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社員が売上目標に疲弊...企業コンサルが社長に聞いた「なぜ売上が必要?」

河田真誠 (質問家)

2026年10月09日 公開

「どうやって売上を伸ばそう?」「この作業、早く終わらせなきゃ...」と、目の前の仕事に追われていませんか?実はその「目先の手段」に捉われることこそが、チームの伸び悩む原因です。今回はコンサルの現場で実際に効果のあった、思考を一変させる「ある質問」をご紹介します。チームのムダを減らし、成果をガラリと変える秘訣をぜひチェックしてみてください!

※本稿は、河田真誠著『質問の魔力「よい質問」がすべてを解決する』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「どう売上を伸ばすか」から脱却する質問術

ある保険会社の営業会議での話です。
どうしたら売上が高まるかについて話し合いが行われていました。理由は、多くの社員が売上目標の高さに苦しんでいたからです。
この会社の社長も会議に同席していました。

売上を高めるのにこんなに苦しんでいるのは何でだろう。そう思い、僕はこんな質問を社長にしました。
「何で、そんなに売上が必要なのですか?」
すると、社長からこんな回答がありました。
「売上が高まれば、やりたいことにも挑戦ができる会社になり、社員がやりがいをもって働くことができるから」
つまり「社員にとってやりがいがある会社にしたい」ということが一番の目標だったのです。

そこで、会議の議題をそこから「売上が高まる」から「売上が高まり、やりがいも上がるにはどうしたらいいか」に変えました。
このことをきっかけにして、この会社はやりがいや楽しさも仕事の中で求めていこうという考え方にシフトしていきました。その結果、社員が気持ちよく働けるような会社に変化していき、気づけば売上も高まったのです。
これが「視点を高める質問」の魔力です。

 

「その仕事、本当に必要?」3段階の業務見直し術

企業コンサルの仕事で僕が早い段階で取り組むことがあります。それは「社員の業務の見直し」です。
やり方はいつも決まっています。

① 日常的に行っている業務を書き出す。
②それぞれの業務に対し「本当に必要なのか?」と質問をする。その仕事は本当に必要なのかどうかを検討する。
③次に「本当にこれがベストなやり方なのか?」を質問する。その質問からもっとよいやり方がないかを検討する。自分一人で考えると思い込みの枠を超えないので、チームで考えたり、AIに聞いたりする。

この三段階の質問をするだけで、日常業務が大幅に改善します。
今の自分の仕事に対する視点を高め、ムダをなくすための質問になるのです。
視点を高めるとは、今見ている視点だけでなく、全体を見て、俯瞰して物事を捉えていくことです。
「どこを目指しているのか?」
「何のためにしているのか?」
「どうなったら成功と言えるのか?」など、「そもそも」を考え直す質問が視点を高めてくれます。

物事が進むと、手段が目的化してしまい、目的を忘れがちになります。視点が下がってしまうのです。売上を高めることや店舗や社員を増やすことだけに意識が向いていたり、会議をすること自体が目的となっていたり。

定期的に「そもそも」を思い出すために、「そもそも質問」を視点を高める質問としても活用します。

 

「わかっているつもり」を壊す素朴な疑問の力

僕がコンサルをしていたスーパーマーケットでこんなことがありました。
ある社員からこんなことを言われたのです。

「自分は頭が悪いから、会議で話していることがよくわからない」
彼女は会議で発言をすることなく、周りからも会議では空気のような存在と思われていました。

そこで、彼女にあるお願いをしました。
それは、会議のときに自分がわからないことがあったら、「それってどういうことですか?」と何でも素直に聞いてほしいというお願いでした。

彼女はそれを聞いてくれて、わからないときは素直に質問をしてくれました。
これに対し、当初は周りの人は「こんなこともわからないのか」という反応でした。
でも、僕は会議の参加メンバーには「彼女の質問に対して、聞かれた側はちゃんと説明してあげてください」とお願いをしました。

すると、あることがわかりました。
それは、聞かれたほうが意外にもちゃんと説明できないことが多かったのです。
この質問のおかげで、「わかっているようだけど、わかっていなかったこと」がわかりました。

さらに、会議の中でも彼女が「それってどういうこと?」と聞くので、そのたびに、ここまでの話し合いの流れや論点を、都度確認しながらみんなが話すという習慣ができました。
その結果、驚くような変化が起きたのです!

