り、観察してみます。
そのうち疲労感がやわらぎ、あまり気にならなくなってきたら、意識を対象に戻し、作業を続けます。

また、「やる気が出ない」「取り組むのが嫌だ」「なんとなく抵抗を感じる」といったモチベーションの低下が起きたときも、それに伴う身体的・心理的な反応を感覚として感じ取り、観察します。
無理にやる気を出そうとしたり、焦って作業に戻ろうとしたりせず、ただ、その感覚があることを認めて、静かに見守ってみましょう。
やがて、その感覚が少し弱まってきたら、意識を対象に戻し、作業を続けます。

 

無理なく集中できる時間の目安は?

以上のような対応を、作業終了まで続けていきます。
途中で集中が途切れてしまったときも、自分を責めたり、ガッカリしたりはせずに、「集中が切れたこと」に気づきましょう。

たとえ最後まで集中が続かなかったとしても、意識がそれたことに気づき、作業に意識を戻すことができたなら、それで十分にトレーニングは成功です。
まずは、短めの動画を見たり、文章を読んだりといった10分程度で終わるものから始めてみましょう。
その中で、意識を引っぱる思考や欲求、疲労感などに気づき、観察し、意識を戻す力を少しずつ鍛えていきます。

慣れてきたら、少し長い作業にもチャレンジしてみましょう。
とはいえ、集中力が高まったとしても、何時間も連続で集中し続けるのは体力的に難しいものです。
無理なく集中できる時間の目安は、30分〜1時間程度でしょう。
長時間の作業が必要な場合は、30分〜1時間ごとに休憩を挟みながら、体力を回復させつつ取り組むのが効果的です。

著者紹介

枡田智(ますだ・あきら)

森林療法士・マインドフルネス瞑想指導者

上智大学大学院で物理学と情報工学を学ぶ。修了後、大手メーカーで新規技術の開発に従事し、特許を多数取得。その一方で、長年メンタル不調に悩まされていたが、あるきっかけから、たった3日で不調から脱出。
その後、森林療法を学ぶとともに、アメリカで著名なマインドフルネス瞑想の指導者に師事し、数年間かけて、瞑想の理論、実践、指導方法を修得し、独立。これまで1000名以上に瞑想を指導。
元理系研究者のスキルを活かし、わかりにくい瞑想をクリアに図解・言語化し、「とにかくわかりやすい」「あいまいさがなく明快」「他講座でわからなかったことがすんなりとわかる」と高い評価を受けている。

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