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生き方

「他人に流される自分」から抜け出す 自分に正直に生きるための“感性”の育て方

SHOWKO(陶芸家)

2026年02月16日 公開

「昔はそこまで興味なかったけど、今はやるのが楽しい」「好きではなかった食べ物が好きになった」そんな経験をしたことはありませんか?

そうした自分が本当に好きなもの・ことに目を向け、昔と今との変化を確認することで「自分らしい感性」を育てることができると、陶芸家のSHOWKOさんは語ります。本稿では、SHOWKOさん著書『クラフトフルネス』より、感性の磨き方、そして感性を磨くことで得られるメリットを紹介します。

※本稿は、SHOWKO著『クラフトフルネス』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

感性の棚卸しをする時間を持つ

感性を磨くことは、筋トレと同じで、一朝一夕では身につきません。けれども、クラフトワークやもの作りを趣味にし始めると、少しずつ「ものを見る目」が養われていきます。

流行しているから、誰かに自慢できるから、ではなく、「自分が好きなもの」「自分が嬉しくなるもの」を選べるようになってくるのです。その答えは、自分の内側にしかありません。

まずは、自分の好きなものをベスト5にしてみましょう。5つに絞れなければ、ベスト10でも、ベスト15でもかまいません。むしろ、その多さも今の自分の興味の広がりを示しています。

また、人は人生を過ごす中で、だんだんと好みが変化してくることがあります。食の趣味、好きだった映画、洋服、また色やインテリアのテイストなども、歳を重ねるとともに変わっていきます。昔は、金属系やFRP(繊維強化プラスチック)の近代的でスタイリッシュに感じる家具を置いていたのに、今は無垢の自然素材じゃないと落ち着かなくなった。

または、昔はホラーやサスペンス映画を見ることができたけれど、今は緊張感のあるものよりもロマンスのほうがいい、とか。洋画じゃなくて邦画のほうが気になる、などもあるでしょう。

他に、食の好みの変化はよりわかりやすいですよね。昔は辛い味付けが好きだったけど今は優しい味がよいとか、逆にスパイスが好きになったとか。逆に、苦手だったものが今は食べられるようになったという変化もあります。

私は、ずっとパクチーが苦手でした。主張が強すぎて、少し入っているだけですべてをパクチー味にしてしまう存在感。しかし、初めて東南アジアで食べたとき、その土地の湿度や空気、光の加減とともに食べるパクチーは格別で、一気に好きになりました。そこから、帰国したあとも、エスニック料理はパクチーなしでは、物足りなくなってしまいました。

好みが変わるということは、こうした新しい体験をすることにより自分の感性の幅や深さが広がるといってもいいのかもしれません。昔は気にならなかった洗剤の匂いが気になるのは、感じとる深度が変化したことで、これまでスルーできた匂いが、無視できなくなったということです。

音楽も同じです。学生時代は激しいロックばかり聴いていたのに、最近は静かなジャズや自然音のほうが心地よく感じる。趣味でギターを弾き始めたら、これまで無関心だったクラシックギターの音色に惹かれるようになった、ということもあるでしょう。

今気になるもの、好きなものは、自分の体験により変化していきます。そこで、一度、好みの棚卸しをしてみるのはいかがでしょう。まず昔好きだったものを、まず箇条書きで出してみます。カテゴリは何でもかまいません。食、洋服、色、音楽、スポーツ、インテリアなど、思いつくままに書いてみましょう。

そして、そのあと、その感覚が現在どのように変化しているかを横に書きます。今も好き、なのか。今は無関心になったのか。そして、自分が今好きなものも書いてみてください。それは、私にとってのパクチーのように過去に苦手だったものかもしれません。

定期的に、好みの棚卸しをし、それを眺めてみる。理由が明確ならそれも記載してみる。自分の体験を含めて感性がどのように変化してきたかを見つめ直してみる時間を持つことです。

