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40年間続いた「若者の活字離れ」。書店店長が今、思うこと

田口幹人

2018年07月17日 公開 2022年06月22日 更新

時代に合わせて進化した本屋が、全国にたくさん生まれている

僕が本屋の世界に入ってからこれまでの間に、どれだけ多くの本屋がなくなり、どれだけ多くの書店員仲間が業界から離れていったことでしょう。

それには様々な理由があるでしょう。システムが発展するのと反比例するように、優秀な人材が業界を去ったこともありました。

僕が勤めるさわや書店でも同じようなことがあり、人が去ったために余裕がなくなり、棚をつくることに専念できない時期もありました。

しかしそれでも、僕は、棚に意志を持たせようとする書店員になりたいと思い続け、ここまでやってきました。

本屋最高! と叫ぶつもりはありません。逆に、かつて経営していた本屋を倒産させたことのある者として、本屋の現実を見つめているつもりです。

だから、金太郎飴書店に見えてしまう本屋が悪い、などと言うつもりはありません。むしろ、本屋という売り場をその地から消さないために、本屋を維持するための仕組みをつくろうとしてきた努力に、頭が下がる思いです。

読者が本屋に足を運ばなくなったのには、本屋側の経営的な努力を押し付けていることに対する反発もあるのだろうと反省しています。

それでも、本屋に足を運んでほしいと願い、日々本と向き合う書店員たちがいます。読者と本との出会いの場となってほしいと願いながらPOPに言葉を添え、棚を耕している書店があります。

時代に合わせる形で、変化・進化した本屋が、全国にたくさん生まれています。本という存在に寄り添い続けようとする書店員たちがたくさんいます。みんな、本の持つ力を信じているのです。

本屋は、本を売ることが生業ですが、本を売ることだけではなく、本の持つ力を最大限発揮できるための下支えをしようとしています。

金太郎飴書店に見えてしまう本屋の中に、違いを見つけ出す面白さをお伝えできたらと強く願っています。

※本記事は田口幹人著『もういちど、本屋へようこそ』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです

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