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本を読んでも身につかない原因は? 読解力が劇的に向上する1つの習慣 【KINOFES2026】

PHPオンライン編集部

2026年02月04日 公開

2026年1月31日の閉店後から2月1日の早朝にかけて、紀伊國屋書店新宿本店で初開催されたオールナイトフェス「KINOFES 2026」。オンライン化が進む今だからこそ、リアル書店にしかない価値を再定義しようと企画されたこのイベントでは、ライブトークなど多彩な企画が行われました。

そのうちの一つが、読書術のプロが語る「AI時代の読書術」。SNSやAIが普及する一方で読書量が減り、読解力の低下も指摘されるなか、樺沢紫苑さんと山中恵美子さんが「AI時代の読書」について語りました。

 

不読率が6割に

【山中】AIを普段から使っているという方は、どれぐらいいらっしゃいますか?

(ほとんどの人が手を挙げる)

【山中】では、そのAIを読書と結びつけて使っているという方はいらっしゃいますか?
...あ、いない。なるほど。本は読むし、AIは使うけれど、あまり結びつけてはいないということですね。

【樺沢】今日はなぜ「AIと読書」というテーマにしたかというと、一つは不読率の問題があります。1か月に1冊も本を買わない、読まない人が、なんと6割になったそうなんです。

【山中】えー! じゃあ、本を1か月に3冊も読んだら上位に入るということですか。

【樺沢】かなり上位ですね。これまでは5割程度で止まっていたのですが、コロナもあって、おそらくスマホや動画に時間を取られているんじゃないかと思います。これは健全な状態ではないなと感じています。

 

AIの回答をしっかり理解できているのか

【樺沢】皆さん、AIを使って「○○について教えて」と聞くと、一気に答えが出てきますよね。詳しく教えてと頼むと2,000〜3,000文字になる。それを本当に読めているのか、理解できているのか、私はすごく気になるんです。

例えば「不安なときの過ごし方を教えて」と聞くと、たくさん出てきますよね。でも、それを理解して、行動に落とし込めている人はどれくらいいるのか。そこに疑問を感じます。

今はSNSの時代なので、基本的に1行の文章しか書かないし、1行しか読まない。チャットもそうですよね。そうなると、接続詞でつながれた何百文字もの文章を、どこまで読めているのかが気になります。実際、私もSNSで発信していますが、Xなどで揉める原因の多くは、最初の1行しか読んでいないことです。

【山中】読解力のなさ、理解力のなさですよね。

【樺沢】YouTubeでも、動画を見ずにタイトルだけに反応して「そんなはずないだろう」と言われることがあります。でも、実際には動画の中でその通りのことを話している、というケースも多い。

「読む」という行為を、どこまで自分ができているのかを、改めて考えてほしいと思うんです。

 

読解力をどう養うか

【樺沢】読解力はどうやって養うかというと、本を読んでアウトプットすることです。読解力があるかどうかを簡単に確かめる方法があります。最近読んだ本について、友達に話してみてください。5分、10分と話せる人は、読解力があると思います。

【山中】なるほど。

【樺沢】「この間読んだ本、どうだった?」と聞かれて、「面白かった」で終わる人は結構多いんです。

本の理解というのは、アウトプットできた量が、そのまま理解できた量です。「どこが良かったの?」と聞かれて何も答えられないなら、何も読んでいないのと同じになってしまう。だから、本の感想を饒舌に語れるかどうかが一つの目安になります。

何かを学んで、それを話す、書く、行動する。これがアウトプットです。ただ、そこで終わってはいけない。

やってみてうまくいかなかった。その理由を振り返る。これがフィードバックです。フィードバックしたうえで、またインプットに戻り、もう一度チャレンジする。この「インプット・アウトプット・フィードバック」を繰り返すと、大きく成長できます。

今、AIをインプットツールとして使っている人は多いですよね。でも、AIの一番の強みは、フィードバックツールとして使える点にあります。AIに文章を書かせるのではなく、まず自分で書くことが大切です。

X用の140文字程度の投稿を書いて、それを広げてもらう。自分の文章を入れて「直して」と頼む。「もっと改善した方がいい点は?」と聞く。そうすると、たくさん提案が返ってきます。

