般若心経を現代語に訳してみるとどうなるか?
2018年11月19日 公開 2018年11月19日 更新
262字にこめられた大乗仏教の思想
お経と言えば「般若心経」。お葬式では必ずというぐらいよく唱えられ、日本人にとってもっともなじみ深い仏教経典である。
仏教学者・金岡秀友さん校注の『般若心経』(講談社学術文庫)では、このお経の重要性を解説したうえで、実際にお経の本文をわかりやすい現代語に訳している。
金岡さんによれば、「『般若心経』の歴史は、わが国の仏教の歴史と一致するほど古く、その信仰も、すべての宗派、あらゆる階層を通じて行われた」とのことである。
しかも、般若心経の本文は300字に満たないとても短いが、その背景には、大乗仏教という大きな思想体系が存在しているという。「無限に豊富な思想的・実践的価値を内蔵している。この経典によりながら、善家や真言の行者、あるいは在俗の達人がはかりしれぬ生命をここから引き出して行った」とのことだ。
では、実際にそこには何が書かれているのだろうか? 以下に、金岡さんによる現代語訳の全文をご紹介しよう。ここでは詳しい解説を避けるが、みなさんはここから何を感じるだろうか?