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中田敦彦「30代以下は外に出ていくしかない」

中田敦彦(オリエンタルラジオ、Mastermind Entertainer)

2019年02月05日 公開 2019年02月27日 更新

全員がオリンピック選手にはなれない

もちろん私は、「辞めない人」を否定しているわけではありません。
辞めない人にも、それぞれ理由があるでしょう。

「この会社でいつか社長になる気でいるから」ならば、もちろんそのまま頑張っていただきたいところです。
「家族のためにも、安定した給与を得たいから」
「バリバリ仕事するタイプじゃないし、生活できるだけの収入があれば満足だから」

という方々もいるでしょう。それも尊重すべき生き方です。自分がそう決め、納得した上で選んだ道なのですから。

私が「辞める気でいるべし」と言うのは、あくまで「このままではイヤだ」とモヤモヤしている人に向けた言葉であることを、ここで確認しておきましょう。

もうひとつ、私が「歯車を抜け出せ」と言っているのは、「上を目指せ」と言っているのではない、ということです。

「絶対に成功せよ」「てっぺんを目指せ」とは私は言いません。むしろ逆です。資本主義国に生きる人々が追い立てられてきたこの「てっぺん主義」を、私は「洗脳」だと思っています。

皆が上を目指して競争してくれれば経済が発展しそうだから――というエライ人たちの思惑に、私たちはダマされてはいないでしょうか。

「人生は成功しなくてはいけない」なんて、単なる思い込みです。他の人よりいい学校、いい仕事、いい地位、いい経済状況を目指す必要はないのです。

私が伝えたいのは、「人よりも良い場所」ではなく、「自分自身のいるべき場所」に身を置こう、ということです。

世の中には多種多彩な職業があります。いずれも時代や社会構造によって現れては消えるものですが、どれも、そのときどきにおいては必要な職業です。

スポーツの世界なら、オリンピック選手もいればコーチもいるし、体育の教師もいればスポーツ用品店のスタッフもいるでしょう。そのすべての仕事に、存在意義があります。

「上に行こう」とするのは、全員がオリンピック選手になって金メダルを取ろうとするようなもの。それを達成できた人以外全員不満足だなんて、かなり変な社会だと思いませんか?

全ての人が、自分の能力と適性に見合った場所にいて、自分の存在意義を感じながらそこで満足を得ることが、一番いいのです。

「そんなの生ぬるい世界じゃん」と思われるでしょうか?

ところがさにあらず。先ほどから述べている通り、世の中は、常に動いているものであることを思い出してください。

職業は時代の変化に応じて新しく生まれたり、消えたりします。
組織も生成と衰退を繰り返すものです。

さらには一個人の希望も、絶えず変わります。ある場所で満足していたつもりが、やがて飽きたり退屈したりして、別の道を目指したくなることも大いにあるでしょう。

絶えず変化する世の中で、そうした個人や組織が絶えず出会い、別れ、また出会う――そうしたダイナミズムの中にこそ、活気ある経済も生まれていくのではないでしょうか。

あなたが上を目指す間に、世の中はガラッと変わってしまうのです。

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