限られた時間で質の高い資料を作成するためには、「何をどのようにインプットするか」が重要です。本記事では、生産性の高いインプットを実現するための基本として「事実と意見を区別する考え方」や、時間を無駄にしない情報収集の進め方について、書籍『入社1年目から差がつく 資料作成』より解説します。
※本稿は、グロービス, 堤崇士著『入社1年目から差がつく 資料作成』(東洋経済新報社)より一部抜粋・編集したものです。
インプットで重要な事実と意見の区別
インプットで心がけたいのは、「生産性の高い」インプットをする、ということです。
では、「生産性の高い」インプットは、どうやったらできるのでしょうか。
私は、「事実と意見が区別されたインプットをする」ことが、生産性の高さを生むと思っています。
情報をインプットする際には、その情報は疑いようのない「事実」なのか、それとも誰かの「意見」なのか、こ
の点を見極めることが大切です。
事実であれば、それをもとに考えても問題はありません。しかし、意見であれば、必ずしもその情報が正しい内容とは限らないので、疑ってかかる必要があります。
私は新入社員の頃、自分で作成した報告書に対して、先輩に「これは事実なの? それともあなたの意見なの?」とよく突っ込まれていたものです。
「〇〇さんから聞いたことです」と答えると、「で、それは事実なの? 〇〇さんの意見なの?」とまた突っ込まれ、答えに窮することが度々ありました。
資料をつくるには情報が必要です。その内容は、事実なのか、意見なのか。どちらを土台にするかによって、考える方向性が変わってきます。見分けることは容易ではありませんが、事実と意見を区別する心構えは持っておきましょう。
よくある時間の無駄になるインプット
情報収集などのインプットの際によく起こるのが、何を調べていたのかわからなくなってしまうパターンです。
生成AIやネット検索で情報収集を行っていると、気になるところに目が留まります。どんどん情報を掘り下げていたら、信じられないほど時間が経っていた......。
こうした経験は、誰もが身に覚えのある話ではないでしょうか。
このパターンでは、情報収集自体に夢中になってしまうことで偏った情報しか集められず、資料作成がうまくいきません。
限られた時間で資料作成に必要な情報を集めるためにも、まずは、「ざっくり」インプットをしましょう。
このざっくりインプットによって、テーマについての全体像が明らかになります。テーマについて「何がわかっていて、何がわかっていない」のか、「資料作成ではどのあたりを掘り下げる必要があるのか」。こうした要
点を整理でき、地図のようなものを描くことができます。
そのテーマの知識が圧倒的に足りない場合は、書籍がおすすめです。一通りの知識を学べるので、ざっくりインプットに適しています。
複数の入門書などにあたってみる
「ざっくり」インプットの段階では、入門書などといった、初学者向けの複数の書籍にあたってみましょう。複数の情報源にあたることで、ある程度は書いてあることが事実かどうかがわかります。
また、情報源となる書籍の選び方についてよく聞かれるのですが、以下の3点に留意して選ぶと、よりよい資料づくりの助けになります。
①プロフィールや出版社から専門性を把握する
1つ目は、著者のプロフィールなどから、得意な分野や専門性を把握することです。
プロフィールには作者のたどってきた歴史が記載してあります。どういった経験をしてきた人なのか、知りたい情報についての専門性は備えているのか。こうした点に着目してプロフィールを確認します。
また、著者だけでなく、出版社によっても、得意な分野は異なるものです。
名前を聞いたことがあるという理由だけで決めてしまうのではなく、出版社のホームページなどを参考に、どんな分野の書籍を扱っているのかチェックして、各社の専門性を把握してから決めるといいでしょう。
初学者向けレベルのものでは、各出版社が出している新書シリーズや、大学の生協に置いてあるような教科書がおすすめです。
②タイトルに惑わされず、目次と参考資料をチェックする
タイトルやカバーのデザインで「読みたくなる」本がありますが、いざ読んでみるとガッカリした経験はないでしょうか。
タイトルに惑わされないために、「はじめに」と「目次」に目を通すことが重要です。できれば第1章くらいは読んだ上で、自分の知りたい情報が載っているか否かの判断ができると、失敗しにくいと思います。
また、参考資料も確認しましょう。
参考資料とは、書籍を書くにあたって参照した資料のことです。参考資料を記載している本は情報源が明確ですので、ある程度安心して読んでいいと思います。
反対に、参考資料の記載がない場合には、書かれていることについての真偽が曖昧ですので、自分でしっかりと情報源を確認しながら読み進めましょう。
最近は、ネットで書籍を購入する場合も試し読みができますので、ぜひ活用してください。私は必ず試し読みをした上で、必要な情報がインプットできそうかを判断しています。
大型書店にも足を運んでみることをおすすめします。自分が想定していなかった書籍に出合える可能性があり、視野が広がります。
③わからなかったらすぐやめて次の本に移る
実際に読み始めてみると、内容を理解できないことがあります。そういった場合は速やかにその本を読むのをやめて、次の本に移りましょう。
本を読むのにはタイミングがあります。自分の知識不足や背景の理解不足で、内容を理解できないこともあります。そういったときは「今このタイミングで出合う本ではなかった」と諦めて、次の本に移るといいでしょう。
「もったいない」と思う人や予算に余裕がない人は、図書館などでまとめて借りて読むといいかもしれません。