麻布高校、東大、BCGからアニメ業界へ インターネットが導いたキャリア
2018年09月18日 公開 2022年08月22日 更新
スタンフォードの研究者から送られてきたファイルは日本のアニメ
研究を通してインターネットに触れているなかで、ある日、面白いことがあったのです。
当時のネットワークのなかに世界中の物理学者が集うコミュニティがありあした。そこで、ある日、妙なデータが送られてきたのです。
「モザイクという新しい技術がある。これは面白い」というメッセージに添えられたファイル。それを開いてみると、最初は荒いただの画像。それが徐々に鮮明になっていく。がだんだん鮮明になっていく。そして、最後に現れたのが日本のアニメキャラだったんです。
実はこれは、開発されたHTMLの原型の技術が活用された画像だったんです。このモザイクはスタンフォード大学の研究者が開発したものです。
この技術にもちろん驚きはしたのですが、それ以上に驚いたのは、「スタンフォード大学の最先端の研究者がアニメキャラであること」。
ディズニーのキャラじゃないんです。世界の最先端の研究者は同時に世界の最先端のオタクでもあり、彼らが選んだのはアニメキャラだったわけです。
いわゆるツインテールの美少女キャラだったことを今でも覚えています。
それを見て、「日本のアニメはスゲーなあ」と
ちなみに、この「アニメ」という言葉について補足すると、外国人はかつて、日本のマンガとアニメを合わせて「アニメ」と呼んでいました。今では区別していますが、アニメが広義のもので、マンガというのはそのひとつのカテゴリだと思っている人が多いです。
ですので、ぼくが言う当時の「アニメ」には、マンガも含まれています。
2010年以降はコンテンツがキングになると予測したコンサルタント時代
その後、ボストン・コンサルティング・グループに入社し、1994年に某超大手家電メーカーのコンサルをしました。そのコンサルティングの一環として、2015年のインターネットビジネス成長予測を行いました。
その私の予測の内容はこのようなものです。
第一段階はポータルとインフラの成長。1995年から2000年はYahoo!などのインターネットへの入り口と、バックボーンのインフラのビジネスが大きくなる。
第二段階はブロードバンド、つまりアクセス。2000年から2010年くらいまでの期間は、各戸、各オフィスに届くまでの線が太くなる。さらにモバイル化し、個人がもっているデバイスにつながる。それらを背景に各国がインフラに大きな投資を実行する。
この段階が終わると、2010年以降はそのインフラに余裕が出て、その中を流れるコンテンツが重要になっていくる。つまりコンテンツがキングの時代がやってくる。
そんな予測を立てているなかで、自分自身もどうあるべきか考えました。2010年以降、自分自身が50歳を超えても継続できるビジネスをやるとしたらなんだろう、情報量が大量にあって世界中に広げることができる、日本発のコンテンツは何か。
すると、スタンフォードの最先端の研究者にすら波及力があった「アニメ」の存在が思い浮かびます。ビジネスとしてコンテンツを扱うとすれば、日本のアニメだろうという思いをここで抱いたわけです。