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伝わる書き方 3つの戦略 ~ 「伝えたい」を「伝わった!」に変える魔法

三谷宏治(金沢工業大学虎ノ門大学院教授)

2014年02月12日 公開 2022年12月08日 更新

 

伝わる書き方3つの戦略[実例編]
LINE急成長の原因は?」

 

 モバイル・アプリであるLINEの急成長原因、を例に「伝わる書き方」を考えてみましょう。

テーマ:LINEが急成長したのはなぜ?

戦略(1)短く書く

<目的>伝えることを1行に絞り込む

◇思いつくことを書き出す◇

・スマートフォンのメッセンジャーとして使いやすかった

・先発のカカオトークより電話がつながりやすかった

・スマートフォンが想定外に普及した

・NHN Japanの技術力が優れていた

・サーバーを自社保有して安定性を高めた

・ネット初心者を取り込めた

・クローズドなコミュニケーションが受けた

・みながオープンなSNSに疲れていた

・スタンプがかわいいし、クローズドに合う

   ↓↓

◇本当に伝えたいことは何?◇

急激に増えたスマホ初心者にとって、オープンで高機能なSNSは面倒だったが、クローズドで簡単でかわいいLINEメッセンジャーは、ちょうど良かった。

   ↓↓

◇シンプルにして1行にする◇

LINEはスマホ初心者のニーズにピッタリだった。

 

戦略(2)構造化する

<目的>全体の中で迷わせない

◇捨てる・加える◇

LINEはスマホ初心者のニーズにピッタリだった。

      +

[残す]

・スマホのメッセンジャーとして使いやすかった

・スマホが想定外に普及した

・ネット初心者を取り込めた

・クローズドなコミュニケーションが受けた

・みながオープンなSNSに疲れていた

・スタンプがかわいいし、クローズドに合う

[捨てる]

・先発のカカオトークより電話がつながりやすかった

・NHN Japanの技術力が優れていた

・サーバーを自社保有して安定性を高めた

  ↓↓

◇アドレッシングする◇

・LlNEはスマホ初心者のニーズにピッタリだったから急成長した、が結論である。

・状況として、当時日本ではスマホが想定外に普及してスマホ初心者が急激に増えていた。

・そのニーズは、オープンで複雑なSNSではなく、クローズドで簡単で使いやすく、楽しいコミュニケーションサービスにあった。

・LINEまさにそれらニーズを満たし、かつスタンプがユーザーの感情表現を助け、大いに受けた。

 

戦略(3)波をつくる

<目的>読み手の心に寄り添う・揺らす

◇誘導(1人問答)の例◇

LINEはいったい誰に使われることで急成長したのでしょうか?

それはまさに、当時、想定外のスピードで増えつつあった「スマホ初心者」たちでした。そして他の何より、「スマホ初心者」のニーズにピッタリだったのです。それが、LINE急成長の理由です。

状況として、…

 

◇裏切りの例◇

LINEには先発のカカオトークという競合がいました。でもカカオの無料通話の品質には問題があり、その間隙を突くことてLINEは成功した……わけではありません。それはLINEの急成長のほんの一部の話なのです。

LINEの急成長を支えたのは、そういったスマホ先進ユーザーではなく、スマホ初心者たちでした。LINEは急拡大しつつあった初心者のニーズにピッタリだったのです。それが、LINE急成長の理由です。

状況として、…

 

 

<書籍紹介>

伝わる書き方

三谷宏治著

ビジネス・スクールの人気教授が、「伝えたい」を「伝わった!」に変える、書き方の「魔法」を初公開! すぐに使える「技」が満載!豊富な図解でわかりやすく「伝わる書き方」が学べます。

 

<著者紹介>

三谷宏治

1964年大阪生れ、福井育ち。東京大学理理学部物理学科卒業後、外資系コンサルティング会社に就職。以来19年半、ボストン コンサルティング グループ、アクセンチュアで戦略コンサルタントとして働く。2003年から06年までアクセンチュア 戦略グループ統括。途中、INSEAD(仏フォンテーヌブロー校)で経営学修士(MBA)修了。

仕事と並行して28歳頃から社会人教育に携わり始め、32歳からグロービス「経営戦略」などの講師を務める。2006年から教育の世界に転じ、地元小学校でのPTA会長などを経て、2007年からK.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授を務める。同時に、「決める力」「発想力」と「生きる力」をテーマにした授業や講演で全国をとびまわる。年間5000人以上の社会人・子ども・保護者・教員に接している。

現在、K.I.T.教授のほか、早稲田大学ビジネススクール客員教授、グロービス経営大学院客員教授、放課後NPO アフタースクール理事、NPO法人 3keys理事。永平寺ふるさと大使を務める。

近著に、『ルークの冒険~カタチのフシギ』『親と子の「伝える技術」』(以上、実務教育出版)、『お手伝い至上主義でいこう! 』(プレジデント社)、『ペンギン、カフェをつくる』『観想力~空気はなぜ透明か』(以上、東洋経済新報社)『一瞬で大切なことを伝える技術 』(かんき出版)、『経営戦略全史』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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