緒方貞子「１人だけよくなるような時代は、もう、あり得ない」

頑張って一緒に考えようじゃないか

ー―どういう時代になるかはなかなか読めないけど、でも、そこのところを読んで、どうしていくかを考える。

なかなか読めないけど、読まなきゃいけないんです。読めないから読まないというんじゃなくて、やっぱり読む努力をして、同じような状況にある人々だけではなく、いろいろな違った考え方を持っている人々、国々、社会というものと相互研鑽を図っていくことが必要なのです。この大きい世界で私たちだけが生きているわけではないんですから。　

さっき情報の話のところで、先読みが必要だと申しましたが、日本は、これだけの水準の教育と技術を持った、アジアで一番最初に進んだ国ですよ。その国が、何も先が読めない集団になってしまうというのは、もったいないんじゃないでしょうか。

自分たちのためだけじゃなくて、ほかの一生懸命頑張っている人々や国々のためにも先を読んで行動しなければ。１人だけ、よくなることはできない時代にきていると思いますよ。それこそコミュニケーションの進んだ現代では。

ー―１人だけよくなるような時代は、もう、あり得ない？

あり得ない。もうだめだと思ったら、どうするんですか。しょげて、後追いをするんですか。

頑張って「一緒に考えようじゃないか」ということで、いろいろな国々の様々な立場の人たちとの交流を、盛んにすることによって発展していくんですよね、世界というのは。