<<「求人広告を出しても、さらに時給を上げても人が採れない」「せっかく採用できてもすぐに辞めてしまう」……。
バブル期を超える史上空前のこの人手不足時代、飲食やアパレル、小売りなどサービス業の現場からは「どう頑張っても人手が足りない」という切実な声が聞こえてきます。
そんな中、求人広告に頼らずともコンスタントに人材確保をしているという企業や店舗も存在するのも事実。そんな採用の勝ち組が行っている“神採用”の方法とは⁉ 『パート・アルバイトの応募が殺到! 神採用メソッド』(かんき出版)を上梓した平賀充記氏に聞きました。>>
※本稿は平賀充記著『パート・アルバイトの応募が殺到! 神採用メソッド』(かんき出版)より一部抜粋・編集したものです
求人広告を出す前にできること
アルバイトがまったく採用できない。ずっと休まずに自分がシフトを埋めてきたけれど、さすがにもう限界。このままじゃいつか倒れる。仕方ないから求人広告出してみるか。でも掲載料高いんだよなぁ……。
採用支援の仕事をしていると、こんな状況に追い込まれている店長やマネージャーの悲鳴と嘆きの声が聞こえてきます。
そんな現場の店長さんたちに、まず聞いてみたいのが「お店に募集の貼り紙を出していますか?」ということです。
「え? そんなアナログな方法、効果あるの?」と思ったかもしれません。採用活動というものは、お金をかけるものだというイメージが私たちの中に沁みついているのでしょう。
ですが、貼り紙の力を侮ってはいけません。我々、日本で唯一のアルバイト労働市場に特化した調査研究機関であるツナグ働き方研究所の調査では、2人に1人が応募する前に職場を下見しているというデータがあります。
ここ数年のブラックバイト報道の影響もあって、最近の応募者は自分が働くかもしれない職場の環境について、非常に神経質になっています。
だから、求人サイトや求人誌で候補を見つけたとしても、その情報だけで応募するのは不安で、実際にその店舗を訪れ、細かく偵察しているのです。
いってみれば、店頭こそが最大の採用メディア。
結局、店舗を訪れ応募するかどうかを決めるのだから、そこに募集の貼り紙があり、安心できる職場環境だと確認できれば、応募につながる可能性は高まります。
現に大手コンビニチェーンでは、店頭貼り紙を重要な求人媒体として位置づけ、本部主導で各店舗に配付しています。
条件だけでなく熱を持って伝えることが大切
ここまで読んで、「いやいや、当然張り紙は出してるよ。でも、それを見て働きたいといってくる子なんてほとんどいないよ」という人もいるかもしれません。
もし店頭貼り紙からの応募がないとしたら……、原因は2つ考えられます。
1つは、そもそも時給などの募集条件が近隣の店舗より劣っているから。
これを確認するのは簡単です。
求人サイトなり求人誌なり、世に出まわっている求人媒体を活用すればいいのです。そこで近隣の募集広告をチェックしてみてください。給与の相場や勤務時間帯を簡単に調べることができます。
そして、もう1つが、貼り紙の表現がイケてないという問題。
実際、店頭の募集貼り紙のほとんどは、無味乾燥な条件の羅列が多いものです。店長さんが何も考えずにサクッとつくったであろう雑な張り紙では、興味を持ってもらうのは難しいでしょう。
そんなときに頼りになるのが、「ぽけじょぶ」という求人サイト。なんと、さまざまな店頭貼り紙の写真そのものが掲載されているのです。そのなかから「これだ!」と思った表現を、そのまま参考にすればいいのです。
たとえば、都内に十数店舗を展開する居酒屋チェーンの店長Gさん。彼のお店では条件を書いただけの募集広告をトイレに貼るのが常態化していました。
ところが、ある日「ぽけじょぶ」の存在を知り、検索してみてビックリ。個性的な貼り紙がいろいろ出ていたのです。
なかでも目を引いたのが「店長の〇〇です。忙しすぎて寝てません。助けてください!」という赤裸々なコピー。
「こういうのもアリかも」と、マネしてみたところ、3名の大学生が応募してきました。採用した学生に聞くと「店長の正直な人柄を感じたから」とのこと。
「貼り紙をバカにしない」「情報を得て参考にする」「条件だけでなく熱を持って伝える」。これだけで「貼り紙」は立派な求人メディアとして蘇ります。
張り紙を出す場所だってアイデア次第で広がります
店内に募集の貼り紙を出す際、どこに掲出するのかは大きなポイントです。目立つ場所に貼らないと意味がありません。
王道は店頭。入店していない人にもアピールできます。次に多いのがトイレではないでしょうか。
用を足している間のふとした瞬間、しかも閉ざされた空間は、情報を届けるのに適した場所といえるかもしれません。
そんななか、なんとスタッフのユニフォームTシャツを利用している居酒屋さんを発見しました。写真をご覧ください。なるほど、これは否が応でも目立ちます。
会話がはずみ、応募につながるきっかけにもなりそうです。
こういったちょっとしたアイデアが、採用の明暗を分けることがあります。ぜひ、旧来の方法でも工夫・改善できるところはないか、常にアンテナを立てておきましょう。