心の手紙を届けたい。― 4年目を迎えた「恋文大賞」
2013年06月14日 公開 2022年12月19日 更新
ひぐらしがうるさい位鳴いています
きょうは八月二十一日 日曜日
お盆を過ぎて街は静かになりました
あなたが突然いなくなって五ヶ月と十日
もう五ヶ月 まだ五ヶ月ととても複雑です
あの日忘れようにも忘れられない
東日本大震災が起きました
あなたは迎えに行った私と手を取り合った瞬間
凄まじい勢いで波にのまれ私の目の前から消えました
あなたはいっ体何処へ行ってしまったのでしょう
あの時から私の心はコンクリート詰めになり
山々が新緑に覆われても桜が咲いても
何も感じる事が出来ず
声を上げて泣くことすらも出来ずにおります
そして息子達も私も語り尽くせぬほどの
様々の事があってこん日に至ります
突然いなくなったあなたに伝えたい事
聞いて貰いたい事が山ほどあって
心の整理もつかないけれど手紙を書く事にしました
お店のこと心配していますか
お店はたくさんの方々の応援をいただいて
四月二十三日仮店舗をオープンしました
十三坪の土地に三坪のプレハブ テントをひと張り
混乱の中で息子達はほんとによく頑張りました
そのお店の真向かいには一軒家も借りる事が出来
家族五人で暮らしています
全国の皆さんからはたくさんのご支援を頂き
その上素晴らしい方々とも
出会うことが出来ました
又私か書いたお酒の〈負げねえぞ気仙沼〉のラペルがとても好評で
多くの方々に買って頂いています
ある方に「これは旦那様が書かせてくれたのよ」と
言われました
私もきっとそうだと思っています
何も言えずに別れてしまったから
ありがとうと伝えたくて切なくて悲しくて
どうしようもないけれど
三十八年間いっしょにいてくれて仲良くしてくれて
ほんとにありがとう
守ってくれて支えてくれてありがとう
感謝しています
これからはあなたが必死で守ってきた
お店ののれんは私が息子達と守ります
大丈夫です あなたはきっと何処かで
私達のこと見守ってくれているのでしょう
季節の巡りは早く間もなくすず風が吹いて
秋がやってきます
願わくは寒くなる前に
雪の季節が来る前にお帰り下さい
何んとしても帰ってきて下さい
家族みんなで待っています
私はいつものように お店で待っています
只々ひたすら
あなたのお帰り待っています
平成二十三年八月二十一日
菅原 豊和様へ