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たった10分の校長先生の話が「苦行」だった理由 “話の長い人“にならないコツ

犬塚壮志(士教育代表取締役)

2019年02月20日 公開 2023年01月30日 更新

「一言が長い」人が疎まれる原因

一言が長いというのは、実は、私にも経験があります。講師になりたての未熟な頃の私は、話の内容や組み立て方さえ良ければ伝わりやすいと勘違いしていたのです。

例えば、居酒屋さんで、本業(化学の予備校講師)に関するウンチクを一緒にいる友人たちに披露した際、

「コラーゲンはタンパク質の一種で、そもそも他の動物と人のコラーゲンは別物だから、体に取り込んだコラーゲンのようなタンパク質はバラバラのアミノ酸にまで分解されてその後に体の隅々に吸収されてしまって、しかもボクたち人のコラーゲンができる量には限度があるから、食べたコラーゲンはそのまま吸収されてボクたちヒトの肌になるってことは絶対になくって、だからコラーゲン鍋を食べまくってもすぐに肌がプルプルになるってことは単なる思い込みなんだよ。」

読むのであれば、まだ意味は取れるかもしれませんが、実際に「話し」で聴こうとすると、かなり理解しにくいはずです。

ただ、こういった話し方のクセはなかなか自分では気づけないものです。こういった悪いクセが抜けない私に、見かねた先輩講師が、

「キミの説明の仕方、確かに内容や話の持っていき方は悪くない。だけど、一言がただただ長い」
「それって、どこまでその話が続くかわからないから、聴いてる生徒のほうは絶対にストレスに感じるはずだよ」

こんな言葉をかけてきたのです。言われた瞬間はさすがにカチンときました。ただ、自分の講義を一回ビデオに録画し、自分で視聴しみたら、確かにその先輩講師の言う通りだったのです。

話したいことを一回ですべて言い切ってしまいたいという意識が強かったせいで、逆に話が冗長になってしまい、非常に聴きにくい話になってしまったのです。

その時の私のような「一言が長い」話し方をすると、生徒のほうは、「一体、どこまでが一まとまりなんだ?」、「いつ、終わるんだ?」、そう思いながら聴くことになるのです。

つまり、話を理解しようとするときに、余計な思考がノイズのように入ってしまうのです。「一言が長い」と、聴き手にとって情報処理がしにくくなるというわけです。

特に、初めて知るような内容や、馴染みのない話題であれば、聴き手は理解するのに、かなりの負担がかかるでしょう。「一言が長い」と聴き手にとってストレスフルになる可能性が高いのです。

これが、「この人、話が長いなぁ」と感じる、そんなイライラの原因の一つなのです。
 

「チャンク」を増やすことで、一言を短くする

こういった聴き手のストレスやイライラを抑える手段の一つが、「短文で語る」という方法です。

ここでいう「短文」というのは、一言一言を「短く言い切る」という意味です。ついつい長くなってしまう一言を小分けにすることで、聴き手が話の意味を把握しやすくなるのです。別の言い方をすると、長い一言を短く"くくる"()ことで(くくったものを「チャンク」と言います)、チャンクごとに聴き手の記憶に残っていくのです。

例えば、先ほどの例でいうと、

「コラーゲンはタンパク質の一種なんだよね。」
「ただ、そもそも他の動物と人のコラーゲンは別物でさ。」
「体に取り込んだコラーゲンのようなタンパク質はバラバラのアミノ酸にまで分解されるんだ。」
「その後に体の隅々に吸収されていくんだ。」
「しかも、ボクたち人間のコラーゲンができる量には限度があってさ。」
「だから、食べたコラーゲンはそのまま吸収されてボクたちの肌になるってことは絶対にないんだよね。」
「つまり、コラーゲン鍋を食べまくってもすぐに肌がプルプルになるってことは単なる思い込みなんだよ。」

いかがでしょうか?

文章だと、もしかしたら違いがわかりにくいかもしれませんが、声に出して聴いてみると、聴きやすさがガラッと変わっているはずです。

文字で追うだけであればそこまで大きな違いは感じられないかもしれませんが、音声で先ほどの文章と比較して聴くと、頭への残り方や理解しやすさがまるで違ってくるはずです。

文章でいうと、「。」を増やすように話していくのが、「短文で語る」コツです。英語で言うピリオド「.」ですね。カンマ「,」を入れるような話し方は、極力減らすようにすることが大切です。

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