それは、会議がわかりやすく楽しいものになっていったのです。なぜその仕事をするのか、意味や価値を参加メンバー全員で考えるようになり、仕事へのやりがいも高まっていきました。その結果、生産性のとても高い会議を実施することができるようになりました。

彼女の質問こそ、まさに「視点を高める質問」です。
あたりまえだと思っていたことに対して、素朴な疑問で、そもそもを問い直すのです。

 

「そもそも質問」が本質を引き出す

そもそもどういう構造でそれができているか、どういう意味なのかを考える質問を「そもそも質問」と僕は呼んでいます(質問の技術です)。
「そもそも」を考えると、視点を変えるのはもちろん俯瞰した視点から全体の構造や仕組み、意味を知ることができます。

例えば―
●「そもそも、仕事とは?」
●「そもそも、よい仕事とは?」
●「そもそも、お金とは?」
●「そもそも、幸せとは?」

「そもそも〜とは?」を立てることで、考えの土台が整います。
何かをスタートするとき、最初にこの「そもそも〜とは?」を考えることから始めます。

例えばコンサルの仕事であれば、経営陣と一緒に「そもそも会社とは?」「そもそも社員とは?」「そもそも給料とは?」「そもそも仕事とは?」「そもそも経営とは?」などを考えます。これで「定義」ができます。

次に「そもそもよい会社とは?」「そもそもよい社員とは?」「そもそもよい給料とは?」などのように「そもそもよい◯◯とは?」も考えます。これは評価の基準にもなります。

社内やチーム内での価値観がバラバラだったり、チームがうまく前に進めないのは、ここが曖昧なままだからです。定義をハッキリさせることで、目指す方向や評価の基準も明確になります。そこから仕事はスタートします。

また、この「とは?」をしっかりと深めていくと、それが個性にもなっていきます。
「軸がある」「世界観がある」「自分をもっている」という会社(や人)は、この「とは?」がはっきりしていて、その会社(人)なりの答えをもっています。

さらに「とは?」と合わせて「なぜ?」も考えるとより質問の「質」が上がっていきます。
「そもそも、なぜ、この仕事なのか?」「そもそも、なぜ、ここにいるのか?」など。
これは初心や目的を思い出すことにもつながります。

著者紹介

河田真誠(かわだ・しんせい)

質問家

質問だけで経営、マネジメント、キャリアアップをはじめとしたビジネスにまつわるあらゆる問題を解決し、理想の未来に導いていく質問の専門家。一方的に知識や技術を教えるのではなく、質問をすることで自らの内側にある答えを引き出していくスタイルが分かりやすく、実践的であると評判を呼ぶ。
コンサルタントや研修講師として、メーカー、ホテル、飲食店、エステ、アパレル、製造業など、多種多様な業界・業種の業績アップ、業務改善に貢献。そのほかにも、働き方、夢の叶え方、生き方などの講演やイベントを通じて、延べ10万人以上の人生に影響を与えてきた。高野山での僧侶との出会いをきっかけに仏教を学び、自身も仏門に入る。自身が考案した質問のノウハウを広めるべく、質問を使ったコンサルタントの育成や、起業家支援、ビジネスモデルのプロデュースにも力を入れている。
主な著書に『君を一生ささえる「自信」をつくる本』(アスコム)、『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)、『革新的な会社の質問力』(日経BP)、『人生、このままでいいの?』(CEメディアハウス)などがある。

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