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マイナンバー制の本当の目的は「お国のための財産拠出」の準備

榊原正幸(青山学院大学教授)

2015年11月04日 公開 2023年02月02日 更新

2015年10月より始まったマイナンバー制度。今後急速に拡大し、日本の社会保障の仕組みを大きく変える可能性があるからこそ、国民からは不安の声も上がっている。

マイナンバー制度の真の目的とはなんなのだろうか。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授の榊原正幸氏に話を聞いた。

※本稿は、榊原正幸著『株は決算発表の直後に買いなさい!』(PHP研究所)より、一部抜粋・編集したものです。

 

そもそもマイナンバー制とは

マイナンバー制の本当の目的は、財産税課税(=「お国のための財産拠出」)の準備ということにあります。また、通常の所得税や消費税の課税強化(課税の捕捉率の向上)ということも目的のひとつです。

マイナンバー制の議論になると、必ず出てくるのは「個人情報漏洩に対する対策は万全なのか? それが確認できる前にマイナンバー制を実施するのは問題だ」という意見ですが、これは技術的なことを懸念しているわけです。「個人情報漏洩が心配だから、マイナンバー制には反対」といった意見は、本質的な議論ではありません。本質は、「なぜ今、マイナンバー制なのか」という目的論にあるのです。

マイナンバー制というのは、「納税者番号制度導入の是非」という論題で、少なくとも30年以上前から議論されていたのですが、昔は技術的な限界がありましたし、富裕層からの根強い反対があり、導入されずに今日に至っているのです。それが、2015年に入って、いきなりというか、にわかにというか、粛々とマイナンバー制の導入が進められ、国民的な是非の議論を行なわず、導入ありきになってしまっています。

日本政府は現在、アベクロ体制によってインフレ政策を推し進めています。比較的高めのインフレが実現すれば、国家の債務はインフレ率の分だけ棒引きにできますから、それを政府は狙っているわけです。

そして、もしこの一連のインフレ政策の舵取りを失敗して、ハイパーインフレになってしまったら、国民に財産税を課してハイパーインフレを収束させなければなりません。そのため、政府は慌てて、マイナンバー制を導入することにしたのです。

マイナンバー制を導入することによって、国民一人ひとりの財布の中身は、国に対して丸裸にされます。所得税・法人税・相続税・消費税といった国税は徴収が非常に厳格になるでしょうし、国民に財産税を課すための基礎資料を国がしっかり把握することができるようになります。国家による管理経済ですね。

マイナンバー制導入後には、徐々に国民の保有資産がマイナンバーに登録されていくわけです。個人の資産というのは、会計学上、概ね次のような項目が挙げられます。

主なものは、現金・預金・有価証券・貸付金・建物・土地・車両です。それぞれ次のようにしてマイナンバーに登録されていくと思われます。現時点ではマイナンバーの登録事項ではないものも徐々に範囲が拡大され、最終的にはこうなるだろうという予想に基づいて述べていきます。

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