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40年間続いた「若者の活字離れ」。書店店長が今、思うこと

田口幹人

2018年07月17日 公開 2022年06月22日 更新

本の未来と本屋の未来は違うものなのか

近年はニュースで苦境が伝えられますが、古書取扱いチェーン店のブックオフは、1991年の創業以来店舗を増やし続け、現在では全国で約800店を超えています。

さらに、図書館の整備も進み、公共図書館の利用者数と貸し出し冊数は、1997年から2017年にかけ、約4億4千万冊から約7億2千万冊へと、1.6倍に増加。

学校図書館にいたっては、利用者数と貸し出し冊数は約2.1倍となっているというデータもあります。

この数字を見ると、「読書」=「本屋で本を買うこと」だけではなく、「古書、図書館の利用」も含めて考えると言えるのではないでしょうか。

つまり、本が読まれるかどうかという「本の未来」と、本屋があり続けるかどうかという「本屋の未来」は、違うということなのかもしれません。

自戒を込めて言えば、この40年間、この業界は本屋という形を維持するために、経営と効率を優先し、業界内の理屈を店頭に持ち込み、本屋が本と読者に寄り添おうとしてこなかった。

その部分にこそ、「本屋離れ」を招いた理由の一端があるのではないでしょうか。本屋の業界の住人としては、悔しさと歯がゆさを感じていますが。

こうした縮小してゆく業界の話題は、おおむね内向きの議論になりがちです。本屋業界もまた、内向きの議論が多い業界だと感じています。

売上が減少するにしたがい、経費の削減という現実に直面し、売場の効率化とシステム化を推し進め、人件費を抑制する動きが加速しました。

しかも、ある一定の販売データを基に棚が構成されている本屋が増えたのですから、お客様にはなおのこと、同じような品揃えに見えてしまい、それが、本屋から人の足を遠ざける要因の一つとなったのかもしれませんね。

しかし、品揃えが全て同じという金太郎飴書店は、存在しません。

そのような本屋がないと断言できるほど、全ての本屋を見てきたわけではありませんが、高度にシステム化された環境下でも、棚に意志を持たせようとする書店員たちがたくさんいるからです。

置かれた地域で、置かれた環境で、任せられたジャンルの本を、その棚の前で立ち止まってくれる読者を想像しながら棚に差し、平積みをつくる書店員たちが。

本屋の数だけ、個性があります。書店員の数だけ、違う売場があります。それは、本の数と同じように。

しかし、全国の販売データを活用し、システム化された本屋が、標準的な本屋になっている以上、それを強調しても本屋の現状への言い訳にしかならないのかもしれません。

 

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時代に合わせて進化した本屋が、全国にたくさん生まれている

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