夫が脳梗塞で倒れて始まった苦境…妻を支え続けた「片づけ」の力
2019年03月01日 公開 2024年12月16日 更新
<<生まれたばかりの赤ちゃんを抱えながら、脳梗塞に倒れた夫の看病生活、そして無理を押しての職場復帰――。
苦難続きの毎日が変わりはじめたのは、意外なほど身近なキッカケだった。自らの体験を活かし、現在収納デザイナーとして活躍する杉田明子氏に当時を語っていただいた。>>
ありふれた日常は突然にして崩れた
もしあなたの身に、自分一人ではどうしようもない答えの出ないトラブルが起きたとき、迷わず環境を整える選択をしてほしい。
すべてに絶望する前に、環境を変える勇気を持ってほしい。間違いなく、片づけには人生を変える力があるから――。
私は現在収納デザイナーとして、こう言いつづけています。
29歳の時、高校で体育教師をしている夫が脳梗塞で倒れました。ある朝、突然頭が痛いと床でのたうち回りはじめた夫。人生ではじめての119番、そして緊急手術。
医師からは「一週間程度、脳の腫れが引くまでは生命の危険がある。そこを乗り越えても梗塞が広範囲のため、どんな後遺症が残るかわからない」と告げられました。
そして実際に、目を覚ました夫は言語のすべてを失い「失語症」という後遺症を残すことになりました。
私のいつもの日常は一瞬で崩れ去りました。
このとき、産休明けで職場復帰をしてからわずか2週間。生後2ヶ月の息子を抱えていました。
仕事・育児・夫の闘病生活に毎日を追われるようになり、肉体的負担、精神的負担は日々増していくばかり。さらに夫のリハビリをするにあたっての問題も精神的な追い打ちをかけました。
脳梗塞の後遺症について日々調べ、医師をつかまえては質問攻めにしていた私は、脳の損傷は半年以内にリハビリに取り組めるかどうかで、予後が大きく変わるということを知りました。
しかし、手術をした病院ではリハビリを続けることができず、リハビリができる病院はどこも満床。いったん自宅療養で、あてもなくリハビリ病院が空くのを待つという状況の中、何を恨めばいいのか、どうすればいいのか、やり場のない気持ちを抱えて毎日を送っていました。