AIは、0から1を生み出すというより、80を90、100に近づける使い方をするのが良いと思います。

 

点と点をつなげて線にする

【樺沢】皆さんにお伝えしたいのは、AIやインターネットの情報は「点」の情報が多い、ということです。

点とは、一つの事実のことです。それを他の事実とつなげていかないといけない。他の人はどう言っているのか、それは本当に正しいのか。AIに別の聞き方で質問してみる。点と点をつなぐと、線になります。

本は体系立てて書かれているので、最初から点と点がつながった状態で提示されています。1冊読むことで、基礎から応用まで一通り学べる。さらに別の本を読めば、線と線がつながって面になります。異なる意見や視点を重ねることで、立体的に物事を捉えられるようになります。

これが読書の楽しさでもありますし、できる人はAIの情報でも同じように整理できます。

一方で、本をまったく読まない人は、情報がバラバラに流れてくるだけで、Xなどを見ていても脳疲労を起こし、「こんなニュースもあるんだ」で終わってしまう。それが経験として蓄積されにくい。

だから、点でしか情報を見ない人は、ただ疲れるだけになってしまいます。情報を自分ごととしてつなげ、立体的に理解する視点を養ってほしいと思います。

そのためには、興味のある分野で流れを持った読書をすることが大切です。1冊読んだら、同じ著者の別の本を読む。あるいは、反対意見の本を読む。次はどこを深めるかを考えながら読むことで、理解は深まっていきます。

そして、つながった内容を他の人に伝える。ビジネス書を読んで気づいたことを、部下や後輩に話す。これも立派なアウトプットだと思います。

 

アウトプットを意識して行動する

【山中】アウトプットを前提に行動する場合と、意識せずに本を読んだりした場合では、脳の成長に違いはあるんでしょうか?

【樺沢】基本的に、インプットだけしていても意味はありません。脳は活動しないんです。アウトプットして初めて、脳は活動します。最近、東北大学の先生から聞いた話ですが、Zoom会議の前後で脳波を測ると、会議が始まっても黙って座っているだけの状態では、会議前と同じ脳波が続くそうです(笑)。

【山中】アウトプットしないからですね(笑)。

【樺沢】ただ見ているだけだと、ぼーっとしているのと変わらない。恐ろしい話ですよね。

【樺沢】脳に悪いスマホの使い方として分かっているのが、SNSとブラウジングです。無目的にスクロールし続けるのは、脳が疲れるだけで、何の活動もしていません。

スマホやAIが悪いわけではありません。目的を持って使うことが大切です。本を買うときも、「これを解決するために読む」と決めると、内容が入りやすくなります。ネットも同じです。「なにか面白い情報ないかな」と探しても見つからない。でも「これを知りたい」と決めて探すと、必ず情報は見つかります。

今日の話も、このあと誰かに何分伝えるか、どこに発信するかを意識して聞くだけで、脳は活性化します。これがアウトプット前提のインプットです。

SNSに感想を書く、家族に話す。それを思い浮かべるだけで、集中力と記憶力は高まります。無目的に聞いていると、右から左に流れてしまいます。

 

アウトプットにAIを使う

【山中】本を読んだ後に、AIと会話するようにアウトプットしているのですが、これはどうでしょうか。

【樺沢】とても良い使い方です。おすすめなのは、AIに「質問させる」ことです。文章や感想を書かせるのではなく、質問を投げてもらう。

例えば『アウトプット大全』の感想を書くなら、「これから感想を書くので、役立つ質問をしてください。ストップと言うまで続けてください」と頼む。すると、「どこが一番心に響きましたか」「なぜそう感じましたか」「仕事でどう役立ちますか」といった質問が返ってきます。

それに答えていけば、自分にしか書けない感想になります。AIに丸投げしないことが重要です。

AIにすべて書かせ続けると、文章力は短期間で落ちてしまう。これはMITの研究でも指摘されています。だから、一部分を補助させたり、自分を引き出すツールとして使ってほしい。

筋トレと同じで、AIに全部任せると自分の力は衰えます。自分を鍛える質問をAIにしてもらう。これが、AIの上手な使い方だと思います。

 

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