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松岡修造 夢に向かってがんばれる「日記のつけ方」

松岡修造(プロテニスプレイヤー)

2015年11月26日 公開 2024年12月16日 更新

『修造パワーダイアリー』より

 

日記を書く前に「自分の取扱説明書」を書いてみよう

 自分自身のことをよく知っているつもりでも、気付いていない点は意外と多いものです。「何をやっても長続きしない」「人前で話すのは苦手」「営業には向いていない」などと、性格や仕事の向き不向きを自分で決めつけたり、人から言われてそう思い込んでいることもあるかもしれません。時には、そこから迷いが生まれてしまうこともあるでしょう。

 そこで僕がお勧めしたいのは、「自分の取扱説明書」を書くことです。

 新しい家電製品を使い始める時、取扱説明書をじっくり読むと、「こんなこともできるのか!」と、びっくりするほどたくさんの機能があることがわかり、上手に使いこなせるようになりますよね。それと同じように、「自分の取扱説明書」を書けば自分本来の持ち味(個性)がよくわかり、自分の個性を活かしきるには何をすればいいかも、だんだんわかってきます。

 そこで、自分の性格の長所と短所、得意なことと苦手なこと、学校や会社での役割、最近読んだ本などを書き出してみましょう。人に見せるためのものではないので、正直に書いてください。

 僕も現役時代から、折に触れて「自分の取扱説明書」を書いています。すると、「勉強不足の点がたくさんあるな。読んだ本もまだまだ少ない」とわかって恥ずかしくなったり、「こういうこともできそうだぞ!」と新しい可能性が見えてきて元気が出てきたりします。

 きっとあなたも、今まで気付かなかった得意分野などがわかります。「思っていたより、自分はいろんなことができるんだ」という新しい発見もあるはずです。「自分の取扱説明書」を書くのは、自分を第三者的な目で見るのと同じです。書けば書くほど本当の自分が見えてきて、やりたいことに優先順位をつけられるので、「今、自分がいちばんやりたいこと」を知るうえでも役立ちます。

 

「自分にとって必要な10カ条」を書き出そう

 現役時代の僕は、日記帳の最初のページに「自分にとって必要な10カ条」を書いていました。たとえば、25~26歳の頃の日記帳にはこう書いています。

1、 自立心を持とう
2、 決断力を持とう
3、 自分の気持ちをもっと表現しよう
4、 笑顔でいよう
5、 「ノー」をはっきり言おう
6、 自分を責めるな
7、 もっとリカバリーをしていこう
8、 ポジティブにものごとを考えよう
9、 正しい食事をしよう
10、 ストレスをなるべく少なくしてリラックスしよう

 つまり、当時の僕は自立心や決断力に欠けるところがあり、失敗すると自分を責め、ネガティブにものごとを考え、自分をどんどん追い込んでしまうタイプだったわけです。

 僕は毎日、日記をつけるたびにこの10カ条を読み返し、「できる! 大丈夫!」と自分に言い聞かせていました。それを繰り返すうちに、「どうすれば足りない点をクリアできるか?」を考えるクセがつき、その方法を見つけられるようになっていきました。

 自分に足りないと思う点、もっと強くしたい点、こうなればいいなと思う点などを次ページに書き出してみましょう。それが、今のあなたにとって「必要な10カ条」です。誰でも、「自分には何が足りないのか、自分はどういうタイプの人間なのか」と、漠然とは考えていますよね。でも、頭の中で考えるだけでは、なかなかはっきり見えてこない。それを文字にすれば、はっきりと具体的に、今の自分が見えてくるはずです。

 

毎日の日記つけがマンネリ化しない!

 僕は日記帳を新しいものにするたびに、最初のほうのページに「自立、積極、修造」「完全積極修造」「どんな時でもハッピーでいよう」といった大きな目標を、自分への声かけのつもりで書いてきました。こうすると、日記帳を開くたびに、達成したい夢や目標を確認できるので、日記をつけることがマンネリ化しません。

 「自分にとって必要な10カ条」は今の自分に足りない点ですが、ここに書くのはもっと先にある大きな夢や目標です。

 「5年後、10年後にこういうことをしていたい」という夢を持っている人は、それを書くのもいいと思います。その場合、次のように3段階に分けると、夢をかなえるために「今、やるべきこと」が見つけやすくなります。

1)かなえたい大きな夢を書く
たとえば、「3年以内に○○の資格を取って独立する」という夢を持っているとします。

2)大きな夢をかなえるために必要な、身近な目標をいくつか書く
「 資格を取るための勉強をする」「ビジネスプランを立てる」「独立資金をつくる」など。

3)身近な目標を達成するための具体的な方法を書く
「 資格を取るための勉強をする」→「学校に通う」「通信教育を受ける」など。
「 ビジネスプランを立てる」→「事業計画書を書く」「法務や税務の勉強をする」など。
「 独立資金をつくる」→「貯金をする」「支援者を探す」など。

 こうして書き出すと、夢に近づくために何をすればいいか、考えがまとまりやすくなります。先にある大きな夢に引っ張られて、身近な目標を1つずつクリアしていこうという気にもなるでしょう。たとえ挫折しそうになっても、心からかなえたい夢ならば、何度でもチャレンジしようというパワーも湧いてくるはずです。

 まず、夢や目標を書き込んでみましょう。そこは、あなただけの「目標達成コーナー」。きっと、「今、やるべきこと」が次々と出てきますよ。

これが修造パワーダイヤリーだ!

著者紹介

松岡修造(まつおか・しゅうぞう)

プロテニスプレーヤー

1967年、東京都生まれ。10歳から本格的にテニスを始め、慶應義塾高等学校2年生のとき、テニスの名門である福岡県の柳川高等学校に編入。その後、単身渡米、86年プロに転向。95年のウィンブルドン選手権で、日本人男子としては62年ぶりのベスト8進出を果たすなど活躍。98年に現役から卒業。現在はテニス界の発展のため、テニス活性化プロジェクト「修造チャレンジ」などを通じてジュニア育成に尽力。また、オリンピックのキャスターを務めるなど、メディアでも幅広く活躍している。

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