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成果をに差をつける“時間管理”…優秀なビジネスマンが「Plan」より重視するもの

西野浩輝(マーキュリッチ株式会社代表取締役)

2011年05月17日 公開 2021年05月10日 更新

 

「See」は難しいが、非常に重要

「See」は、「Plan」よりも軽視される傾向にあるのではないだろうか。事前に計画を立てて行動している人は、それほどめずらしくない。しかし、計画を実行に移した後に、「振り返り」までを行う人は極めて少ないと思う。どうしても、それは優先順位が低くなりがちだ。

実は私も、もとは「See」をまったく重視していなかった。しかし、江副氏や新氏の話を聞き、実際に試してみて、その重要性にやっと気づいたのだが、それでも最初のうちはそれを実践し続けることは正直言って難しかった。

確かにある程度は続けられたが、はじめのうちは、なかなか定着化・習慣化しなかった。具体的に言うと、大きな案件や重要なタスクが終わったときは、レビューを行っていたが、それ以外ではあまりやっていなかったのだ。

たとえば、営業のための少しフォーマルなプレゼンテーションを行った後は、ほぼ毎回レビューをやっていたと思う。

「今回のプレゼンテーションでは、どんな点がよかったのか、逆にどのような点が悪かったのか?」
「次回同じようなプレゼンテーションがあったときは、どのようなやり方で行えば、より質を上げられるか?」といったことを中心に、である。

しかし、やはり、日常業務のなかでは、仕事は山ほどあり、そのなかで「振り返り」は緊急性の低い案件になる。そのため、どうしても「振り返り」は後回しになってしまっていた。

それによって、「振り返り」というちょっとした「未処理案件」がたまり、1つの「大きな仕事」に昇格してしまう。加えて、後回しにするということで、それだけ時間が経ってしまい、1つのことを「振り返る」のにも「思い出し作業」に時間もエネルギーも費やすことになっていた。そのため、やる気も出にくく、仮にやったとしても、大変非効率であった。

そこで、私は、漫然と毎日の仕事をこなしているだけでは、「振り返り」の時間を確保するのは難しいので、意識してその時間をつくらなければならない、と考えるようになった。

そのなかで、私が注目したのが「細切れ時間」。この時間を有効活用しょうとしたのだ。

さらに、気がついたらすぐに、記憶が鮮明なうちにレビューするように心がけた。つまり、「鉄は熱いうちに打て」という考えを念頭に置き、「振り返り」を行うようにしたのである。

具体的にどのようなことを実践したかを、「プレゼンテーションにおけるレビュー」を例に説明しよう。

それまでは、プレゼンテーションが終わり、一旦オフィスに戻ってから振り返りを行っていたが、それではいま一歩非効率であることに気がついた。

そのため、プレゼンテーションが終わった直後、すぐにその足で喫茶店やファミリーレストランに向かい、そこで振り返りを行うようにした。すると、うまくいったのだ。つまり、タスクが終了した後の延長線上において、一気に片づけることで、効率を上げることができたのである。

 

「プチ・プレビュー」こそ「See」の本質

私のこの行動のきっかけになった1つのエピソードをご紹介したい。

テレビ・コメンテーターや作家、講演家として、マルチな活動をする中谷彰宏氏は、「やりかけの仕事がある場合は、外出先から帰ってきても、コートも脱がずにそのまま仕事に突入する」と言う。

これは、せっかくできた仕事モードを変えずに、一気に仕事を片づけてしまいたいからだそうだ。私は、この中谷氏の仕事術にヒントを得て、1つの仕事が終わったら、その流れのなかで即「振り返り」を行うようにしたのだ。

さらに、私は、それに「細切れ時間の活用」という概念をプラスして、レビューを実践するようにした。

この「細切れ時間」を活用することで、さまざまな「振り返り」を効率的に行うことができる。それは、ここで例に挙げたプレゼンテーションなどの「1つのタスク」の振り返りだけでなく、1日や1週間のレビューでも同じである。

つまり、日常のなかでハッと気がついたときに、手帳やノートを開いて、「振り返る」習慣を身につけることが重要なのである。

このとき、何を振り返るかと言うと、たとえば、1週間や1日の時間の使い方や1つのタスクにおけるその進め方などだ。

ちなみに、私は、この細切れ時間を活用した「振り返り」を「プチ・レビュー」と呼んでいる。私はこの「プチ・レビュー」こそ「See」の本質であると考えている。

結論として、「See」とは、自分の「時間の使い方」を見直して、もう一度同じような場面に遭遇したときに、より効果的・効率的に行うにはどうするべきかを明確にするための行動である。それを行うことで、時間管理における段取りは飛躍的に向上するのだ。

 

【PROFILE】西野浩輝(にしの ひろき)
大阪大学大学院卒。リクルートにて法人向け教育プログラムの営業、商品開発、マーケティングの仕事を担当。その間、MVP等の数々の賞を獲得。その後、世界最大の教育コンサルティング会社アメリカンマネジメントアソシエーションに入社し、トップ営業マンとして活躍。現在、マーキュリッチ株式会社代表取締役。企業の経営者へのプレゼン指導から、さまざまな業界における企業研修、コンサルティングを行う。

 

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