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相手の心を閉ざす「NGな言葉」とは? 相談を受けたときに注意すべき発言

山根洋士(「メンタルノイズ」カウンセラー)

2026年05月11日 公開

「聴く」という行為は、誰もが毎日おこなっているにもかかわらず、意外と難しいものです。相手が心を開いてくれる距離感を保ちながら、信頼関係を育てるにはどうすればよいのでしょうか。カウンセラーが実践する「聴く技術」のエッセンスについて、書籍『聴く技術 あなたの会話が今日から変わる』より解説します。

※本稿は、山根洋士著『聴く技術 あなたの会話が今日から変わる』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

3つの聴く技術

上手な聴き手になるには、聴く技術が必要です。その技術を持ち合わせているのが、どんな相談者のどんな内容の話でも聴き続けられるカウンセラーです。

聴く技術を整理すると、次の3つになります。

①安心して話してもらえる信頼関係をつくる聴き方(受容・共感)
②本音を話してもらう聴き方(自己一致)
③聴き疲れしない方法

最初に、「安心して話してもらえる信頼関係をつくる聴き方」から始めましょう。

会話において、話し手と聴き手の距離感はとても大切です。距離とは、心の距離。相手が心を開いてくれるところまで近寄らないと話してもらえないし、相手の心に踏み込み過ぎると、逆に心を閉ざして話してもらえなくなります。

上手な聴き手になろうとすると、相手のことをもっと理解したいと近づきたくなりますが、上手な聴き手は、近づき過ぎず、離れ過ぎない、ほどよい距離感を保つことを心がけています。

 

「わかる〜」はわかっていない

「どうしたんですか? 元気ないですね」
「ええ、ペットが病気になっちゃって本当につらいんです。こんなに落ち込むとは思いませんでした」
「ああ、わかります、わかります」
「もしも元気にならなかったら......とか考えてしまって」
「わかりますよ。私も昔、飼っていたインコが......」

この会話、特におかしなところはないように思えます。でも、もしかすると、ちょっと嫌だなと感じた人もいるのではないでしょうか。

「わかるよ」というのは、相手に寄り添うつもりでつい言ってしまいがちな言葉で話す。しかし実は「わかる」は禁句。なぜなら、わかるわけがないからです。

長年の友達など親しい人が相手ならまだしも、信頼関係をつくる段階では特に危険。あっという間に心のシャッターを閉ざされるかもしれません。

相手は心の中で「そんな簡単にわかってほしくない」「私の何がわかるのか」と思ってしまうかもしれません。

さらに「私も昔......」なんて自分の話を始めるのは最悪です。聴いていない人、自分の話をしたがる人、という印象を与えてしまいます。

受容と共感のためには、「そうなんですね」「つらいですね」などが無難です。相手の言っていることを、そのまま受け止めればいいのです。

 

人にはそれぞれ「言葉マップ」がある

相手の話と似たような体験を自分もしたことがあると、「本当にわかる」と思うかもしれません。でもそれが、知識や経験の罠。正確には、自分なりに想像がつく、というレベルではないでしょうか。

ここで質問です。

あなたは、「ペット」という言葉を聞いたら、どんなことが頭に浮かんできますか? 自分で飼っている犬や猫の姿でしょうか。それとも、ペットと遊んだ思い出? あるいは、ペットを題材にした映画や漫画が思いつくかもしれません。

このように、1つの言葉から連想されるイメージは、人それぞれです。

相手の頭に浮かんでいることと、自分の頭に浮かんでいることは異なります。どんなに親しい間柄でも、同じ環境で生活している人同士でも、完全に一致することはないでしょう。年齢も性別も、生まれたところや育ったところも、好きなことや嫌いなこともすべて同じという人はいないのですから、そう考えるほうが自然です。

あなたとまったく同じ人生を歩んできた人など、いませんよね。

私たちの頭の中には、生まれてからの経験をもとに、膨大な言葉と、それに連なるイメージが蓄積されています。それを「言葉マップ」といいます。

そして会話のときは、相手の言葉を、その言葉マップからピックアップしてイメージしています。つまり、相手の言葉を自分なりに翻訳して理解しているということです。

それなのに、次のような合いの手を安易に使ってしまいます。

「あなたの気持ちはよくわかります」
「言いたいことはわかります」

私たちは、さも相手のことを理解しているといった言葉を返すことがありますが、間違って解釈している可能性は十分にあります。

言葉マップがそれぞれ異なるのに、相手が話していることを100%理解できていると思っているのが、そもそも間違いなのです。

 

相手のことを「わかっているつもり」にならない

わかっているつもりの会話で問題が起きやすいのが親しい関係です。

付き合いが長くなればなるほど、相手のことを知っていると思い込んでしまいます。最後まで話さなくてもわかるからと会話をさえぎることもあります。

あなたは、あなたの大切な人(恋人や子どもなど)の好きなことと嫌いなこと、したいこととしたくないことを100%言い当てられますか? 難しいと思います。私も自分の子どものことを100%理解するのは無理です。

聴き手は、相手のことを100%理解できないことを自覚した上で聴くのが大前提。
わざわざ「わかる」という言葉を使ってリスクを冒す必要はないでしょう。

 

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