麻布高校、東大、BCGからアニメ業界へ インターネットが導いたキャリア
2018年09月18日 公開 2022年08月22日 更新
コンテンツの未来を熱く語り合う石川真一郎氏(左)と山口哲一氏(右)
<<2018年8月25日、東京都渋谷区にて開催された”ニューミドルマンコミュニティMeet Up Vol.4”(主宰・山口哲一)にて、アニメショーン会社GONZO(ゴンゾ)の代表の石川真一郎氏が登壇。日本のアニメ業界を音楽プロデューサーの山口哲一氏ともに熱く語り合った。
東大で理論宇宙物理学を専攻し、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、アニメ業界に飛び込んだ石川氏。アニメの世界に身を置くことになった理由が石川氏より明かされた。>>
宇宙物理学の研究に活用したインターネットはアナログな存在だった?
東大大学院で宇宙物理学を先行していました。論文は「超新星はなぜ非対称爆発を起こしたか」。研究者になる以外に働き口が無いような研究生活を送っていましたが、アルバイトに誘われた拍子にボストン・コンサルティング・グループ(BCG)というところに騙されて(笑)、そのまま入社しました。
その後、アニメ業界に身を置くことになるのですが、そのきっかけは大学時代の研究とBCG時代の仕事にあります。
実は、僕は草創期のインターネットに最初に参加していた一人なんです。
僕が大学院時代(1989年~91年)のスーパーコンピュータは、現在の個人のパソコンより性能が低かった。
それを使って、超新星の爆発をシミュレーションをしなきゃいけない。膨大な計算処理が必要となるので、スーパーコンピュータを使わなければならないのですが、近くで使えるスーパーコンピュータだけでは、まったく処理が追いつかない。
そのため、後のインターネットの基となったネットワーク、当時はインターカレッジネットワークと呼ばれたネットワークがあり、これを活用して世界中の研究機関のスーパーコンピュータを探して、処理を行うのです。
プリンストン大、ハーバード大、ケンブリッジ大……と探して、空いているスーパーコンピュータに自分の書いたバッチジョブを送り込んで、処理をするのですが、世界中のスーパーコンピュータをもってしても、早くて、処理の開始に最低でも48時間程度かかる。
データを送って、2〜3日間麻雀をして、帰って様子を見ると、バグがあって処理が15秒で落ちている。バグを修正して、またデータを送り、3日麻雀をして帰ってまた修正して……。
当時としては最先端のデジタルネットワーク技術を活用しているのに、非常にアナログな研究で、本当に時間がかかりました。おかげで麻雀は強くなりましたが(笑)