「偏差値バカ」いらない――人の心を動かす言葉のつくり方とは?
2018年03月13日 公開 2022年06月07日 更新
「ステーキを売るな、シズルを売れ」に学べ!
ではどうすれば強い言葉になるでしょうか?
それはできるだけ具体的に書くことです。
以下は全国に店舗を展開しているステーキチェーンの店頭の看板に書かれているキャッチコピーです。
「厚切りレアー」と具体的に書かれているので強い言葉になっています。また「いきなり!ステーキ」という店名も非常にシズル感があって強い名前ですね。
余談ですが、シズル(sizzle)とはステーキを焼く時のあのジュージューという音のことです。そこから派生して、生理的・感覚的に五感に訴えてくるものすべてをシズルと呼ぶようになりました。広告業界では「シズル感がある」という風にかなりの頻度で使われる用語です。
もともとは、アメリカの経営アドバイザーとして活躍したエルマー・ホイラーが、今から
80年前に発売された本の中で使ったのがはじまりと言われています。
彼はその著書の中で「ステーキを売るな、シズルを売れ」と語っています。
つまり商品そのものを売るのではなく、受け手の感情を刺激するもので売りなさい、ということです。
いきなり!ステーキでは、ステーキを焼く時の音や匂いもさることながら、お客さんの目の前で肉をカットするというところが今までにないシズル感を生み出しています。
シズルは、ステーキのような飲食店だけに言えるものではありません。たとえば保険であれば「安心」、高級車であれば「ステータス」なども、シズルという言い方もできます。
話を戻しましょう。いきなり!ステーキのキャッチコピーが優れているのは「炭焼きステーキ」「厚切りレアー」と具体的に書かれているからです。
実際、店内のメニューの説明文にも「こだわり」「厳選」などといった抽象的なフレーズはほとんど使われていません。
以下は「いきなり!ステーキ」のメニューにあった商品説明文です。
とても具体的に書かれているのがわかるでしょう。
食品関係の説明を書く時には、これを見習いましょう。
「具体的」に書きかえる方法
あなたもきっと、仕事においていろいろな文章を書く機会があるでしょう。そんな時、あなたの選ぶ言葉が「抽象的な言葉になっていないか」「それらしい常套句になっていないか」を、チェックする習慣をつけましょう。もしそのような言葉が見つかったら、できるだけ具体的に書きかえてみましょう。たとえば、以下のように。
このような習慣をつけていくだけでも、あなたの「キャッチコピー力=1行でツカむ力」は格段に向上します。
自分で一度書いてみて、どこかで聞いたことのある言葉(特に形容詞)だな、と思ったら、それは弱い言葉です。より強い言葉はないか探してみましょう。