「いつも締め切りギリギリ」から脱却するための、 先送りしないためのコツ
2012年01月11日 公開 2022年12月27日 更新
目の前の課題にすぐ取り掛かり、小さな成功体験を積み重ねることで人生は大きく変わる。しかし「今すぐ動かなければ」と分かってはいても、なかなか実行に移すことはできない。パラレルキャリアを持ち、日々大量のタスクを消化している清水克彦氏が「すぐ動くために」実践している具体的なコツを明かしてくれた。
※本稿は、清水克彦著『1秒速く動く人になる習慣』より一部抜粋・編集したものです。
苦手な領域は得意な人に任せる
アメリカの心理学者でキャリア研究の第一人者、エドガー・ヘンリー・シャインは、自分を見つめる際、次の3つが重要だと述べている。
・自分は何が得意か(=得意領域)
・自分は何をやりたいのか(=関心領域)
・何をやっている自分に価値を感じるか(=価値領域)
私はビジネスシーンでこれらの3つの領域を意識することが、すぐやる人、すぐ動く人になるセオリーの1つと考えている。得意な領域ならすぐやる気になる。関心がある領域であれば、取りかかることが苦にならない。また価値を見出せる領域だと、モチベーションも高まるからだ。
もっともあなたがまだ20代で、あなたが身を置く職場や業界の仕事やルールをさまざまな経験を通して体得する年齢であれば、不得手な領域であっても、そしてあまり関心がなく、それを成し遂げることに特に価値も見出せない領域の仕事であっても「修行」と割り切り、挑戦してみる姿勢が求められる。
しかし職場でいくつかの部署を経験し、自分の志向性がはっきりしてきた30代、あるいはある分野のスペシャリストとして、これまでのキャリアをベースに大きな責任を伴う仕事を任せられる40代以上ともなると、シャインが示した3つの領域を意識して仕事をしたほうが、初速のスピードは断然速くなる。
したがって取りかかるまでのスピードを速くし、仕事そのものを効率的に処理するには、これら3つに該当しない仕事は、その仕事が得意な人、関心を持っている人、その仕事をすることに価値を見出せる人に、できるだけお願いしたほうがいいということになるのだ。
私の場合、プロデューサーとしてたずさわっているワイド番組の仕事の中で、ニュース原稿や政治家や文化人を招いたゲスト枠の台本を書くのは得意で関心もあり、それをすることに価値も感じているのだが、ミュージシャンなどをお招きするコーナーの演出や選曲などは不得手としている。
もっとも、それらも20代の頃からひと通りやってきた仕事なので、私しかいない場合は自分でやるのだが、スタッフにセンスのいい人材がいれば任せてしまうことが圧倒的に多い。
そのほうがいいものが早くできる。その代わり、私は自分が得意としている分野を引き受ければ、番組全体にとってプラスになると考えてのことだ。
あなたがまだ部下を持つ立場でなくとも、先輩に得意な人がいれば、それは先輩にお願いし、あなたが得意なものと分担してかかれば作業全体が効率よく進むことになる。
とはいえ、職場の多くは、団塊の世代の退職やリストラ、それに新人採用の減少などによって人手が減り、得意なことだけやっていればいいという恵まれた労働環境ではなくなってきているはずだ。
しかし、そんななかでも「得意なこと」「関心があること」「価値を見出せること」を意識しながら仕事に臨めば、仕事を先送りしたくなる気持ちの軽減ともども、得意分野をさらに究めるというサスティナブル・ディベロップメント(=持続可能な開発)も望めるようになるだろう。
◎「得意」「関心」「価値」のどれかを感じる仕事なら先送りしなくなる