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鍵山秀三郎の「ビジネス幸福論」/日本伝統の価値観を大事にしよう

鍵山秀三郎(NPO法人「日本を美しくする会」相談役)

2013年07月11日 公開 2022年12月01日 更新

イエローハット創業者であり、NPO法人「日本を美しくする会」相談役の鍵山秀三郎氏は、明治維新前の日本伝統の価値観や精神が現代日本に必要だと訴える。鍵山氏の言う日本伝統の価値観や精神とはどのようなものなのか。

※本稿は『PHPビジネスレビュー松下幸之助塾』2013年7・8月号 Vol.12【特集・哲学ある人づくり】より一部抜粋・編集したものです

 

対策の前に土台の精神を

新しい政権の経済政策がよろしく、早くも一種の楽観論が巷にはあふれていますが、私はつくづく日本はおめでたい国だと思えてなりません。かつて日本は、バブル崩壊で致命的な打撃を受けました。しかし、その反省を忘れるのもあまりに早く、薄ら寒い感じすらします。

もしかしたらこの政策で、ミニバブル、あるいは最後のバブルと言われるものが起きるかもしれないという雰囲気がありますけれども、たとえ一時的には起きたとしても、それは真の力ではないのです。ほんとうの力を蓄えるにはやっぱり時間がかかるということを忘れてはいけません。

まずそれには、明治維新のときのように、日本人としての精神の土台がきちっとしなければならないと思うのです。土台をおろそかにしたまま、いくら策を講じても、はかないものです。

私のところには金融機関の方が来られますが、なかには、日本が非常に危険な道を走っているという認識をされている方もある。

そうなってほしくないけれども、一歩間違うと、ほんとうに前のバブルの崩壊どころではなく、国の破綻の恐れすら出てきています。

国内の金融機関の国債保有高は500兆円を超えています。もし金利が上がればその価値が下がり、膨大な損失を計上しなくてはいけなくなる。そうするとどうなるか。

銀行の自己資本比率が下がってしまうので、それを引き上げるために多くの企業に貸しているお金をいっせいに回収しようという動きが始まることになってしまいます。

そんな悪いシナリオに事が運ぶと、本来生き延びていく可能性があった企業がバタバタ倒産することもありえるのです。場合によっては予期せぬ企業まで倒産していくかもしれない。

これまでは日本銀行がお金を出すことによって支えられる程度で済んだからよかったけれども、もっと桁の大きいことが起きてしまえばどうなるのか。私はいたずらに憂えているのではなく、憂うべきを憂えているのです。

 

政府や官僚が避けていること

健全な政治がなされているならば、ほんとうはどんな政策が国民に対して提示されているでしょう。私は国会が本物の政治家たちの集まりであれば、きっとこんなことを国民に語りかけていたのではないかと思うのです。

「国民の皆さん、日本の国のためにここで3年、辛抱してください。そしてみんなでこの国を守りましょう。そのかわり、国会議員を半分にします。政党助成金も返上します。

国会職員ももっと減らして、参議院もなくして、市町村の議員も半分にしてしまいます。まず政治家である自分たちの職域から実行していきます。だから皆さん、私たちと同じように身を切る努力をよろしくお願いします」

このような要望をきちんと声をそろえて言えば、日本人はやりますよ。国会議員を減らすことについて国民はだれも反対する人はいない。参議院をなくすと言ったって、反対しないでしょう。

日本企業はこのような本質的な改革を実行してきています。ところが政府や官僚たちがやっていない。

 

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