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部下に嫌がられる「上司の共通点」 良かれと思った質問がパワハラに?

河田真誠 (質問家)

2026年10月16日 公開

良かれと思った質問が、実は相手を追い詰める「クイズ」や「尋問」になっていませんか? 相手の心を閉ざす罠を回避し、自発的なやる気を引き出す「問いかけの心構え」を伝授します。

※本稿は、河田真誠著『質問の魔力「よい質問」がすべてを解決する』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

質問のつもりがパワハラに?

質問の使い方を間違えると、質問のつもりがパワハラになってしまったり、相手から考えを引き出すために質問をしているつもりでまったくそうなっていなかったりと、質問の力を十分に活用できません。

例えば、質問をよくする人は「面倒な人」と思われがちです。

僕が「質問」を学び始めたころ、実は周りの人にはかなり不評でした。相手に質問をすると、こんな反応がよく返ってきました。
「何だか、面倒くさい」「上から目線な感じが嫌い」「あなたのその質問には答えたくない」

実はこれ、職場や家庭でもよくある話です。
部下の人たちと話をしていると、「上司が質問ばかりしてきて面倒」「指示すればいいのに、わざわざ意見を聞いてくるのがうざい…」というのです。
これが「質問の罠」です。

質問は技術という話をしましたが、技術だけあればよいわけではありません。
質問においてもう一つ大切なこと、それは誰がどんな気持ちで質問をするのかという部分です。つまり、質問する側の「心構え」が肝心なのです。
これらを意識しているかしていないかで、受け取る相手の印象はまったく変わります。

「面倒」「うざい」という反応が、「質問してくれて、ありがとう」に変わっていき、よい関係を築くことができるようになります。

例えば、会社に入社したばかりの人に「これから何を頑張りたい?」と質問すれば、頑張りたいことがいろいろ出てくると思います。相手のやる気を引き出すこともできるよい質問です。

では、もうすでに一生懸命頑張っている人に、同じ質問をするとどうでしょう。
「イヤミなのか?」「俺は頑張ってないと言いたいのか?」と感じる人もいるかもしれないですし、「もっと、頑張らないといけないんだ...」とモチベーションを落とす人もいるかもしれません。

質問には技術だけでなく、心構えも大切なのです。
● 技術(どう質問するか)
●心構え(どんな気持ちで質問するか)
この二つがそろって、初めて「よい質問」ができあがります。

 

「指示待ち人間」を生む恐怖の「クイズ質問」とは?

「質問が大切」という考え方は以前に比べ広まってきていますが、それに伴い質問を誤解している人にもよく出会うようになりました。

その一つが「質問=クイズ」と考えてしまっている人です。
僕が質問の話をすると、こんなことを言う人(仮にAさんとしましょう)がいます。
Aさん「あー、質問ね!僕も本を読んで、部下との会話でよく使っていますよ」
でも、よく聞いてみると、その人は部下に対してこんな質問をしていました。
Aさん「営業のコツって何だと思う?」
部下  「僕は、営業のコツはお客さんのメリットを第一に考えることだと思います」
Aさん「イヤ、その答えは違うな。君はまだ若くて営業経験も浅いからわからないか
もしれないけど、営業とはそういうものではなくて...」

部下の答えを聞いたAさんは、相手の答えを否定して、自分の考えを伝えていました。
これは「質問」ではありません。「クイズ」です。
このやりとりをしていると、部下は自分なりの回答を考えなくなります。なぜなら、いくら考えても、Aさんの意に添わなければその答えを否定されてしまうからです。そして、質問(クイズ)を出したAさんが気に入る答えを探すようになります。

こうなってしまった先には何があるでしょうか。
自分の頭で考えない、指示待ち人間の誕生です。「部下が自分の頭で考えない」と嘆いている人の中には、自分でそうさせている人がいるのです。

また、質問をクイズ化する人は「自分の意見を話したい」という欲求が強く、その目的でクイズを使っているケースもあります。
質問は、自分が話したい欲求を満たすためのものではありません。その欲求は抑え、質問したら、待つ、そして聞くという姿勢を守ることです。
アドバイスは求められてからする、くらいでよいと思います。

質問をするときに大切なことは「質問の目的」を明確にすることです。
よい質問は「目的につながる質問」です。

自分の考えを相手に伝えることが目的ではないのです。
本来、質問は安易に答えを出すのではなく、多くの視点から課題を見つめていく行為です。ですから、質問を出す本人が最初から「答え」を決めてしまっていたら、それは質問ではありません。
それは「クイズ」であって、質問とは別物なのです。

 

「質問で人を操る」はNG!誘導ゼロの質問術

ここで一つクイズです。
質問の力(効果)として間違っているものはどれでしょうか?(ここは質問ではなくクイズです)
①人を動かすことができる。
②人との関係がよくなる。
③自ら考えて行動する人になれる。

答え:①
質問は、人を誘導するためにするのではなく、相手の自発性を引き出すためにするものです。自然と「動きたくなる」を引き出すのです。
直接動かすのは、指示や命令になります。