誰かが「いい」と言ったから選ぶのではなく、自分が「好き」と思える体験を増やすこと。それは、どれだけ自分の感覚に集中できたかで変わります。そして、その変化を確認することが、自分らしい感性を育てる近道です。

 

感性を満たしてくれる空間をつくる

情報・モノがあふれている状態ですと、「自分の好きなものを考える」ということさえ辛い・大変と思うこともあるでしょう。人は購入するときに、いつも完璧なものを選べるわけではありません。人は買い物のたびに完璧な選択ができるわけではありません。

たとえば必要に迫られて急いで買った服。「本当はあれが欲しいけど......」と妥協して選んだ家具。家族や知人からもらったけれど、実はしっくりこないマグカップ。そういうモノは、一つや二つは誰の家にもあります。そして「いただきものだから」と処分できず、何年も使い続けてしまうこともあります。

外出先から帰って、ほっと落ち着く場所になっているか。休日にずっといたい場所になっているか。英気を養うための自宅や自分の部屋で、居心地が悪く感じるようになったら、自分に合わなくなったものを、感謝をして処分していきましょう。

捨てるだけではなく、できる限りもらってもらえそうな人に譲る、中古のショップに売る、などでもいいと思います。そして、少しスペースができたら、そこから新しく購入するものは「自分にあったもの」を選べるように見極めていきましょう。

また、処分する目安になるのは、引越しのイメージです。たとえば、今からどこか新居にまっさらな状態で引っ越すとしたら、何を持っていきますか?全部好きだから手放せない、という人もいるかもしれませんが、大半は、これは本当は要らないかも、もしくは「もう全部捨てて新しくやり直したい!」という方もおられるかもしれません。

巷に便利なものはあふれていますが、実は場所を取るだけでそんなに便利ではなかったりもします。必要だと思っているものの大半は、実はなくても生きていけます。「いらない」に素直になることで、自分の持っている価値観がわかっていきます。

すぐに新調したりはできないかもしれませんが、「いつかこれは要らないな」「いつかこれが欲しいな」と自分のフラグを立てておくだけで、その後のもの選びの判断基準に気づいていくことができます。空間のものが減ると、不思議と頭の中もスッキリしていきます。

また、私の友人の設計士は、自分のつくりたい空間のイメージを、しっかりと刻むために、スクラップブックを作ると話してくれました。テーマを決めて、そのテーマに沿ったインテリアや小物類を、雑誌から見つけて切り抜きをするというのです。

しっかり着地点が見えていると、衝動だけで物を選ぶことがなくなるので、雑貨屋さんに行ったときに「あーかわいい......」という物を集めて、気がつけば、いろんな要素の混じったこだわりのない空間が出来上がってしまうことを避けられます。

もちろん、部屋に一つコーナーを作って、自分がどうしても「好き」で選んだものはその場所に固めて置いておくのでもいいですが、なんとなく購入するのをやめて、自分の着地したい部屋に合ったものだけを購入すると、空間が変化していきます。

このサイクルを続けると、部屋がスッキリするだけでなく、頭の中や感性もクリアになっていきます。「なんとなく」ではなく「これがいい」と思える選び方が身について、日々の生活が少しずつ心地よく変わっていくはずです。

著者紹介

SHOWKO(しょうこ)

陶芸家

陶芸家。アーティスト。京都にて340年もの歴史がある茶道具の窯元「真葛焼」に生まれ、茶道をはじめとした日本文化が日常にある家庭で育つ。陶芸修行を経て、京都で自身の工房をスタート。2009年に法人化し、「読む器」をコンセプトとした陶芸ブランド「SIONE」を立ち上げる。その後、直営店をオープンし、世界各地にも活躍の場を広げる。また、現在は工芸の哲学を活かした感性をひらく宿「うたひ」を開業。著書に『感性のある人が習慣にしていること』(クロスメディア・パブリッシング)、『私らしい言葉で話す』(CCCメディアハウス)、『心に気持ちのよい風を通す』(大和書房)など。

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