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やせたい人は、1日3杯のコーヒーを飲みなさい~健康新常識

安中千絵(管理栄養士/食・健康コンサルタント)

2014年06月27日 公開 2023年01月18日 更新

<<本稿は、安中千絵著『やせたい人は、今夜もビールを飲みなさい』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。>>
 

コーヒーの脂肪燃焼パワー

コーヒーに脂肪燃焼効果があるということは、最近トクホ(特定保健用食品)のコーヒー飲料が発売され、効果が宣伝されているので見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

コーヒーの脂肪燃焼効果には、コーヒーに含まれるカフェインとクロロゲン酸が主にかかわっています。

カフェインというと、悪者と考えられがちですが、実際はさまざまな薬効を持っていて、脂肪燃焼にも関与しています。

体脂肪を燃やすには、まず脂肪酸とグリセリンに分解されなければならないのですが、この分解をするのがリパーゼという、すい臓でつくられる脂肪分解酵素です。カフェインにはこのリパーゼを活性化させるはたらきがあります。

またカフェインには、脂肪を燃焼して熱に変える褐色脂肪細胞を活発にさせるはたらきもあります。

この他、カフェイン以外にも、コーヒーの成分には、ニコチン酸(ビタミンB3・タバコのニコチンとは全く違うものです)という、中性脂肪の分解を促進し減らすはたらきがあるビタミンが含まれています。

そして、トクホのコーヒー飲料が脂肪燃焼効果としてクローズアップしているのが、クロロゲン酸です。体内で分解された脂肪酸は、脂肪酸や糖を燃やしてエネルギーをつくる「発電所」であるミトコンドリアへ運ばれて燃焼されるのですが、クロロゲン酸には、このミトコンドリアへの脂肪酸の取り込みを、促進する作用があります。

つまりコーヒーには脂肪の分解を促進し、分解した脂肪を燃やしやすくするという両方のはたらきがあるのです。

トクホのコーヒー飲料を販売している花王の研究では、内臓肥満型の男女109人に、1日1杯のクロロゲン酸飲料を12週間飲んでもらったところ、体重が平均1.5kg、腹部脂肪が9.3平方cm減少したそうです。この研究は、効果を客観的に調べるため、二重盲検法という、プラセボ効果の影響を取り除く方法で行われています。

被験者は2つのグループに分けられ、クロロゲン酸300mgが入ったコーヒー飲料と、入っていないコーヒー飲料を飲んだ結果で比べられているので、カフェインではなくクロロゲン酸単独の脂肪燃焼効果が得られた、ということになります。

ノルウェイでも似た研究が行われています。

こちらは、肥満者30人を2群に分け、クロロゲン酸を強化したインスタントコーヒーと、普通のインスタントコーヒーを飲んだ群の、12週間の体重と体脂肪率の変動を比べています。

クロロゲン酸強化群の1日あたりのクロロゲン酸摂取量は約1000mg、普通のインスタントコーヒー群のクロロゲン酸摂取量は約500mgです。

結果はクロロゲン酸を強化したコーヒーで有意に体重と体脂肪率が減っており、体重は平均5.4kg、体脂肪率は3.6%の減少がみられました。

普通のインスタントコーヒーを飲んでいた群は、残念ながら統計的に有意な減少はみられなかったものの、結果をみると、あと少しで有意差が出そうな減少傾向があったようなので、もう少し長い期間続けていたら有意差が出たかも知れません。

「食品成分の○○に体重減少効果あり!」という報道はよくあるのですが、よくよく根拠論文などをみてみると、1日にバケツ1杯くらい食べないと効果が期待できないような、とても実際の生活には取り入れられないものもあります。

その点、コーヒーに関する研究は、実験で用いられているクロロゲン酸量も、毎日の食事のバランスを崩さない範囲でとることができる常識的な量で行われています。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸量は、豆の種類や焙煎法などによっても差があるので、量を標準化するのは難しいのですが、ドリップコーヒー1杯あたり15~325mg程度、インスタントコーヒーで55~340mg程度だそうです。

研究結果から考えると、普通のコーヒーで脂肪燃焼効果を狙うのであれば、1日3杯(1杯150ml)くらいを目安に飲むのが良さそうです。

【Check!】★コーヒーには脂肪を分解し、燃焼させる成分が含まれ、1日3杯程度で脂肪燃焼効果が期待できる

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コーヒーと運動で燃焼効果はさらに高まる

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