藤巻幸大・職場で「可愛がられる」ひとが心がけていること
2014年03月17日 公開 2024年12月16日 更新
※本稿は、藤巻幸大著『なぜあの人はいつも助けてもらえるのか』(PHPビジネス新書)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
★本記事は、2013年11月に掲載したものの再録です。藤巻氏の死を悼み、心からご冥福をお祈りいたします。
そう考えると、人から力を貸してもらえる能力ってとても大事。そこで今回、「可愛がられる法則」というテーマで僕自身の体験や考えをまとめてみました。まさに可愛がられる人こそが、いろんな人を味方につけ、力を貸してもらうことができる人だと思います。
最近の若い人は可愛がられることが下手!
とくに若い時はいろんな人から可愛がられた方が絶対に得です。さまざまなことを学んで吸収する若い時期は、教えてくれる人が1人でもたくさんいた方がいい。教えてもらうにはまず可愛がられるということがポイントになるでしょう。
ところがどうも最近の若い人を見ていると、可愛がられる要素が少なくなってきているのではと感じてしまいます。
まず一言で言うならば、昔の若者たちよりも確実に賢くなった。
ネットだのフェイスブックだので、若い人の情報量は10年前よりも格段に増えています。あらゆる分野の情報がネットで瞬時に入ってくる。
昔なら先輩や上司に聞かなければ分からないことも、あとでインターネットで調べればたいていのことは分かってしまいます。場合によってはネットを駆使する若い人の方が情報をたくさん持っていることだってあるでしょう。
誰に聞かなくたって自分はもう知っているという気持ちとか、知らないことでも調べれば簡単に分かるという気持ち、それがあまりに前面に出てしまうと、やはり「可愛げのない奴」だと思われてしまいます。賢いことが仇になってしまうんですね。
それと関連していると思うのは、知らないことを知らないと素直に言えなかったり、バカにされたくないとか低く見られたくないという気持ちが強い。見栄や体裁を気にして、自分を大きく見せようという気持ちもいまの若い人は強いのではと思います。
最初からすべての仕事をこなせる人なんて存在しません。できないのが当たり前、失敗するのが当たり前なんですが、格好悪い自分を見せたくないという気持ちが強いのでしょう。そのために自分のできる範囲とか得意分野でしか仕事をしなくなる人もいます。当然、自分の可能性はどんどん狭くなってしまう。
守りの姿勢と言ってもいいと思いますが、若くしてその癖が付いてしまうと、30代半ばを超えて部下を持つようになってからが大変です。逃げの仕事をしてきた人の言葉には説得力はありませんからね。部下は上司の言葉に説得力があるかないかに対してはとくに敏感です。
それよりも素直に自分のありのままを出す。トラブルや失敗があっても素直な人物は可愛がられるし、許されます。そういう風に自分を持っていくことで、さらに失敗を恐れずいろんなことにチャレンジできるようになる。
それが体験として肥やしになり自分の成長につながるはずです。若い時の失敗体験が多い方が自分が上司になった時、部下に説得力のある話ができる。自分の生きた体験談ですから。
大学が就職のための予備校に化してしまっているのも問題がありますね。長い不景気で就職難が続いたから致し方ないとは思いますが、ビジネスに対する知識や経験を中途半端に積んでしまって、それで社会や仕事に対しておかしな自信や先入観を持つことになってしまう。
学生時代から社会に出る準備をして勉強や研鎖を積むのは大切ですが、それが自分を守る鎧のようになってしまったら逆効果だと思います。余計なプライドや自信に溢れた可愛げのない新人になるくらいなら、学生時代は遊びまくっていても、まっさらな気持ちで白紙で社会に飛び込んだ方がいい。
ダメダメの烙印を押されながらも素直に真剣に頑張る新人の方が、僕は伸びシロがあると思います。なぜなら確実に後者の方が可愛がられますから。
もっと自分をさらけ出しましょう。そして真剣に躓いたり失敗して七転八倒、格闘する姿を恥ずかしがらずにさらけ出す。バカだと言われてもダメな奴だと言われても、どこか素直で真剣な人物なら、周囲は認めてくれるし可愛がってもらえるはずです。
最初から賢く見せようとしたり、できる人物などと思われる必要なんてまったくないのですから。