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[スロージョギング]歩くスピードで走るだけで、やせる! 元気になる!

田中宏暁(福岡大学スポーツ科学部教授)

2013年10月16日 公開 2024年12月16日 更新

スロージョギングとは、ウォーキングと同じくらいの速度でゆっくり走ることです。同じスピードなのに、なぜウォーキングより走るほうがいいのでしょうか?

スロージョギングのエネルギー消費量はウォーキングの約2倍!しかも、息切れしない楽なペースで走ればいいので、疲れを感じずに楽しく続けられます。

※本稿は田辺康広著『スロージョギング入門』(PHP文庫)より一部抜粋・編集したものです。

 

スロージョギングの5大効果とは

歩くスピードで走るだけで驚くほどの効果があります!

【1】減量効果で体が軽くなる!
スロージョギングの消費エネルギーはウォーキングの約2倍! 同じ速さで同じ時間歩くよりも、約2倍の脂肪を燃焼することができます。

【2】基礎体力がアップする!
激しいトレーニングをしなくても次第に体力がつき、長時間運動しても体が疲れにくくなります。駅の階段の上り下りもグ~ンと楽になります。

【3】生活習慣病を改善する!
お腹まわりの内臓脂肪は有酸素運動で減りやすいのでメタボ対策に抜群の効果! 無理なく軽い運動を続けるだけで生活習慣病を予防・改善できます。

【4】がんの予防に効果がある!
持久力を高める運動は免疫力を高める効果があるため、スロージョギングは、がんの予防にも役立ちます。続けることで病気のリスクを下げられるのです.

【5】脳が活性化して記憶力アップ!
近年では、運動によって記憶力や認知機能が高まることもわかってきました。スロージョギングは今後認知症の予防にも期待されています。

 

ウォーキングより、スロージョギング!

やせるためにはハードな運動が必要、と思ってはいないでしょうか。これは大きな誤解です。

実はウォーキングは、時速4kmでゆっくり歩いても、時速7~8kmで必死に歩いても、移動距離が同じであれば、エネルギー消費量は変わりません。それならば、ゆっくり歩くウォーキングでダイエットに取り組めば十分、と思っている人もいるでしょう。

しかし、ウォーキングと同じスピードのスロージョギングは、ウォーキングと比べて、なんと約2倍ものエネルギーを消費するのです。

体重60kgの人が5kmのウォーキングとスロージョギングをしたときの消費エネルギーは、前者が150キロカロリー、後者は300キロカロリーと倍の差があります。同じ速さ、同じ時間をかけるのならスロージョギングが圧倒的に有利なのです。

 

スロージョギングなら効率的に減量できる

肥満が社会問題になり始めた80年代に、日本肥満学会が発足しました。肥満やメタボの診断基準をつくっているのは、この学会です。

そして今、日本肥満学会が提唱しているのが「サン・サン運動」と呼ばれるもの。これは、食生活の改華や運動などによって、とりあえず3kgの減量とウエストまわりを3cm減らしましょうという提案です。

メタボと診断されている人の確率は、男性では2人に1人、女性では5人に1人といわれています。今のところひとまず健康を保っていて、社会生活が送れていたとしても、このままいけば深刻な病気にかかってしまうリスクを持っている人が、これだけいるのです。

体重を3kg減らしてウエストまわりを3cm減せば、さまざまな病気のリスクを減らせることがわかっています。

これに従って、当面の目標は「サン・サン」というわけです。ちなみに、体重とウエストまわりはきれいな正比例の関係にあります。体重を1kg減らすことで、ウエストまわりがほぼ1cm細くなるといわれています。

もちろん、メタボに当てはまらない肥満の人、肥満とまでいかなくてもややぽっちゃり体型の人も、3kg減量してウエストまわりが3cm減れば、見た目が大分変わります。

ベルトの穴の位置も変わりますし、ワイシャツの襟元にも余裕ができます。スカートのサイズもワンサイズ小さくなります。周囲の人に「やせたね」といわれるたびに自信がついてくるでしょう。

スロージョギングを生活に取り入れれば、この目標は3カ月でクリアすることができます。目的が病気の予防であれ、外見をすっきりさせたいということであれ、まずは3カ月のスロージョギングで3kg減と3cm減を目指してください。

 

最初は1日10分のスロージョギングから

さあ、スロージョギングを始めましょう。

スロージョギングは「公園のジョギングコースを何周走る」といった距離ではなく、時間を指標にします。

最初の目標は1日10分続けることです。運動習慣のない人がいきなり普通のジョギングを始めても5分ともちません。

その点、スロージョギングはあくまで歩くスピードと変わらない「ニコニコペース」。10分走り続けることは、どんな運動不足の人でも決して無理なことではありません。

もし10分続けて走ることができなければ、小分けにしてもかまいません。たとえば朝、晩に5分ずつのスロージョギングを行う。または2分のスロージョギングを5回に分けてもOKです。

さらに体力に自信が持てないという人は、まずは1分ジョグと30秒ウオークを組み合わせて10分間をクリアしましょう。途中で歩いてもいいとわかっていれば、走ることへの不安はぐっと少なくなります。

週に3回のペースで2週間続ければ、体は走ることに慣れてきます。もっと走れそうだと思ったら、スピードを上げるのではなく、走る時間を伸ばしていきましょう。

スピードはあくまでそのままのペースをキープしてください。ここでいきなりスピードを上げてしまうと、すぐに苦しくなって走ることへの苦手意識が復活してしまいます。

最初は10分、次の週は20分、その次の週は25分と徐々に走る時間を長くしていきましょう。当面の目標は1日30分のスロージョギングを週3回以上行うことです。

健康を維持するためには、これくらいの頻度と時間で十分であることがわかっています。始めてみれば、誰もが走ることが楽しくなってくるはずです。後はやるかやらないか、それだけです。

 

<著者紹介>

田中宏暁

(たなか・ひろあき)

福岡大学スポーツ科学部生理学研究室教授、福岡大学身体活動研究所所長

1947年生まれ。東京教育大学体育学部卒、医学博士。専門は運動生理学で、肥満・動脈硬化性疾患などの疾病の治療と予防・健康増進・競技力向上に有効な運動処方に関する基礎的、応用的研究が主なテーマ。1970年より福岡大学体育学部運動生理学研究室に所属し、進藤宗洋名誉教授とともに「ニコニコペース」のトレーニング効果を発表。スロージョギング歴20年。マラソンの自己最高記録は2時間38分48秒(50歳時)。

著書に『スロージョギング健康法』(朝日新聞出版)、『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』(角川SSC新書 久保田競共著)、『DVDで簡単レッスン! 健康力を上げるスロージョギング』(カンゼン)ほか多数。

 

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