質問は「自分の考えに誘導するもの」ではなく「相手の考えを引き出すもの」です。
質問をするときについやってしまいがちなのが「自分の思っている答えに誘導する質問」です。質問の心構え2の「質問をクイズ化しない」もここにつながります。
これをしてしまうと、すぐ相手に見透かされてしまいます。
質問をする目的は、自分でも気づかないような視点を見つけていくことです。でも、質問をする本人がすでに自分なりの答えをもってしまっているケースがあります。そうなると、どうしても自分の答えを正当化したくなってしまい、質問相手の回答を自分の答えに誘導していってしまうことがあります。

これでは本末転倒。自分が思いもつかないような回答を見つけることが質問の目的でもあるのに、自分の答えに誘導してしまっては意味がありません。
僕が、誰かに何かを質問する時には、意識的に答えをもたないようにしています。なので、「こうなってほしい」という気持ちもゼロにしています。
あくまでも自分は、ただ質問を投げかけるだけ。

相手が自分で考え、判断し、答えを出していくことを促していくだけです。
答えをコントロールしようとしない。相手の中にあるものを引き出す意識をもつ。それが大切な心構えです。

質問には常に目的があります。
「なぜこの質問をするのか」を自分で自覚しながら質問をしていかないと、答えがどんどんズレていきます。目的がズレた質問はしないという心構えが必要です。

 

質問が「尋問」になってない?責める問いを対話に変える秘訣

「質問家」という仕事をしている僕のもとには、よくこんな声が届きます。
「質問に効果があるなんて嘘だと思う。自分もこれまで仕事で質問を使ってみたけど、まったくうまくいかなかった」
話をよく聞くと、こういう話をする人がやっているのは「質問」ではなく「尋問」でした。まるで容疑者を取り調べる刑事のように。

例えば営業会議で、こんなやりとりがあったとします。
「何で先月は目標を達成できなかったの?」
「トラブル対応に時間を取られてしまって...」
「そんな言い訳しても仕方ないだろ!」

ーこれ、質問ではなく尋問です。
●「誰が悪いのか?」
●「何でそんなことをしたのか?」
●「これくらいのこともわからないのか?」
●「何でできなかったの?」
●「普通はこうじゃない?」

こうした"責める意識"で投げかける言葉は、相手の心を閉ざします。
発している本人は質問のつもりでも、相手には"尋問"として響くのです。
マネージャーをしている人からこんなことを聞いたことがあります。
「部下からけっこう詰められることがあるんです。私もミスをすることがあるんですが、そういうときに容赦なく尋問されることがあります」

具体的にこんな詰め方をされるそうです。
「何で、これってこうなんですか?」
これは質問の皮を被った尋問です。ミスや誤解を指摘されると、人は防御反応が働き、拒絶してしまうことがあります。
その意見が正しければ正しいほど、相手は苦しくなります。優しさがない質問は、その先で人間関係を崩してしまう恐れがあり、結局は自分自身も損をすることになりかねません。

こんなときは、こう質問してください。
「◯◯について、どう思われていますか?」
上司を責める質問ではなく、問題となっている事象についての質問です。
「何で、日報を書かないといけないんですか?」と言ってしまうと、上司は責められている気持ちになるかもしれません。

そうではなく「日報について、どう思っていますか?」という質問に変えると、話は「日報がどうか」になり、人を責めている感じにはなりません。あくまでもテーマの議論をしているように感じます。

ここでの質問の目的は、相手を追い詰めることではありません。相手の中にある「本当の答え」を引き出すことなのです。なので、質問を尋問にしないことです。
詰めるつもりがなくても、無意識に尋問になってしまっているケースもあります。なので、「詰める質問」になっていないか、そのことを意識する必要があります。

責めるようなニュアンスを消して、「どう思われていますか?」と相手に寄り添う質問をしていくことを心掛けたいところです。

著者紹介

河田真誠(かわだ・しんせい)

質問家

質問だけで経営、マネジメント、キャリアアップをはじめとしたビジネスにまつわるあらゆる問題を解決し、理想の未来に導いていく質問の専門家。一方的に知識や技術を教えるのではなく、質問をすることで自らの内側にある答えを引き出していくスタイルが分かりやすく、実践的であると評判を呼ぶ。
コンサルタントや研修講師として、メーカー、ホテル、飲食店、エステ、アパレル、製造業など、多種多様な業界・業種の業績アップ、業務改善に貢献。そのほかにも、働き方、夢の叶え方、生き方などの講演やイベントを通じて、延べ10万人以上の人生に影響を与えてきた。高野山での僧侶との出会いをきっかけに仏教を学び、自身も仏門に入る。自身が考案した質問のノウハウを広めるべく、質問を使ったコンサルタントの育成や、起業家支援、ビジネスモデルのプロデュースにも力を入れている。
主な著書に『君を一生ささえる「自信」をつくる本』(アスコム)、『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)、『革新的な会社の質問力』(日経BP)、『人生、このままでいいの?』(CEメディアハウス)などがある。

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