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トップCA・里岡美津奈が出会った「一流の人」の生き方考え方

里岡美津奈

2014年01月16日 公開 2024年12月16日 更新

《『一流になれる人、なれない人の見分け方』より》

 

一流の人は、仕事に熱く、人に対して温かい

 私がバイクに乗りはじめてからいろいろとお世話になっている、元Hondaワークスライダーで、現在は日本テレビ「MotoGP」の解説者として活躍されている宮城光さんは、「喜びを持って仕事に取り組み、愛を持って人と接する」をモットーとされています。

 宮城さんの仕事への取り組み方は、本当に情熱的です。バイクが好きでたまらないというのもあるのでしょうが、解説などをやるために、膨大な資料を読み込んで勉強するといった陰の努力を惜しまない。また人との接し方も、すごく温かくて愛情深い。ご自身のモットーに忠実に生きている方だな、といつも思っています。

 一流の人は、皆さん仕事に対してとても熱いのです。とにかくその仕事をするのが楽しいと思ってやっていらっしゃる。みんながみんな、宮城さんのように若いころからやりたかったことをやっているわけではないと思うのですが、自分に課せられたことに喜びを持って仕事をされています。

 見た目は地味な感じで、それまであまり口数の多くなかったビジネスパーソンの方でも、お仕事の話に触れると一気に目が輝き出して、すごく饒舌に語ってくれたりします。「あっ、この人、本当に仕事が好きなんだな」と思ったりします。情熱があって、ワクワクしてやっているのだと思います。

 一流の人は、いまとは別の仕事をしていたとしでも、やっぱり情熱的に仕事に取り組んで、そこでも抜きん出た存在となり一流になっていることでしょう。

 こんな仕事くだらない、つまらないと言いながら、いやいややって大成した人なんていません。嫌いだけどしがみついているという人は、たぶんどこに行っても、何をやっても二流、三流止まりです。

 いまやっていることを楽しめなければダメだと思いますね。

 仕事ですから当然、楽しくルンルンするようなことばかりではないわけですが、仕事に熱く取り組めている人というのは、課題もトラブルも楽しめてしまうものです。

 これは、私もそういうところがあったので、よくわかります。お客さまからのクレームも、突発的アクシデントも、あまり苦痛ではありませんでした。

 「これは、自分をより成長させるために神さまが与えてくれたチャレンジチャンスなんだ。さあ、この状況を自分はどう乗り越えようか」と前向きに捉えていました。

 たぶん、そういうのも、仕事のやりがいにつながるのです。

 自分が楽しめていると、人を怒鳴りつけようなどとは思いません。きちんとやらなければならないことができていないことを指摘して、注意したり叱ったりするのと、自分の虫の居所が悪くて人を怒鳴りつけるのとは、まったく別のことです。

 叱るという行為は、相手にもっとよくなってほしいという愛があるからやるのです。

 何か失敗をしたときに「いいよ、いいよ。気にしないで」と言うのは、本当の優しさではありません。次にまた同じ失敗をしないようにするための助言をする、それが温かさ、優しさだと私は思います。

 一流の人は、そういう愛を持って人に接しているのです。

 

「小我」で収まらず、「大我」を目指す

 一流を目指す若い人たちにぜひ伝えたいのが、「小我」ではなく、「大我」で生きてくださいということです。

 小我とは読んで字のごとく、小さい我、小さい自分という意味です。評価されたい、認めてほしい、嫌われたくないといった自分自身の欲と保身ばかりを考えていることです。

 そうではなく、つねに大きい我、という意識で考える。我見、我執を離れた大きな心の持ちようのことです。

 人間ができた人は、私利私欲で生きていません。考え方、生き方が、個に閉じこもっていないのです。自分がこれをやることにはどういう意味や目的があるかということを、社会全体の枠の中で考えているのです。

 自分は嫌われたり、非難されたり、ことによったら干されたりするかもしれない。けれども大義のためにはこれでいいんだと、大局で物事を受けとめて動ける。将来のためとか、日本全体のため、世界のため、といった大きいスパンで考える。

 小さい我で収まらず、目指すは「大我」という心意気を持ってください。

 こういうことのできる人を「徳」のある人というのだと思います。仕事の「できる」人であり、人間の「できた」人だからこそ、それができるのです。そういう人こそ、正真正銘の一流だと思います。

 緒方貞子さんは、「大我」の人だと思います。普通の人と見ているところが違います。女性の場合は、結婚、出産、子育てと仕事をどう両立しようかと悩むことが多いのですが、緒方さんは、女は人生が長いんだから、長い目で考えようという姿勢で、本格的に仕事にのめり込むようになったのは、子育てを終えた40歳過ぎからでした。これだけでもスケールの大きさを感じます。

 そして国連難民高等弁務官事務所のトップを10年以上にわたって務め、難民を救うため、世界中を駆け回った。本当に小柄で華奢なおからだのいったいどこにそんなパワーがあるのかしら、と思うほどなのですが、まぎれもなく「大我」で生きてこられた方です。

 最近では、iPS細胞でノーベル賞の医学・生理学賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授も、やはり「大我」の人といえるのではないかと思います。

 山中教授は、目先の評価ではなく、もっと先の将来、iPS細胞の利用で世の中がよくなることを考えておられます。

 自分が評価されたいとか名声を得たいというような自分の利益のことは考えていらっしゃらない。多くの頭脳を使って、早く実用化させたいという思いがあり、大義のために情熱を持って動いている。

 臨床医としての研修時代にはその手腕はまだ開花しておらず、先輩たちから「お前はほんまに邪魔や。ジャマナカや」などと言われたことがあったそうです。しかしその挫折経験が、臨床から研究へと道を変えるきっかけになったというのですから、人生は面白いものです。

 発言にもユーモアがあって、人のハートをキャッチしますし、気配りのセンスも感じられます。

 研究だけやっているひょろひょろっとしたタイプではなくて、スポーツマンで、からだに無駄な肉がついていません。

 魅力的であることも、一流の人の大切な条件です。研究への寄付を呼びかけるためにマラソンをされたりして、日本人のチャリティーに対する意識改革にも一石を投じられており、まさに日本が誇れる当代の一流だと思います。

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