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社会

「日本人の働き方」はいつからおかしくなったのか?

城繁幸(人事コンサルタント)

2018年04月03日 公開 2020年08月19日 更新

 

バブル崩壊~失われた20年(1990年代)

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「就職氷河期」「失われた20年」「ワークライフバランス」

「バブル崩壊の年」とされるのは1990年。それが雇用に影響が出るまでにはタイムラグがあり、91年の企業の新卒採用人数は史上最大、新卒求人倍率は2倍超と売り手市場全盛でした。翌92年には企業がようやく停滞感を抱きますが売り手市場は継続。空気が一変するのは、93年からです。

成長が止まって人件費の負担が深刻化するも、社員の解雇は法的に困難。そこで取った策が、新卒採用の抑制でした。そこから長い就職氷河期が始まります。次いで行なわれたのが、昇給・昇格の抑制です。年次が上がっても昇給ナシ、後輩が入って来ず業務量は増加、ポジションも据え置きに。

働いても報われない時代になったことで、これまで問題視されてこなかった長時間労働などの労働環境に対する疑問が、初めて働き手の中に芽生え始めます。

90年代と2000年代は失われた20年という名のとおり、20年間ほぼ同じトーンで停滞が続きますが、唯一の変化は、そうした疑問や不満が、後になるほど大きくなったということでしょう。

その変化は、やがて「働き方」そのものの見直しという意識に至ります。ワークライフバランスが注目され始めた2000年代、「社員は会社のために身を削って当たり前」という価値観は終わりを迎えました。

 

グローバル化の時代(200年代以降)

KEY WORD
「グローバル化」「少子高齢化」「外資系企業」

2000年代に起こった大きな潮流グローバル化。新興国の台頭による国際的な企業間競争の激化に加え、少子高齢化による国内市場の縮小、働き手の不足が顕在化してきました。

国内での外資系企業の存在感は増大し、有力大学の学生たちの多くが外資系を志望するように。90年代に花形だったメガバンクは、外資系金融やコンサルティング企業に入れなかった学生がしぶしぶ行くところ、という位置づけになりました。

国内メーカーの凋落はさらに激しく、学生の人気企業ランキングから姿を消す一方、日本ロレアルやユニリーバ・ジャパンなどの外資系メーカーが人気に。これらの企業は革新的な人事制度が特徴で、裏を返せば日本の人事システムが不人気であることを意味します。

一方、日本企業の外国人人材への訴求力もいま一つ。原因は、やはり人事です。残業や転勤や年功序列に基づく給与体系が不評で、優秀な外国人は中国や米国に流れてしまいます。

年功序列とは、人の能力(≒経験年数)に即した「職能給」のシステム。それに対し、人ではなく仕事の価値に即して払われるのが「職務給」。世界標準は言うまでもなく後者です。日本にしか通じない(しかも成長期以外は役立たない)制度は、完全に限界に達したと言えるでしょう。

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