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デフレ時における「家計の鉄則」とは?

荻原博子(経済ジャーナリスト)

2016年09月16日 公開 2023年09月12日 更新

今は投資に手を出さず貯蓄を増やすべき

「入院に備えたい」という人もいますが、実際には「高額療養費制度」により、100万円の治療を受けても、実際に支払うのは1カ月に9万円程度。しかも4カ月目からはさらに負担額が引き下げられるので、半年入院しても50万円あれば足ります。だったら高い保険料を払うより、50万円の現金を貯めればいい。どうしても不安なら、念のために掛け金が安い都民共済や県民共済に入るといいでしょう。

将来が不安だからといって、株や投資信託でお金を増やそうと考えるのはやめるべきです。今の株はギャンブル相場。株を始めるにしても、オリンピック後に相場が値を下げた時に買えばいいのです。投資信託は、株よりもリスクがわかりにくい商品。安全だと思われがちなゆうちょ銀行の商品ですら、約五十本の投資信託のうち、30本は基準価格を割っているのが現状。損した時のことを考えて。

不動産投資もあまりお勧めしません。「販売価格1,000万円、利回り10%」のワンルームマンションをローンで買うと、支払い総額は約1,200万円。この時点で、実質的な利回りは8%に下がります。さらに固定資産税や管理費、修繕費などを引くと、ほとんど儲けはありません。
ですから、今は投資より貯蓄。デフレ下では現金の価値が上がるので、今は手持ちの現金を増やすことが一番の資産運用になるのだと心得てください。

 

荻原博子氏のアドバイス

○使っていいお金、やっておくべき投資
・貯金最優先で、余ったら投資へ。
・子供の進路が明確になってからかける教育費
・自分の仕事とスキルアップに直結する自己投資

×使ってはいけないお金、やってはいけない投資
・保険で投資
・金融機関のお勧め投資。
・かかりすぎている通信費

 

《『THE21』2016年9月号より》

著者紹介

荻原博子(おぎわら・ひろこ)

経済ジャーナリスト

1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所に勤務。82年、フリーの経済ジャーナリストとして独立。家計経済のパイオニアとして、お金と経済の仕組みを生活に根ざしてわかりやすく解説する第一人者として、テレビや雑誌で活躍。『10年後破綻する人、幸福な人』(新潮新書)など、著書多数。

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